毎月第一土曜日に開催される「月イチ蔵前」。今回注目したショップは「古きよきをあたらしく」をテーマに、蔵前でモノづくりをするブランド『Salvia（サルビア）』。なんと、「月イチ蔵前」を最初に始めたお店なのだとか。企画・商品開発を行っている篠田由梨子さんと景山悦子さんにお話を伺いました。
月に一度、「月イチ蔵前」のときだけ出会えるお店
都営大江戸線・蔵前駅から厩橋（うまやばし）方面へ。隅田川沿いの路地に入ると、靴店『NAOT』の向かいに『Salvia』のアトリエ兼ショールームがあります。
実は『Salvia』がオープンするのは月にたった一度、「月イチ蔵前」のときだけ。商品は全国の雑貨ショップで購入できますが、すべてのラインナップを手に取って見られるのは、ここ、蔵前の店舗だけなのだそう。
始まりは、グラフィックデザイナーの遊びごころ
「サルビアは、実はセキユリヲの趣味のような活動から始まったんです」と篠田さん。
セキユリヲさんは『Salvia』を主宰するグラフィックデザイナー。15年近く前、名刺代わりに作ったマッチ箱がきっかけで『Salvia』の原点となる展覧会をやることになったそうです。
その展示がきっかけで、あちこちから「製品を作ってほしい」という声がかかるようになり、モノづくりの現場に立ち会うことが増えたセキさん。次第に、製品ができるまでの過程をたくさんの人に紹介したいと思うようになったといいます。
そこで誕生したのが、モノづくりの楽しさを伝える小さな本「季刊サルビア」です。写真は、初期の頃に発行されたもの。装丁はセキさんが手がけています。
現在は子育てのため仕事をお休み中だそうですが、月イチ蔵前の日は、午後のイベント「ちいさな手仕事とおはなしの会」では、セキさんに会うことができるのだそう。『Salvia』のルーツや、やわらかくあたたかいデザインを生み出すデザイナーに会ってみたいという方は、参加してみてはいかがでしょうか。
どこか懐かしく、心地よいプロダクトたち
「旅するハンカチーフ」「よそおいブローチ」「ふんわりくつした」「ふわゆらマフラー」……。サルビアの定番商品には、どれも柔らかい響きの名前がついています。
ロングセラーの「ふんわりくつした」は、くちゴムなしで足を締め付けないのが何とも気持ちいい、と人気の商品。これまでつくってきた色柄は約100種類もあるのだそう。商品はすべてオリジナルデザインで、全国の職人さんと一緒に作っているといいます。
「有機的で自然のモチーフが多いですね。セキのデザインは、色の組み合わせ方が独特なんです。ありものの色では作れないので、職人さん泣かせなんですよ。思いがけない色柄がお客様には受けたりするので、面白いですね（笑）。試行錯誤しながら、作っています」（篠田さん）
「月イチ蔵前」が始まったきっかけ
月に一度でも、隅田川の素晴らしい眺めを楽しんでほしい
「『月イチ蔵前』が始まったきっかけは、この景色。月に一回でも、この空間から隅田川の素晴らしい眺めを楽しんで欲しいと思って、アトリエを開放して「サルビア 月いちショップ」という名でイベントを始めたんです。そしたら月に一度の催しに、『うちも』『うちも』と参加してくださる店が増えて。ゆるいつながりを大事に、みんなでこの日を楽しんでくれればと思います」（篠田さん）
活動が広がるに連れてお店の場所をお客さんに聞かれるようになり、作り始めたのが「蔵前おさんぽMAP」。最初のうちはセキさんの手作りだったといいます。左は『Salvia』を創業するきっかけとなった、セキさんのマッチ箱です。
以前は外苑前に事務所を構えていたそうですが、セキさんがスウェーデン留学から帰ってきたとき「織り機を置ける場所が欲しい」と思ったことから、別の場所を探していたのだとか。ちょうどスカイツリーが建設途中の頃、窓から見える絶景にひとめぼれし、蔵前へ移転することを決めたといいます。
「青山にいたときは『隣は何をする人ぞ』という感じでしたが、ここは人との距離感が全然違います。大家のおじいちゃんがフラッと遊びにきてくれたり。人のふれ合いを感じますね」（篠田さん）
人と自然につながっていく街、蔵前
モノづくりの街・蔵前には、人と人とが自然につながっていける雰囲気があります。温もりがあふれる手仕事の数々に触れながら、隅田川とスカイツリーの絶景を楽しみたい方は、ぜひ「月イチ蔵前」の日に訪れてみては。月に一度だけオープンするこのお店で、きっと蔵前エリアの魅力を体感できるはずですよ。
Salvia
【住所】東京都台東区駒形2-1 駒形２丁目1-8 楠ビル302号
【営業時間】毎月第1土曜日 12：00～18：00のみ
【公式サイト】 http://salvia.jp/
