毎年、7月の6・7・8日の3日間にわたって開催される「入谷朝顔まつり」。入谷鬼子母神を中心として多くの朝顔業者と露店が立ち並ぶ、夏の風物詩として知られるお祭りです。今年で70年目という節目を迎える朝顔まつり。毎年約40万人の人出で賑わう、下町の祭りの様子をレポートします。
江戸時代から続く、入谷鬼子母神の夏祭り
入谷界隈の守り神
入谷エリアでは、江戸時代後期から朝顔栽培が盛んだったといいます。朝顔市が行われるようになったのは、明治時代になってからのようです。一時期は衰退したこともあったそうですが、戦後に改めてその良さが見直され、今ではすっかり有名になりました。
毎年3日間にわたって行われる朝顔市では、言問通りに約60軒の朝顔業者と約80軒の露店が並び、賑わいを見せます。朝顔は朝に花が開くので、お祭りのスタートも早く、朝5時から始まるのだそう。通り沿いに日除けが作られるので、お客さんも昼間の暑い日差しを避け、涼しく朝顔を買うことができます。宅配便で送ることもできるようです。
3日間のみ販売される「朝顔守り」
言問通りに続き、入谷鬼子母神の境内にも、朝顔の鉢植えがズラリと並びます。朝顔の鉢と並んで人気なのは、朝顔市のときだけ手に入る「朝顔守り」。一つひとつ、火打石でお清めをしてくれます。色は赤・青・紫の3色で、各1,000円。もっと小さな飾りタイプのものもあります(各500円)。
ありとあらゆる朝顔が勢揃い
種類の多さは日本最大
入谷の朝顔市の魅力は、何といっても朝顔の種類の多さ。今までに見たことがないような、色とりどりの朝顔に圧倒されます。こちらは中でも人気が高いという「行燈(あんどん)朝顔」。4色の花が一度に楽しめるもので、一鉢2,000円(税込)です。
なかでも、店先の会話でよく耳にしたのが「団十郎」という朝顔。こちらは、朱色がかった茶色の朝顔で、江戸時代の歌舞伎役者、二代目市川團十郎の衣装の色だといわれています。入谷の朝顔市に来たのなら、普段はなかなか巡り会えない、江戸の風情を感じる朝顔を買うのもいいかもしれません。
お店の人と話をしながら朝顔を選ぶ楽しみ
朝顔市では、お店の人と相談しながら朝顔を購入することができます。朝顔の絵柄がついた粋な法被姿の売り子さんに、「この朝顔は……」とじっくり話をしている人が多いのが印象的でした。中には2鉢、3鉢抱えて帰る人も。毎年訪れていて、欲しい種類を決めている人も少なくないようです。朝顔のプロと話をしながら自分だけの花を選ぶとは、何とも贅沢ではないでしょうか。
お店の方に伺ったところ、朝顔を長持ちさせるには、朝気温が上がる前と涼しくなった夕方頃の2回、たっぷりお水をあげるとよいそうです。また、花を長く楽しむために、9月上旬まではしぼんだ花を摘み取って、種がつかないようにするとよいのだとか。朝顔を育てている方はぜひ、実践してみてください。
夏の訪れを「朝顔」で感じる贅沢
夏の訪れを花で感じることができる、入谷の朝顔市。地元らしい落ち着いた風情がありつつも、遠方からのお客さんも多く、この日を毎年楽しみにしている人がたくさんいるようでした。真新しいイベントではなく、昔からの祭りが多く残っているのが下町の魅力。この街ならきっと、古き良き東京の趣を肌で感じながら暮らすことができることでしょう。
入谷朝顔まつり
【開催場所】東京都台東区下谷1-12-16
【開催時間】5:00~23:00
【公式サイト】 http://www.asagao-maturi.com/