都内で最も古いお寺といわれる浅草寺。その浅草寺で昔から受け継がれている縁日が「ほおずき市」です。2017年は7月9日(日)10日(月)の2日間にわたって行われました。江戸風鈴の音色とほおずきの朱色が、暑い夏の訪れを告げてくれる様子をレポートします。
浅草寺ほおずき市とは
一生分の功徳が得られる、特別な縁日
浅草寺ほおずき市は、別名「四万六千日(しまんろくせんにち)の縁日」と言われています。浅草寺には月に一度、「功徳日」と呼ばれる縁日がありますが、中でも7月の縁日は特別。7月10日に参詣すると、4万6000日分のご利益があるとされています。一度お参りするだけで、なんと約126年分。人の寿命で考えると、一生分の功徳が得られることになります。
そんなにご利益があるならば……と前日から訪れる参詣客があまりに多いので、7月は9・10日の2日間、縁日が開催されるようになったそうです。ほおずきを売るようになったのは、もとは港区にある愛宕神社が発祥。縁日に薬草としてほおずきを売る文化が浅草に伝わり、より盛大になったといわれています。
2日間だけ授与される「雷除」の御札
ほおずき市の開催日だけに手に入るのが、「雷除(かみなりよけ)」の御札。三角形のお札が竹に挟んである、独特な形の守護札です。落雷をはじめ、幅広く災難除けにご利益があるといわれています。本堂はお賽銭を入れてお参りする人と雷除を求める人がひっきりなしに訪れ、熱気に包まれていました。
色鮮やかなほおずきの色に、夏を感じる
たわわに実る「枝ほおずき」
浅草寺ほおずき市では、風鈴付きの「つり篭ほおずき」が有名です。境内のあちこちからチリンチリンと可愛らしい音が聞こえ、涼を感じます。
そしてもう一つ、人気なのが「枝ほおずき」。たわわに実が連なった枝は色鮮やかで、思わず目を留めてしまいます。夏の青空のもと、濃いオレンジ色のほおずきを見ていると、何だか元気が沸いてくるよう。赤い実が3つ、5つと篭に入ったほおずきをお土産に買って帰ることもできます。
露店や参道で、浅草グルメを味わう
境内に出ているたくさんの露店や、浅草寺の西側にある「浅草西参道商店街」で浅草グルメを味わうのも、ほおずき市の楽しみのひとつ。写真は浅草花月堂の夏期限定商品・アイスメロンパンです。
「夏が来た!」と気分を盛り上げてくれる東京下町の賑わいは、いつ訪れても元気をもらえます。五感で味わう江戸の夏、ぜひ浅草で体験してみてください。
浅草寺
【住所】東京都台東区浅草2-3-1
【公式サイト】 http://www.senso-ji.jp/annual_event/13.html
夏の訪れを肌で感じる、下町の暮らし
東京下町を代表する名所『浅草寺』。年中行事の度に、さまざまな表情を見せてくれるのが魅力です。春は桜、初夏はほおずき。季節ごとに日本の美しさを感じられるのも、下町エリアで暮らす醍醐味といえます。美しいオレンジ色の実と、江戸風鈴の涼しげな音色で、夏の到来を感じる……。暮らしの中に、江戸の伝統を取り入れてみるのも「下町らしさ」を味わうポイントかもしれません。江戸っ子に愛される夏の風物詩「ほおずき」を眺め、夏を感じてみてはいかがでしょうか。