土地価格の調べ方とは?購入・売却のための基礎知識から効果的な情報収集まで
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土地を購入する際や売却を検討する際、正確な土地価格の情報について、どこから情報を得ればよいのか、どう調査すればよいのかわからない…。多くの人が戸惑ってしまうのではないでしょうか。土地価格はさまざまな要因によって左右され、単純な価格表示だけではその価値を完全に理解することができません。また、公的機関や民間のポータルサイト、不動産仲介業者など、多くの情報源が存在するため、効果的な調査方法を知ることが求められます。本記事では、土地価格の基本知識から具体的な調べ方、実地調査の方法までをご紹介します。
目次
土地価格を調べる前に押さえておくべき基礎知識
土地価格に関する基礎知識として、土地価格の定義、価格に影響を与える要因、そして公示価格と実際の取引価格の違いについて押さえておきましょう。
土地価格とは何か?
土地価格とは、特定の土地が持つ価値を金額で表したものです。これは土地取引や資産評価の基準となります。土地はさまざまな要因によってその価値が変動するため、その時点での経済的な価値を知ることが重要です。
土地の価値は定期的に公表される地価公示や地価調査、市場価格などを通じて把握できます。特に不動産取引の際には、適正価格を知ることで買手と売手の双方が納得のいく取引を行えるようになります。土地価格の評価はさまざまな方法や指標を駆使して行われるため、情報収集が欠かせません。正確な土地価格を知るためには、公的機関のデータや類似物件の取引事例などを活用することが求められます。
土地価格を左右する主な要因
土地価格を決定する主な要因はいくつか存在します。土地の価値は、その場所、周辺環境、使用目的、建築可能性など複数の要因によって影響を受けるためです。
たとえば、都市部に立地する土地は、交通の便が良く、商業施設や学校などの利便性が高いため価格が上昇しやすいです。通常、都市部の土地は需要が高く供給が限られているため、価格が高くなる傾向があります。一方、地方や過疎地では同じ面積の土地でも価格は低くなる傾向があります。
また、周辺環境も土地価格に大きな影響を与えます。高級住宅地や商業地に近い場所では、土地の評価が高くなることが一般的です。一方、工業地帯や騒音が多いエリアでは、土地の価値は下がる傾向にあります。
さらに、土地の使用目的や建築可能性も重要な要素です。商業地として利用できる土地や、建築規制が少ない土地は、住宅地と比較して高い価値を持つことが多いです。土地の形状や面積も価格に影響を与える要素で、特に建物の配置や用途に制約が少ない整形地は高く評価されます。
土地価格を把握するためには、これらの主な要因をしっかりと理解し、関連する情報を収集することが重要です。また、不動産会社や公的機関のサイトなどを活用し、最新の価格動向や過去の取引事例を確認することで、より正確な情報を得ることができます。
地価公示と地価調査の違い
地価公示※1 と地価調査※2 は、それぞれ異なる目的と方法で実施されるため、土地価格の正確な評価にはこの違いを正確に理解する必要があります。地価公示は国土交通省が年に1回実施し、全国の代表地点の標準地価格を示しますが、地価調査は都道府県が年に1回実施し、より詳細な地域ごとの地価動向を把握するためのものです。
地価公示は主に都市の代表地点を対象とし、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示するものです。土地取引の参考価格や相続税および固定資産税の基準として広く用いられます
一方、地価調査は都道府県知事が毎年7月1日時点における標準価格を判定するものです。土地取引規制に際しての価格審査や地方公共団体等による買収価格の算定の規準となることにより、適正な地価の形成を図ることを目的としています。地価調査のデータは公示地点よりも多く、より細かいエリアの地価情報を得ることができます。
地価公示と地価調査の違いを理解し、それぞれのデータを適切に活用することで、土地価格の評価がより精度の高いものになります。たとえば、地価公示をもとに大まかな市場の動向を把握した後、地価調査のデータを用いて具体的な地域の地価動向の詳細を確認することが可能です。これにより、不動産取引や資産評価の際に、より正確な判断ができるようになります。
地価公示と地価調査は、いずれも公的機関によって提供される信頼性の高いデータであり、土地評価や投資判断において欠かせない情報源となります。
※1 参考:国土交通省「地価公示」
※2 参考:国土交通省「都道府県地価調査」
インターネットを利用した土地価格の調べ方
インターネットを利用すれば、手軽に土地価格を調べることができます。ここでは、公的機関のサイトや不動産ポータルサイトを活用した方法について解説します。
公的機関のサイト活用法
公的機関のサイトを活用して、正確で信頼性の高い土地価格情報を入手しましょう。公的機関は国や自治体が運営しており、そのデータは公正であり、信頼性が高いからです。また定期的な更新も行われ、最新の情報が手に入ります。たとえば、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」※3では、公示地価や地価調査の結果が公開されています。また、各都道府県のホームページでも独自の地価調査結果が見られます。信頼性の高い情報を入手するために、公的機関のサイトを有効に活用しましょう。
※3 参考:国土交通省「不動産情報ライブラリ」 (旧:「土地総合情報システム」)
地価公示と都道府県地価調査の活用
地価公示や都道府県地価調査などの公的な土地価格情報は国や地方自治体が調査した公正なデータです。最新の価格動向を把握するのにも有効です。たとえば、国土交通省の「地価公示」※1 や「都道府県地価調査」※2 は、具体的な地価の変遷や地域の価格差を知るために活用できます。この情報を元に、土地の購入や売却の参考にすることができます。これらの公的な土地価格情報を活用することで、信頼性のある価格動向を把握し、より正確な土地評価と適切な価格交渉が可能になります。
※2 参考:国土交通省「地価公示」
※3 参考:国土交通省「都道府県地価調査」
不動産ポータルサイトを通じた情報収集方法
不動産ポータルサイトを活用することで、簡単に土地価格の情報を収集することができます。不動産ポータルサイトはインターネット上で手軽にアクセスでき、多くの物件情報がひとつのプラットフォームに集約されているため、比較検討が容易になります。
たとえば、SUUMOやアットホームなどの大手不動産ポータルサイトを利用することで、自分が関心のある地域の土地価格を瞬時に確認することができます。このようなサイトでは、所在地や価格、面積など多様な検索条件を設定することで、特定の条件に合った物件を効果的に探し出すことができます。
さらに、不動産ポータルサイトを使うことで、同一地域内の異なる物件の価格を簡単に確認できるため、自分の予算や希望に合った最適な土地を見つけやすくなります。
また、これらの不動産ポータルサイトにはユーザーレビューや過去の取引実績、周辺環境の詳細情報も掲載されていることが多く、土地購入に際しての判断材料として非常に役立ちます。
実地調査とプロへの相談で得られる情報
土地価格を正確に把握するためには、インターネットだけでなく、実際に足を運んで調査することや、専門家に相談することも重要です。ここでは、実地調査とプロへの相談で得られる情報について解説します。
実地での土地価格調査とそのメリット
実地での土地価格調査を行う際、その最大のメリットはデータ以上の情報を得られる点にあります。インターネットや書類で収集できる情報は重要ですが、実際の現地を訪れることで土地の状態や周辺環境を直接確認でき、より詳細な評価が可能になります。
たとえば、昼夜の交通量や騒音の状況、そして近隣の建物の状態などを自分の目で確かめることができます。これらは書類やデータだけでは把握しづらい要素です。昼と夜とで交通量や周辺の騒音レベルが大きく変わる地域もありますし、近隣の建物や公共施設の状態によっても土地の評価は変動します。このような細かな点が土地の実際の価値をより正確に評価するために重要です。
また、近隣の類似物件の取引事例を現地でリサーチすることで、相場感をつかみやすくなります。これにより、土地の購入価格や売却価格の交渉において有利な立場に立つことができます。
さらに、現地で確認する主なポイントには、立地条件、前面道路の幅、土地の形状や接道の状態などがあります。これらは土地の評価に直接影響を与えるため、慎重にチェックする必要があります。立地の利便性や周辺の将来性についても現地で確認することで、より正確な資産評価が可能となります。
不動産仲介業者や不動産鑑定士への相談方法
土地価格を正確に把握するためには、自分だけで調査を行うだけでなく、専門家の力を借りることが重要です。ここでは、具体的な相談方法とそのメリットについて解説します。
不動産仲介業者や不動産鑑定士への相談は、土地価格をより正確に把握するための有力な手段です。専門家は市場の動向や地域の特性に精通しており、詳細かつ信頼性の高い情報を提供できるからです。専門家の知識と経験を活用することで、土地購入や売却の際により効果的な意思決定が可能になります。
近隣の土地取引事例の調査方法
近隣の土地取引事例を調査することで、実際の市場動向を把握することができます。土地の価値は、近隣エリアでの最新の取引価格に大きく影響されます。同じ地域内での取引事例を確認することで、現在の市場相場を正確に把握することができます。
たとえば、不動産ポータルサイトや公的機関のデータベースを使用して、直近の取引事例を検索することが可能です。土地付き一戸建ての成約情報を参照することで、面積や立地条件の類似した物件の価格帯を確認できます。これにより、特定の地域における土地の価格帯や需要の傾向を把握することができ、購入や売却の際に有利な判断ができます。
不動産鑑定士による価格査定
不動産鑑定士による価格査定は、土地の正確な価値を把握するために重要です。不動産鑑定士は専門的知識と豊富な経験を持ち、地域の詳細な市場状況や土地の特性を理解しているため、適正な査定が可能です。また、信頼性の高い評価が得られます。
同じ地域内にある土地でも、不動産鑑定士は周辺のインフラ整備状況や将来的な開発計画を考慮して査定を行います。そのため、市場価値に影響を与える隠れた要因も含めた総合的な評価・判断を提供してくれます。
専門家による査定を依頼することで、土地価格についての信頼性の高い情報が得られるため、購入や売却の際により適切な判断ができるようになります。売主や買主にとって、適正な価格設定ができることで、不動産取引を円滑に進めるための一助となります。
土地価格調査の際の注意点とその対策
土地価格を調査する際には、特定の注意点を理解し、それに対する対策を講じる必要があります。ここでは、よくある注意点とその効果的な対策方法について解説します。土地の価格を正確に把握するためには、複数の異なる要素を考慮する必要があります。一つひとつの要素を理解し、それに対する適切な対策を講じることで、より精度の高い土地価格の調査が可能になります。
公示価格と実勢価格の違い
公示価格と実勢価格は異なる概念であり、土地の評価において両者の違いを理解することが重要です。
公示価格※1は、国土交通省が毎年発表する基準価格です。この価格は、公共事業用地の取得価格、土地取引の指標、相続税や固定資産税の評価基準として用いられます。そのため、公示価格は市場動向をある程度反映していますが、固定されたデータとしての性質も持っています。
一方、実勢価格は実際の取引に基づく価格であり、市場のリアルな状況を直接反映しています。実勢価格は、買い手と売り手が合意した価格であり、その時々の需給関係や市場環境によって変動します。たとえば、地価公示によれば特定地域の土地の公示価格が毎坪100万円の場合でも、実際の取引ではその価格よりも高い120万円で取引されることもあります。これは市場の需要と供給の状況によるもので、公示価格とは異なる要素が影響しているのです。
公示価格と実勢価格の双方を把握することは、土地取引の際の価格交渉をより的確なものにするために欠かせません。公示価格はあくまで参考値として利用しつつ、実勢価格を考慮することで、実際の取引価格に対して適正な評価を行うことが可能となります。このように、土地取引を行う際には公示価格と実勢価格の違いを明確に理解し、それぞれの特性を踏まえて判断することが求められます。
相場情報の活用と売り出し中物件の価格分析
土地価格の相場情報を活用することは、売り出し中の物件の価格をより適切に分析するのに役立ちます。相場情報は市場全体の価格動向を反映しており、個別物件の価格が市場の平均と比較して妥当かどうかを判断する助けになります。具体的には、近隣エリアの土地価格と比較することで、特定の物件が高すぎるか、あるいは割安かを見極めることができます。
たとえば、同じエリア内で似たような条件の物件がいくつかある場合、それらの平均価格と売り出し中の物件の価格を比較することで、価格設定が適正かどうかを確認できます。類似物件の価格と比較することにより、目の前の物件が割高であったり、逆にお買い得であったりするかを明確に把握できます。
このように、相場情報をもとに売り出し中の物件の価格を適切に分析することで相場を知ることができ、買い手としての交渉力も高まり、より有利な条件で取引を進めることができます。そのため、土地や物件を購入する際には、事前にしっかりと相場情報を収集し、分析することが重要です。
まとめ
土地を購入する際や売却を検討する際、効果的に進めるためには、まず基礎知識の理解が必要です。土地価格とは何か、そしてそれを左右する要因についてしっかり理解することが最初のステップとなります。また、地価公示と地価調査の違いを知ることで、正確な情報を得るための土台が築かれます。これに加え、インターネットを利用した情報収集法や不動産ポータルサイトの活用、不動産仲介業者や不動産鑑定士への相談も有効な手段です。
土地を購入する際や売却を検討する際、正確な土地価格の情報について、この記事で紹介したステップや考慮すべきポイントをもとに、基礎知識の理解から進めてみましょう。各種専門家と積極的に相談し、土地の購入や売却検討ための参考になれば幸いです。
いえらぶ編集部
全国15,000社の不動産会社の業務支援をする中で得たノウハウを日々発信中。
おもに、不動産(賃貸・購入・売却)や税金・法令といった暮らしに関わる記事を執筆しています。
https://ielove-cloud.jp/
筆者
リノベる。JOURNAL編集部
物件探しからアフターサービスまで、リノベーションに関わることを一社完結のワンストップで手掛ける「リノベる。」
そんな「リノベる。」が住宅購入、リノベーション知識、ローン、リノベーション事例や暮らし方、お施主様インタビューなど住宅購入やリノベーションをご検討の方に役立つ情報をお届けしています。
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