不動産売却と税金の基本を完全解説!

不動産売却と税金の基本を完全解説!
中古マンション

不動産売却は大きな利益をもたらす可能性がある一方で、税金についての理解が不足していると予期せぬ負担が生じることがあります。
多くの人が不動産を売却する際に税金に対する知識不足で損をしている現状が・・・。
本記事では、不動産売却時に発生する税金の種類から申告の手続きまでを解説します。

目次

不動産売却と税金の基本概念

不動産を売却すると、様々な税金が発生するため、税金の基本概念を理解することが重要です。ここでは、不動産売却に伴う税金についてご紹介します。これらを理解しておくことで、売却後の税負担を見越した計画を立てることが可能となります。

不動産売却で発生する税金の種類

不動産売却には譲渡所得税、復興特別所得税、住民税、印紙税など、複数の税金が関わります。

たとえば、不動産の売却による利益には譲渡所得税(復興特別所得税・住民税)が課せられます。この譲渡所得税の計算は、売却価格から取得費用や諸経費を差し引いた譲渡所得に対して行われます。また、売買契約書の作成には印紙税が必要です。売買契約書に貼付する印紙税の額は契約金額に応じて変動します。

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不動産売却を計画する際は、これらの税金をあらかじめ考慮に入れることが重要です。適切な税金対策を行わないと手取り額が大きく減少する可能性があります。また、税金の計算方法や控除の活用については、税理士などに相談することをおすすめします。

課税対象となる不動産の範囲

不動産売却に関連する税金を正しく理解するためには、まず課税対象となる不動産の範囲を明確にしておくことが重要です。

課税対象となる不動産は、主に次のような種類があり、居住用不動産、賃貸用不動産、空き家、土地などが該当します。たとえば、マイホームとしての戸建て住宅やマンションは居住用不動産に分類され、この場合、特定の控除や税率の軽減を受けられる可能性があります。

このように、不動産の種類によって課税ルールや負担が異なりますので、それぞれの物件についての具体的な課税範囲を正確に把握しておくことが不可欠です。これは税理士などの専門家に相談することで、より確実な計画を立てることができるでしょう。

主な税金とその計算方法

譲渡所得税と住民税

不動産の売却により発生する利益、すなわち譲渡所得に対して課せられる税金がこの譲渡所得税と住民税のふたつです。

譲渡所得税と住民税は売却利益に基づいて算出され、それぞれが所得税の一部を構成します。そのため、不動産を売却する際には、売却額だけでなく取得費や譲渡費用も重要です。これらの費用が正確に記録されていることで、適切な税金の計算が可能になります。

たとえば、1,000万円で購入した物件を3,000万円で売却した場合を考えてみましょう。この場合、2,000万円の売却益、すなわち譲渡所得が発生します。この譲渡所得から、譲渡費用や特別控除を引いた金額に対して、譲渡所得税と住民税が課されることになります。

税金計算には正確な記録が不可欠です。売買契約書や取得費用の領収書、譲渡費用の証明書など、すべての書類をしっかりと保管しておくことが大切です。これにより、後々必要となる確定申告の際に迅速かつ正確に手続きを進めることができるでしょう。

計算方法と特例控除の活用

上述の通り、譲渡所得税は不動産の売却収入から取得費や譲渡費用、特別控除を差し引いた額に対して課税されます。仮に取得費が不明な場合は、売却価格の5%をみなし取得費として計算します。譲渡費用には、仲介手数料や印紙税などが含まれます。

譲渡所得税は、所有期間に応じて税率が変わります。5年以下であれば短期譲渡所得で39.63%、5年以上であれば長期譲渡所得で20.315%が税率となります(2024年7月現在)。ご自身がどちらの税率が適用されるのか分かりやすい例を挙げると、お正月を迎えた回数が5回以下なら短期、6回以上なら長期となります。また、お正月を11回以上迎えている場合は軽減税率の特例もあります。

特例控除を活用することで、課税額を大幅に減少させることも可能な場合があります。居住用財産であれば3,000万円の特別控除を利用できたり、相続不動産に関する特例などがあります。

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税金の計算方法と特例控除を理解して、不動産売却時の税負担を最小限に抑えましょう。特例の利用にあたっては諸条件があるため、税理士などに相談しながら慎重にお選びください。

納税のタイミングと負担額

納税のタイミングを理解していないと、急に高額な税金を支払わなければならなくなり、予定外の金銭的負担を負うことにつながります。たとえば、不動産を売却して得た利益に対する譲渡所得税は、売却が成立した翌年の確定申告時に支払う必要があります。納税のタイミングを事前に把握し、計画的に資金を準備しましょう。

固定資産税の清算

不動産売却において、固定資産税・都市計画税の清算は重要な手続きのひとつです。固定資産税・都市計画税は通常、年度単位で課税され、その税額は1月1日時点の不動産所有者に対して課せられます。そのため、不動産売却の際には売主と買主の間で適正に税金を分担することが必要です。もし清算が適切に行われなければ、後日、売買トラブルの原因となってしまう可能性があります。

具体的には、固定資産税・都市計画税額が年間12万円の場合、売却日が年度の中間にあたる場合には、売主と買主がそれぞれ6万円ずつ負担する計算となります。これにより、年度途中で不動産を所有する期間に対して公平に税金を分担することができます。税金の清算についての取り決めは売買契約書に明記され、双方が同意する形で取引が進められるべきです。

税金申告と納付の手続き

不動産を売却した際に、適切に税金申告と納付の手続きを行うことは、法的な義務であるだけでなく、後々のトラブルを避けるためにも非常に重要です。続いては、不動産売却後の確定申告の流れから、必要書類とその提出期限、そして納税資金の準備と納付方法までくわしく解説します。

売却後の確定申告の流れ

不動産売却後には確定申告をしなければなりません。これを行う理由は、不動産売却に関して所得税や住民税の申告・納付が必要だからです。特に売却益が出た場合には、税金の計算と納付には細心の注意が必要となります。

具体的な流れとしては、まず売却した不動産の譲渡所得を計算し、税務署に確定申告書を提出します。この計算には、購入時の取得費用や売却に伴う諸費用の証明書類が必要です。また、譲渡所得から控除できる特例もあるため、これを活用することで税負担を軽減することが可能です。これらの必要書類を揃え、提出期限内に手続きを行うことが必要となります。

無申告や遅延はペナルティの対象となるため、速やかに確定申告を行いましょう。申告期限を過ぎると追加の税金や延滞金が発生する可能性があります。確定申告を怠ると、予定していた税額を超える負担がかかることになるため、計画的に手続きを進めていきましょう。

必要書類とその提出期限

必要書類が揃っていないと確定申告が正確に行えず、税務署からの問い合わせやペナルティが発生する可能性があります。たとえば、売買契約書、領収書、登記事項証明書などの書類は必ず必要となります。これらの書類を事前に用意し、申告期限内に提出することが求められます。具体的には、売買契約書は取引の詳細を証明するものであり、領収書は手数料やその他の経費を証明するために重要です。

確定申告に必要な領収書や証明書類が揃っていない場合、税務署からの追加の確認依頼が発生し、納税額に影響を及ぼす可能性があります。したがって、確定申告に必要な書類を漏れなく準備し、期限までに必ず提出することが不可欠です。

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納税資金の準備と納付方法

譲渡所得税の納付方法にはいくつかあります。国税庁が定める振替日に口座引き落としで納付する振替納税、e-Taxによる口座振替、インターネットバンキング、クレジットカード、アプリ納付、コンビニ納付、現金納付などがあるため、ご自身の都合に合わせて納付方法を選びましょう。

まとめ

不動産売却に関しては、専門的な知識が求められる場面が多々あります。そのため、売却を検討している方は、税金についての正確な情報を把握し、適切な対策を講じることが重要です。特に、譲渡所得税や住民税、固定資産税など、多種多様な税金が絡むため、税法に詳しい専門家への相談を行うことも検討してみてください。信頼できる税理士や不動産コンサルタントに相談することで、安心して不動産取引を進めることができるでしょう。

今後は、税制改正の動向にも注意を払いながら、最新の情報を積極的に収集することが求められます。税法は時折改正されるため、常に最新の情報を把握しておくことが不動産売却の成功に不可欠です。定期的に不動産と税金の状況を見直し、状況に応じて最適な売却・税金管理を実現するための計画を立てていきましょう。

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【記事監修】リノベる。不動産担当安倍 和之(あべ かずゆき)

学生時代は教員を目指し、中学・高校(社会科)の教員免許を取得。大学卒業後、投資用マンション会社を経て、住友不動産株式会社 注文住宅事業本部にて従事。
2021年にリノベるへ入社し、物件探し+マンションリノベーションの提案営業を経験。現在は不動産販売および不動産仲介の業務をメインに担当。宅地建物取引士、管理業務主任者、二級ファイナンシャル・プランニング技能士、リノベーションコーディネーター。

筆者
リノベる。JOURNAL編集部
物件探しからアフターサービスまで、リノベーションに関わることを一社完結のワンストップで手掛ける「リノベる。」
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