【インテリアインタビュー】家具選びも情報整理でうまくいく。直感が生きるプロセスの重ね方

【インテリアインタビュー】家具選びも情報整理でうまくいく。直感が生きるプロセスの重ね方
インテリア

理想のおうちのイメージを集め始めると「あれもいい」「これもいい」と楽しい妄想が一気にふくらみます。

寝る間も惜しんで画像を探しまくったという画像検索沼に落ちたエピソードも、オーダーリノベーションあるあるのひとつ。

情報集めより難しいのが、その膨大な情報の中から自分が大切にしたいものを見つけて、満足のいく家づくりに活かしていくこと。

今回はインテリアをアートのように楽しむおうちづくりをされたL様にお話をうかがってきました。

コンセプトに立ちかえりながら、ひとつずつ丁寧に選択を重ねるプロセスがとても参考になります。

L様流、情報収集のはじめ方

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L様はどのようにインテリアの情報を集めていかれたのでしょうか?インテリアコーディネーターも驚くほど詳しくなられたと聞きました。

L様:
「もともと調べることが好きなのもあって、半年くらいで一気にインテリアについて勉強しました。

ピンタレスト、インスタグラム、YouTubeもすごくたくさん見ました。リノベーション事例や家具紹介のチャンネルなど、1日中YouTubeを見てたんじゃないかっていう日もありました。

あとは毎週のようにインテリアショップやショールーム、ヴィンテージショップに行って」

 
購入前に実物も確認されていたんですね。実物を見たら即決されるほうですか?

L様:
即決はしないですね。一回見て、家に帰って、もう一回見にいって心が変わらなければありかな、と。
あとはインテリアコーディネーターさんにもよく電話で相談しました」

 ご自身の「いいな」と思う感覚を、いろんな角度から精査するプロセスをひとつずつ丁寧に踏まれていたんですね。

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このお部屋に選ばれた家具は、インテリア好きならブランド名と商品名が言えるような名作が多いように思うのですが、家具選びではブランドも重視されたのでしょうか?

L様:
「インテリアの情報収集を始めたとき、情報が手に入りやすかったのが有名な家具だったので、そこを入り口としてインテリアの知識を得ていきました。

ある程度知識をつけて、他はどうなんだろうと広げていった結果、小口の仕上げや脚の柔らかい形状など、細かい部分を比べるとやっぱりいいものはいいいいなと思って。いろいろ見てみた結果、戻っていった感じです。

調べるうちに、安価でもいいものがたくさんあることもわかりました。例えば、ベッドスペースに置いている白いワードローブはIKEAのものですが、あまり情報として出す必要のない家具にはこのアノニマスなデザインがすごくいいなと思って、あえてIKEAを選びました」

アート空間のための部屋づくり

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床、壁、天井が白で統一されたこのお部屋、どのようなコンセプトでつくられたのかとても気になります。

L様:
「キッチンなど水回りとリビング、ダイニングスペースが分かれた間取りの部屋に住みたいとずっと思っていて、物件選びでも正方形っぽい区画を最優先事項にしました。

リビング、ダイニングスペースを四角い箱みたいな感じにして、生活感のないアート空間をつくりたいと思っていたので。

目に見えるものが全部きれいだとシンプルに気持ちがいいなと思って。なるべくノイズを減らしていったらこの空間ができあがりました。

名作テーブルから始まる家づくり

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L様:
「リノベーションの設計が始まる前に、フリッツ・ハンセンのダイニングテーブル(スーパー円テーブル)を置くことだけ決めていたんです。テーブルに合わせた内装をデザイナーさんが提案してくれました」

お部屋のインスピレーションの源はダイニングテーブルだったんですね。スーパー円テーブルは確かに人気の名作家具ですが、なにか特別な思い入れがあったのでしょうか?

L様:
「ヴィンテージテイストが流行っていたころにダイニングテーブルを探したことがあって。そのときに木素材があまり好きではないことに気づいたんです。

結局買えなかったことで、ダイニングテーブル選びに苦手意識のようなものが生まれて。それでリノベーションする家の家具探しは、あえて苦手なところから始めることにしました。

情報が手に入りやすかったので有名な家具からインテリアの知識をつけていって。いろんなものを見ていくなかで、スーパー円テーブルに出会いました」

おうち全体のインスピレーションにするほど惹かれたのはどんなところだったんでしょうか?

 L様:
「まずは素材が木じゃないってところですね。白とシルバーのシンプルな組み合わせなんですけど、天板の形も含めて微妙に柔らかい印象があって。エッジの部分だけアルミになっているあたりも好きです」

買えなかった経験の功名

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床全面が白いカーペットというのは大胆な選択だと思うのですが、これはどのように選ばれたんですか?

L様:
「フローリング以外の素材にしたくて。ダイニングテーブルに合う素材として、カーペットとタイルの提案をもらいました。カーペットがかっこいいなと思ったのと、ごろんとしたときに気持ちよさそうだなと。

 メンテナンスについても調べたんですけど、先のことを考えすぎるより、今の気持ちを優先したいなと思ってカーペットに決めました」

 テーブルだけでなく、内装まで木以外の素材から選ぶことを徹底されたんですね。

 L様:
「そうですね。すべて木ではないものにしようと決めていたことで選択肢が自然と絞られた部分があるかもしれません」

 まさか、ダイニングテーブルをたくさん探して結局買えなかった経験が、ここで生きてくるとは。「好き」がわかることと同じように「好きじゃない」がわかることも大切ですね。

家具選びでやったこと・考えたこと

ここからは、L様が内装と家具をどのように選んでいかれたのか、スペースごとに教えていただきます。

 大切にされたのは、ダイニングテーブルを軸にしつつの、素材感(ファブリックかスチールか)、形(丸か四角か)などのバランスだったそう。

リーン・ロゼ|トーゴ

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L様:
「ソファはレイアウトで迷いました。テレビを持っていないので映像を見る場合、壁に写すかたちになります。壁に向かい合う配置だと、なんとなく後ろ姿も可愛いこのソファがいいなと。

 座面も低くて圧迫感も減らせますし、せっかくカーペットにしたので床に近いほうが気持ちいいかなというのもあって。

 軽い気持ちで店舗に行って試してみたら、意外と座り心地も良くて。色もきれいだなと思ったので、いままで選んだことのないグリーンに。あまり選ぶつもりはなかったのに形も色も直感で決めてしまいました。

 頭で考えず選んだ予定外のものなんですが、ソファで過ごす時間が一番多いですね」

METROCS|アカプルコチェア

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L様:
アカプルコチェアは観賞用の椅子という位置づけで選んだものです。

全体がシャープな感じになる予定だったので、黒だったらオブジェっぽく浮くかなと思って。

アウトドアでも使えるものとはいえ、アウトドアっぽさもあまりないですし。リクライニングの揺れる感じへの憧れもあって、空間のはずしアイテム的な感じで選びました。

実はもともと、リビング側に置こうと思っていたんですけど、全部配置していったら置き場所がなくて。

いろいろ考えて、ベットスペースのワンクッションとして置くとけっこういいかも、とあとから置き場所を決めました。

完成した家に家具が入った状態を想像するのはけっこう難しくて、想定外もありました」

調光ロールスクリーン

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L様:
ホテルっぽいイメージでバーチカルブラインドを検討していたんですけど、なにか違うなと思って。

インテリアコーディネーターさんが、バーチカルブランドだと開けたときにブラインドがたまる部分ができて窓が少し隠れるので、窓枠をまったく塞がない調光できるロールスクリーンを薦めてくれました。

眺望は物件探しのとき重視していなかったんですが、住んでみるとやっぱり気持ちがいいですね」

調光ロールスクリーンは、シアーカーテンのような透ける生地と、透けない厚手の生地が交互になっていて、ブラインドのように角度を変えることでロールスクリーンをおろした状態でも眺望や光の取り込み方を調整することができるのだそう。

FLOS|FRISBI HOME

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形が気に入って選んだペンダントライトはFLOSのもの。シャープなデザインにしたくてFLOSというブランドのものに。PH5とも比較して空間との相性でこちらに

カール・ハンセン|CH24(Yチェア)

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ぷっくりした形でも、シルバーグレーのフレームカラーにして北欧系のほっこり感は回避 

USM|USMハラー サイドボード

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当初から「子供っぽくないおもちゃっぽいもの」を並べる想定で探したサイドボード

 

レクリント|シーリング モデル30-58

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天井が高く見えるので、ペンダントではなくシーリングライトに

動くほどにクリアに

おうちづくりを振り返って印象的なことはありますか?

L様:
「家をつくっていくなかで「これが好きなんだ」「これは嫌いなんだ」という気づきがたくさんありました。インテリアついて調べた半年くらいの間で、自分の「好き」に気づくことが最優先だったんじゃないかなと思います。

そのために一旦広く情報に触れてみて、自分の琴線に触れるものってなんだろうって考えて。そうするなかで浮かんできた「あぁこれが好きなんだ」「じゃあこういう部屋にしよう」「それならこういう家具になるんだろう」っていう感じで情報を整理していった感じです。

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これからお部屋に加えたいアイテムはありますか?

 L様:
「家具はひと通りそろったので、壁にかける絵、ちゃんとしたアートがほしいなと思っています。気軽に楽しめる現代アートが好きだと気づいたので。

アートこそよくわからないので、「好き」だけで選ぼうと思っています」

 

ご自身の「好き」を浮かび上がらせるためにたくさんの情報に触れることと、実物を見に行くことを、フットワーク軽く繰り返されているのが印象的でした。

 好みがわかったうえで、何度も脳内シミュレーションされていたからこそ、直感で選んだものも空間にハマったんですね。

 情報収集のプロセスはとても緻密に感じられるのですが、最終的な決断をするときは、大胆に軽い気持ちで決めていたのだそう。このあたりもリノベーションや家具という大きなお買い物をされるかたは共感するところではないでしょうか?

 L様、インテリア選びのヒントが詰まったお話をたっぷり聞かせていただきありがとうございました。

 


L様邸のインテリアコーディネーター 

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伊藤 千鶴 
インテリア業界歴約20年のプロフェッショナル。
インテリアショップでの店長及びVMD経験を経て、フリーランスへ転身。店舗VMD及びMD (PB開発等)など雑貨販売に企画から携わる。「より暮らしに根付いたインテリアの提案がしたい」という想いから、空間とインテリアを一緒につくることができるリノベるへ。 
3人の子育てをしながら、課長としてリノべるのお客様のインテリアに関わる。 

趣味はキャンプ、 間取り遊び、写真、 料理 
得意なインテリアテイストは、ホテルライク、ジャパンディ、ビンテージ、北欧系など

 

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