アルコーブとは?屋外と室内の活用方法の違いは?
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マンションで各住居のプライバシーを確保できると人気の「アルコーブ」。今回は、屋外アルコーブのメリットとデメリット、書斎や収納スペースなどに利用する室内アルコーブの活用方法をご紹介します。アルコーブを設置したリノベーション事例を見ながら、施工のアイデアをチェックしていきましょう。
目次
アルコーブとは?
アルコーブとは、部屋や廊下にある壁面の一部を後退させて、くぼみを作った部分のことをいいます。マンションでは、玄関前に設けたポーチを指すことが多いでしょう。屋外にある多くのアルコーブに門扉が設置され、プライベートな空間となっています。
アルコーブと同様に間取り図でよく見かけるものに、サービスバルコニーがあります。サービスバルコニーとは、面積の小さなバルコニーのことで、エアコンの室外機やプランターなどを置く程度の広さになっており、人が出て作業を行なうことは難しい場合が多いです。
一戸建て住宅でよく見かける玄関ポーチと同じものと捉えている方もいらっしゃるかもしれませんが、定義が異なります。玄関ポーチは、玄関の上部に突き出している庇の下にあたる空間を指します。庇があることで、雨や雪などの悪天候の日でも濡れることなく傘を準備することができます。また、衣類や傘についた雨や雪を、濡れることなく払い落して室内へ入ることも可能。ほかにも、一時的にベビーカーやカート・荷物などを置いたり、来訪者の応対にも活躍します。
また、庇によって直射日光が玄関に当たることを防ぐ日除けとしての効果にも期待ができます。直射日光が玄関に当たり続けることで室内の温度が上昇するほか、紫外線による玄関ドア塗装の劣化、熱による膨張や収縮による開閉の支障によって交換を余儀なくされるケースもあります。
一戸建て住宅のような門扉が設けられているマンションもありますが、アルコーブは玄関ポーチと比較して省スペースで設置することができるため、マンションではアルコーブが設けられている場合が多いです。
屋外アルコーブのメリットとデメリット
ここからはマンションの屋外アルコーブの、メリットとデメリットについてご紹介します。
メリット
メリット1:廊下の通行を妨げない
アルコーブがない場合、玄関を開けるとすぐに共用の廊下となってしまいます。人が廊下を歩いているときに玄関の扉を開閉すると、歩行の妨げになってしまうことも。また、廊下に人がいることに気づかず、勢いよく玄関の扉を開けると、人にあたってしまう可能性があります。アルコーブがあれば、廊下を行き交う人に気をつかわずに玄関の扉を開け閉めできます。
メリット2:プライバシーを保てる
アルコーブの最大のメリットは、プライバシーを保ちやすいことです。玄関からリビングまで直接つながる間取りの場合、玄関を開けた際に廊下を歩く人から室内が丸見えになってしまうことも。アルコーブがあることで中が見えにくくなり、プライバシーを保つことができます。
メリット3:防犯性が高くなる
屋外アルコーブは玄関とは別に門扉が設置されている場合が多く、防犯面での効果が期待できます。玄関の扉の前に、もうひとつ門扉があるため侵入の抑制になるでしょう。また、戸建住宅では玄関とは別に、道路と敷地の境界線に門扉を付ける家庭が多く防犯性が高まります。
デメリット
デメリット1:専有部分ではない場合が多い
マンションは、各住戸の所有者がある程度自由にできる「専有部分」と、マンションの居住者が共同で使用する「共用部分」に分けられます。アルコーブは専有部分のように思われがちですが、多くのケースで共用部分とされ専用使用権が設定されています。つまり、「自分の家のスペース」と思い込んで好き勝手な使い方をすると、マンションの制約に反する場合があるのです。
アルコーブがあると、自転車や植木鉢など、自由に私物を置きたくなりますが、その前にマンションの管理規約をチェックしましょう。特に、避難経路を妨げてしまわないか、災害時に備えて正しく利用されているかなどが注意点です。
デメリット2:設置費用がかかる
戸建住宅でアルコーブを新たに設置する場合、費用について注意が必要です。アルコーブを設けると外部に門扉をつける場合が多く、費用が高額になりがちです。アルコーブを新設ことのメリットとコストを考えて検討しましょう。
室内アルコーブのメリット・デメリット
ここでは室内にアルコーブを設けるメリット・デメリットについて紹介します。
メリット
メリット1:遊び心のあるスペースをつくることができる
部屋の一部にアルコーブを設けると、室内の同じ空間にありながら特別感のあるスペースとして活用することができます。アルコーブだけ壁の色を変えたり、ダウンライトを設置して光の陰影をつけたりすると、空間のアクセントにもなります。アートを飾る、オープンシェルフにインテリアを置くといったセンスを活かした、暮らす人のセンスを活かした楽しみ方ができます。
メリット2:独立したスペースをつくり空間の使い方の選択肢を増やせる
アルコーブをカーテンなどで簡易的に間仕切ると、プライベートスペースとして使用することも可能です。籠もれる書斎として趣味を楽しんだり、ちょっとした読書スペースとするなどの活用方法があります。
近年の働き方の多様性によるワークスペースの確保にお悩みの場合は、アルコーブを有効活用してみてはいかがでしょうか。
デメリット
デメリット1:明確な使用目的がないと物置のようになってしまう
目的をもってアルコーブを設けていない場合は、だんたんと不要な物の一時置きスペースのようになってしまうことがあります。相応のスペースを割いてせっかく設置したアルコーブが有効活用できないと、無駄なスペースとなってしまいます。設置を検討する場合には、使い方の具体的なイメージをもっておくとよいでしょう。
デメリット2:アルコーブ設置による材料費や工事費が必要となる
アルコーブの設置を検討する際は、造作に必要な工事費がかかることも把握しておきましょう。
通常であればフラットな壁面の一部に意匠をつけるわけですから、表面からは見えない下地材なども増えることになります。仕上げが必要な部分の面積が増える分の材料費も必要となります。新築の場合はすべてを新しくつくるため予算が把握しやすいですが、リフォームやリノベーションでは見積もり前に現地を入念に調査してもらう必要があります。希望の場所に設置できることを確認したうえで、発注するようにしましょう。
室内のアルコーブの活用方法
アルコーブを、室内の一画に設けて使用するケースもあります。室内のアルコーブには、次のような活用方法が挙げられます。
活用方法1:書斎にする
リビングルームや寝室の一画にアルコーブを設け、そのスペースにデスクと椅子を置いて書斎にすることができます。子供の様子を見守りながら仕事ができるため、特に小さなお子様がいる家庭におすすめです。三方が壁に囲まれたかたちになるため、仕事や読書などに集中しやすい環境をつくることもできます。
活用方法2:家事&趣味のスペースにする
リビングやキッチンの近くにアルコーブをつくって、家事や趣味のスペースとしても利用できます。家計簿をつけたり、アイロンをやミシンを使う空間にしたり、趣味を楽しむ場所にすることも。毎日の忙しい家事の合間に、一息つける小さなプライベート空間としても活用できそうです。
活用方法3:ソファを置く
ソファのサイズに合わせてアルコーブをつくったり、アルコーブの大きさに合ったソファを置くスペースとして利用できます。後方と両サイドが壁で囲まれた、落ち着く空間をつくることができます。特に、大きなサイズのソファは、部屋の中にあると圧迫感が出てしまうもの。アルコーブに置くことで圧迫感も軽減されるでしょう。
活用方法4:ベッドを置く
ソファと同じように、ベッドを置く場所としても活用できます。よくあるのは、子供部屋にアルコーブをつくり、それにピッタリ合わせたベッドを設置する例。子供にとって隠れ家のような空間になり、カーテンを取り付けて、ベッド部分を隠すこともできます。
活用方法5:収納スペースにする
高さのある本棚や収納ラックは、置いたときに存在感が大きくなります。アルコーブに収納を設けることで、部屋をすっきりと見せる効果があります。収納スペースに小物を飾って「見せる収納」にすれば、部屋のさりげないアクセントとしても活用できるでしょう。
活用方法6:ディスプレイスペースとして活用する
アルコーブはインテリアを飾るスペースとしても活躍します。趣味のものや収集しているものを飾る趣味のスペースとして活用してみてはいかがでしょうか。また、アート作品や観葉植物、お子様の創作した作品を飾るスペースにするのもおすすめです。お気に入りのものが目につきやすい場所に飾ってあることで、日々安らぎや癒しが感じられます。
アルコーブのリノベーション事例
ここからは、室内にアルコーブのようなくぼんだ空間を取り入れたリノベーション事例をご紹介します。室内にアルコーブの設置を検討している方は、参考にしてみてください。
夫婦のワークスペースを設置
リビングルームの一画にデスクと椅子を設置し、仕事ができるワークスペースをつくった事例です。デスクは横幅と奥行が十分あり、夫婦で並んで座っても快適に使えます。広いリビングにはアイランドキッチンを設置し、ヌケ感のある素敵な空間に仕上げました。リビングやキッチンと同じ空間にありながら、少し奥まった集中しやすいワークスペースは在宅ワークで大活躍しているそうです。
▼このおうちの詳しい写真や間取りを見る
『行き止まりのない84㎡』
https://www.renoveru.jp/renovation/341
ベッドを設置して寝室スペースに
玄関の土間スぺ―スから、キッチン、ダイニング、リビング、寝室まで、すべてフルフラットのワンルームの間取りのおうち。ベッドの部分は壁が奥まっており、同じ空間でLDKとベッドスペースがゾーニングされています。ベッド下の小上がりはちょうど腰かけられる高さで、日中はソファとして活用されています。
▼このおうちの詳しい写真や間取りを見る
『風とともに疾走する、なかよし家族のワンルームライフ』
https://www.renoveru.jp/renovation/276
テレビ設置用に設けた壁の後ろを収納スペースに
築39年の中古マンションを、コンクリート躯体をむき出しにしたおしゃれな空間にリノベーションしたおうち。リビングスペースには、建物の構造柱と梁を活かし、モルタル仕上げにしてテレビを設置しました。反対側の壁には、柱と壁のくぼみを活かした収納スペースをつくり、隣接するくぼみ部分にはデスクを配置。マンションの構造を活かして、すっきりとした空間づくりがされています。
▼このおうちの詳しい写真や間取りを見る
『躯体ペンキ塗装が魅力、ヴィンテージ空間。』
https://www.renoveru.jp/renovation/196
アルコーブについてのよくある質問
Q:マンションのアルコーブは専有部分?
A:以前はマンションにはアルコーブがないことがほとんどでしたが、プライバシーを重んじる人が増えてきたことに伴い、アルコーブを設置するマンションが増えてきています。区分所有者のプライバシーが守られるためのスペースではありますが、基本的にアルコーブは専有部分ではなく共用部になります。
アルコーブ部分の利用に関するルールはマンションによって異なります。個人の物を置くことが許可されている場合、ベビーカーや自転車を置いたり、プランターを置いてガーデニングを楽しむこともできます。
門扉から玄関までのアプローチが長い場合は活用の幅が広がります。しかし、物置のように雑然とした使い方になってしまうと、近隣や管理会社から注意を受けることもあるため注意が必要です。
Q:アルコーブとサービスバルコニーはなにが違う?
A:サービスバルコニーは、キッチン横に設置されることの多い小さめのバルコニーを指します。
キッチン横にサービスバルコニーがある場合、調理などで出た生ごみやかさばる缶や空き瓶、不燃物などを一時的に保管しておくといった活用ができます。
キッチンに光や風を取り込むことができるというメリットもあります。
室内に設置される場合もあるアルコーブに対し、サービスバルコニーは室外にあります。
まとめ
アルコーブには、屋外と室内に設置するふたつのタイプがあることが分かりました。屋外では安全性や防犯性が高まり、室内では部屋をスタイリッシュに演出できるのが魅力。おうちのリノベーションや新築を計画されている方は、設置を検討してみてはいかがでしょうか。
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