中古マンションで理想の間取りを叶える方法
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建物から室内の設備まで、すべてが新品の「新築マンション」。マイホームの購入を検討する人に根強い人気を誇っています。しかし、最近は価格が上昇している背景などから中古マンションの人気も高まってきています。
マンション選びの際に重要視される条件には、予算、間取り、立地などがあるでしょう。新築マンションの魅力には最新の設備や構造のほか、最新のトレンドが取り入れられた間取りがあります。しかし近年では、中古マンションをリノベーションし、新築以上に快適に心地よく暮らせる間取りを叶える人も増えてきました。
今回は、新築マンションと中古マンションの間取りや内装のメリット・デメリット、年代別の間取りの特徴などをご紹介していきます。どちらがあなたの理想の暮らしを叶えられるのか、マイホームを購入する際の参考にしてみてください。
目次
- 中古マンションを購入する人が増えている
- 新築マンションの間取り、内装のメリット・デメリットとは
- 「中古マンション購入+リノベーション」の間取り、内装のメリット・デメリットとは
- 年代別:マンションの間取りの特徴
- まとめ
中古マンションを購入する人が増えている
建築資材の価格や人件費の価格高騰などにより新築マンションの価格は上昇続き、2023年、首都圏新築マンションは、平均価格、㎡単価ともに最高値を大幅に更新しました。とくに東京23区では平均価格が1億円の大台を突破。そのため最近は、中古マンションを購入する人が増えています。
2023年に首都圏で供給された新築マンション供給戸数は26,886戸でした。一方、2023年の首都圏の中古マンション成約件数は35,987件と、新築マンション供給戸数を大きく上回りました。
出典:株式会社不動産経済研究所、公益財団法人東日本不動産流通機構
首都圏における新築マンション供給戸数と中古マンション成約件数を、それぞれ同じ出典の過去のデータから整理してみると、以下のように推移しています。
新築 マンション 供給戸数 |
中古 マンション 成約状況 |
|
2014年 | 44,913 | 33,798 |
2015年 | 40,449 | 34,776 |
2016年 | 35,772 | 37,189 |
2017年 | 35,898 | 37,329 |
2018年 | 37,132 | 37,217 |
2019年 | 31,238 | 38,109 |
2020年 | 27,228 | 35,825 |
2021年 | 33,636 | 39,812 |
2022年 | 29,569 | 35,429 |
2023年 | 26,886 | 35,987 |
過去、新築マンションは中古マンションよりも大きな流通シェアを保ってきましたが、2016年に逆転して以降、新築マンションの供給戸数は減少傾向。中古マンションは微増傾向が続き、その差は大きくなりつつあります。
上記はあくまでも、新築マンションの価格が上昇傾向にある首都圏において顕著な現象です。しかし今後は、首都圏以外の地域でも同様のことが起こる可能性があると考えられます。
出典:株式会社不動産経済研究所「首都圏マンション市場動向」(2014-2023)
新築マンションの間取り、内装のメリット・デメリットとは
新築マンションと中古マンションにはそれぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
今回は「間取り」と「内装」に絞って比較してみましょう。
新築マンションのメリット
最近の新築マンションは、必要に応じてレイアウト変更ができる可変性の高い間取りを取り入れた物件が増えています。たとえば、LDKなどに部屋を仕切れる引き戸があるケース。
普段は扉を開放して空間を広々と使用し、ゲストが泊まる時や家族が増えて子供部屋を作りたくなった時に個室として仕切るなど、シチュエーションや家族構成の変化に合わせて間取りを変更することができるようになっています。
洗面所、浴室や洗濯機置き場などの水回りがキッチンに隣接し、動線が一直線になっている間取りも増えています。行き来しやすいよう考慮されているため、忙しい朝の支度、食事の準備や洗濯家事、子供をお風呂に入れたりするのにも便利です。
玄関にはたくさん靴が入るトールタイプのシューズボックス、洗面室には多数の小物が収納できる三面鏡裏収納など、新築マンションには機能的な収納スペースが多くあります。キッチンには奥まで物が置け、取り出しやすいスライド式収納が設えられている物件も多く見られます。
新築マンションのデメリット
新築マンションは多くの場合、決められたプランから間取りや内装を選びます。そのため自由度は高くありません。新築マンションを購入した後、実際に生活をする上で不便な点に気づく人も多いようです。
住宅購入者による口コミでは、新築マンションを購入したものの、間取り選びで後悔している人も多く見られます。リビングルームを通らないとほかの部屋に行けない、来客時に不便を感じている、リビングのすぐ隣にトイレがあるので、水音が聞こえてしまう、クローゼットやコンセントの位置が生活動線に合わない、などの不満も。新築マンションは既存の間取りに合わせて暮らさなくてはいけません。後悔しないためには間取りも含めて慎重に選びましょう。
「中古マンション購入+リノベーション」の間取り、内装のメリット・デメリットとは
続いて、中古マンションを購入してリノベーションする場合の「間取り」と「内装」のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
中古マンション購入+リノベーションのメリット
既存の内装をすべて取り払い、リノベーションを行う前提で中古マンションを購入する場合、間取りや内装を気にせず物件を選べるため選択肢が広がります。これは大きなメリットです。また、物件価格とリノベーション工事費用を合わせても、新築マンションより費用を抑えることが可能な点もメリットと言えます。
新築マンションでも間取りや内装をカスタマイズできる物件がありますが、リノベーションに比べると自由度が低い場合がほとんどです。
例えば、65㎡のマンションの既成の間取りは2LDKか3LDKが主流ですが、リノベーションなら、住む人の暮らし方に合わせて、1LDKにも、4LDKにもすることができます。オーダーメイドの目取りなら、固定概念に縛られず、廊下のない家が作れたり、ベッドが入るだけの2.5畳の寝室を作ることもでき、その分広く開放感のあるリビング・ダイニングを作ることができます。
マンション購入時には夫婦2人暮らしでも、「3人家族・4人家族になるかもしれない将来を見据えると3LDK~4LDKが欲しい」と言う方は多いですが、2人暮らしの今、本当に3部屋必要でしょうか。今も、ライフステージが変わった将来も、無駄のない暮らしやすい間取りを叶えるなら、オーダーメイドで可変的な間取りを取り入れることがおすすめです。
また、部屋数だけでなくレイアウトをライフスタイルに合わせて自由にできることは、新築マンションでは叶いにくい、オーダーメイドリノベーションの大きなメリットです。
個室を、家族が集まるリビング・ダイニングを経由する動線にしたいご家族もいれば、玄関から直結するプライベート空間として確保したい場合も。子育ての方針や、お仕事がテレワークが多い方とそうでない方でも、部屋の配置の希望は全く異なるでしょう。
中古マンション購入+リノベーションのデメリット
中古マンション購入+リノベーションのデメリットは、物件購入後に改装するため事前に完成形を確認できない点です。デメリットを緩和するためには、3DやVR、あるいは手描きのイラストなど、設計図だけでなく具体的にイメージを提示してくれるリノベーション会社を選ぶとよいでしょう。
マンションの管理規約や建物の構造により、希望の内装や間取りにできなかったり、窓サッシといった共用部分を変更できなかったりする点もデメリットと言えます。そのほか、建物の構造上、室内に解体できない壁があることも。建物の構造や管理規約は購入前に確認して、理想の暮らしを実現できる物件か見極めることが大切です。住宅購入する前に、それぞれのメリット・デメリットを調べて検討しましょう。
上記のような注意点を知り失敗を避けるためにも、契約する前に知識と経験のあるリノベーション会社などプロに物件を見てもらうことをおすすめします。
詳しい内容はこちら>新築マンションでは得られない、中古マンションならではの4つの購入メリット
年代別:マンションの間取りの特徴
中古マンションといっても、築浅のものから築50年以上のものまでさまざまです。マンションの間取りには時代のトレンドが反映されています。ここではマンションの間取りの特徴を年代別に解説します。中古マンションを選ぶ際の参考にしてみてください。
1960年代後半~1970年代のマンションの間取り
1960年代後半から1970年代に建てられたマンションはひとつひとつの部屋が小さく、「センターリビング型」が主流でした。センターリビング型とは部屋の中央にリビングがある間取りのことです。必ずリビングを通ってほかの部屋に向かう構造であるため、家族のコミュニケーションが取りやすい間取りです。一方で、リビング・ダイニングへの採光・日当たりが十分でなく、暗い印象を感じることも。
この年代のマンションは、天井の高さが220~230cmと低い傾向にあります。最近の新築マンションの一般的な天井高は240cmほどなので、10cm~20cmほど違いがあります。天井高は空間の広さの感じ方に影響するため、人によっては圧迫感を感じる人もいるかもしれません。
センターリビング型の間取り図
1980年代のマンションの間取り
1981(昭和56)年に建築基準法が改正され、「新耐震基準」が導入されました。これをきっかけに、より高い耐震性能を持つ建物が建てられるようになりました。また、1970年代までは部屋数が重視されていましたが、ちょうどこのころから「住みやすさ」がフォーカスされるようになり、生活動線に配慮した間取りである「センターイン型」が登場しました。センターイン型とは、玄関が住戸の中央のあたりにある間取りのことです。寝室などのプライベートなスペースと、リビングなどのパブリックなスペースを明確に分けることが可能になっています。来客があっても、プライバシーを確保しやすい間取りです。
1986(昭和61)年12月、急激に株価や地価が高騰して好景気、いわゆるバブル景気が続きました。当時は高い物件でも飛ぶように売れる時代。付加価値をつけるために、内装に凝った豪華な物件も多くありました。一方で、バブル期には投資用に建てられたものも多く、中にはコストダウンのために壁や床が薄く音が響きやすいなどの物件もあるため、よく見極めることが必要です。
センターイン型の間取り図
1990年代のマンションの間取り
1991(平成3)年から1993年にかけて高騰していた株価や地価が急落し、バブルが崩壊しました。するとマンションの販売価格を抑えるために設備はミニマムになり、一戸の延床面積、各居室もコンパクトになりました。玄関を入って左右に洋室があり、廊下突き当りのドアの先に、居間やキッチン、食堂の機能を広いワンルームに集約したLDK(リビングダイニングキッチン)を設ける間取りが主流に。また、それまでの独立型キッチンから、家族と会話したり、子供の様子を見守りながら料理ができる対面式キッチンが人気になっていきました。バルコニー側の開口部に面してLDKが作られるのも、この頃から今も続くスタンダードな間取りです。
このころには現在の新築マンションと似たような設備や間取りが多く見られます。たとえば、お風呂の追いだき機能、トイレの温水洗浄便座が主流になりました。朝シャンブームによりシャンプードレッサーが備えられたのもこの時期です。これまでマンションは投資目的が主でしたが、バブルが崩壊したことから「長く住むこと」に重きが置かれるようになりました。また、バリアフリー仕様が増えてきました。
LDKの間取り図
2000年代のマンションの間取り
2000年代の間取りは1990年代から大きな変化はありません。ただ、2000年頃から「家族がコミュニケーションをはかる場」として、LDKの役割は大きくなっていっています。LDKの一角に子供を見守ることができるキッズスペースを設けた設計も増えてきました。数枚のふすまで間仕切りした和室をリビングに隣接する場所に配置し、必要に応じて空間を大きく使ったり、個室を増やすことができる間取りも多く見られます。
2010年以降、家族で共有する場であったLDK内に書斎や畳スペース、小上がりなど別の空間を設けた住まいが見られるように。また、高齢者や障がい者を対象としたバリアフリーからすべての人が使いやすいユニバーサルデザインへと変化していきました。
また、夫婦共働き世帯が増え、家事時間の短縮ニーズが高まっていることも背景に、家事動線や収納効率への注目も集まっています。ウォークインクローゼット、シューズインクローゼットの他、ファミリークローゼット、キッチンパントリーと呼ばれる収納スペースも作られるようになってきました。
2020年のコロナ流行以降は、テレワーク人口が一気に加速し、リビングの一角にワークスペースを設けた間取りのほか、マンションでも「書斎」や「DEN」が設けられることも増えてきました。仕事に集中できる環境を作るには、スペースだけでなく、換気や室温、音、採光などの工夫も重要な要素です。
最近では、スマートマンションが登場しています。スマートマンションはマンション全体でエネルギー管理や節電、電力の最大需要を低く抑えるピークカット、エネルギーの効率的な使用や無理のない節電を実現するシステムが取り入れられており、注目を集めています。
まとめ
この記事では、新築マンションと中古マンション+リノベーションの間取りや内装から見たメリット・デメリット、年代別のマンションの間取りの特徴をお伝えしました。
新築マンションは共有部分も含めて最新設備が採用され、性能が優れているのが魅力ですが、価格が高いことと、リノベーションと比較すると間取り・内装の自由度が低いことがネックです。中古マンションを購入し、リノベーションを行う場合は部屋数もレイアウトも、オーダーメイドで自由。また、住戸内の設備は自由に選べるため、新築マンション同様に、最新の高性能なものを導入することも可能です。また、間取りを気にせず物件を選べるため、物件の選択肢が広がるのが魅力です。ただし、管理規約や構造によりリノベーションができなかったり、間取りや設備に制限のあるマンションもあるため、事前に確認することが必要です。新築、中古マンションどちらを購入する場合も、価格や立地、間取りなどを総合的に見て自身の理想の暮らしを実現できる選択をしましょう。
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