建売住宅と注文住宅、費用・立地・間取りで比較しよう

建売住宅と注文住宅、費用・立地・間取りで比較しよう
リノベーション基礎知識

住宅を購入するにあたり、建売住宅を買うか注文住宅を建てるかで悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、費用や立地、間取りから建売住宅と注文住宅の特徴、メリット・デメリットを比較します。
あなたに合うのはどちらなのか、住宅を購入する際の参考にしてみてください。
※最下部にある「費用情報に関するご注意事項」をお読みください。

 

目次

  1. 建売住宅と注文住宅の特徴
  2. 建売住宅と注文住宅のメリット・デメリット
  3. 中古物件+リノベーションは注文住宅と同じメリットを得られる?
  4. まとめ

建売住宅と注文住宅の特徴

まずは、建売住宅と注文住宅それぞれの特徴を見ていきましょう。

建売住宅とは

建売住宅とは、土地とセットで販売されている新築一戸建て住宅のことです。一般的にはまとまった土地をいくつかの区画に分け、何棟か同じ仕様の住宅を建設し、販売されている場合が多いとされてます。区画の規模は、数10棟から数100棟を超えるものまでさまざまです。

建売住宅は、建築中に販売されるケースと建物が完成した後に販売されるケースがあります。以前は建物が完成した後に実物を見て、契約をするのが主流でした。しかし現在は、着工前や建設中に販売が開始されることも多くなっています。住宅の間取りや設備、仕様は決まっているケースがほとんどです。

建売住宅とほぼ同様の意味として使用される言葉に分譲住宅があります。分譲住宅は一定の広さがある分割された土地(分譲地)に建てられた住宅のこと。間取りや設備、仕様は決まっている場合が多いため、建売住宅とほとんど同じ意味で用いられています。ちなみに、建売住宅と分譲住宅の違いは「分譲地に建っているかどうか」。分譲住宅が建てられるのは、分譲地のみです。しかし、建売住宅は分譲地以外でも建てられることがあります。

リノベーション済みの心地よい空間

注文住宅とは

注文住宅とは、施主(建築工事を発注する人)が設計事務所や工務店、ハウスメーカーやビルダーなどに依頼して建物の間取りや設備、素材などを一から選んで建てる住宅のことです。間取りや設備、素材など自分の好みやライフスタイルに合ったものを選択でき、建売住宅よりも自由度が高いのが特徴です。

住宅について調べていると、ハウスメーカーやビルダーという言葉を目にする機会も多いはず。しかし、「違いがよくわからない」という人もいるのではないでしょうか。ここでは、ハウスメーカーとビルダーについて少しご説明します。

ハウスメーカーは全国に営業拠点を置き、施工を行っています。年間の販売棟数は数千から1万棟ほど。CMや広告などでプロモーションを行い、住宅総合展示場に出展していることも多いため、知名度も高いと言えます。一方、ビルダーはハウスメーカーより規模が小さいのが特徴です。特定のエリアに特化し、年間で数百から数千棟ほどの住宅を供給しています。

注文住宅は「フルオーダー」と「セミオーダー」という2種類に分けられます。フルオーダーの注文住宅は、施主の好みやライフスタイル、趣味などを反映させることができます。
一方、セミオーダーの場合、自由度は依頼先によりさまざまです。ハウスメーカーに依頼すると、決められたプランの中から選ぶことが多いと言われています。

建売住宅と注文住宅、購入する人はどちらが多い?

建売住宅と注文住宅どちらを購入する人が多いのか、データをもとに見てみましょう。
住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」によると、2019年に全国で建てられた建売住宅は20,133件、注文住宅は11,666件でした。割合にすると、建売住宅が約63%を占め、注文住宅は約37%となります。

リノベーションされた寝室

建売住宅の建築件数の割合が高い都道府県

ただし、建売住宅と注文住宅の購入者の割合は地域により異なります。同じ「フラット35」のデータを都市別に見てみましょう。東京・神奈川・埼玉など、人口が多い地域においては建売住宅は約80%、注文住宅は約20%となり、建売住宅の割合が高くなっています。

人口が多く住宅を建てられる場所が少ないエリアでは、需要と供給のバランスから土地の価格が高くなります。土地とセットで購入する建売住宅は、土地を探してオーダーメイドの住宅を建てる注文住宅より割安になる場合がほとんどです。そのため、土地の価格が高いエリアではコスト面から建売住宅が多くなる傾向があります。

1.東京
建売住宅 3,765件
建売住宅の割合 82%
注文住宅 806件
注文住宅の割合 18%
2.神奈川
建売住宅 2,655件
建売住宅の割合 81%
注文住宅 639件
注文住宅の割合 19%
3.埼玉
建売住宅 2,815件
建売住宅の割合 79%
注文住宅 729件
注文住宅の割合 21%
  都道府県名 建売住宅 建売住宅の割合 注文住宅 注文住宅の割合
1 東京 3,765件 82% 806件 18%
2 神奈川 2,655件 81% 639件 19%
3 埼玉 2,815件 79% 729件 21%

建売住宅の建築件数の割合が高い都道府県

注文住宅の建築件数の割合が高い都道府県

一方、人口の少ない地域はどうでしょうか。鳥取では建売住宅は0%、注文住宅が100%。青森では建売住宅は10%、注文住宅は90%で、島根では建売住宅は14%、注文住宅は86%です。人口が少ない地方では住宅を建てる土地に余裕があるため、人口が多い東京・神奈川・埼玉などの地域よりも土地の価格が安くなっています。したがって、価格は割安ではあるものの間取りや内装の自由度の低い建売住宅の需要は低く、注文住宅が建てられる割合が高いとされています。

1.鳥取
建売住宅 0件
建売住宅の割合 0%
注文住宅 7件
注文住宅の割合 100%
2.青森
建売住宅 9件
建売住宅の割合 10%
注文住宅 80件
注文住宅の割合 90%
3.島根
建売住宅 1件
建売住宅の割合 14%
注文住宅 6件
注文住宅の割合 86%
  都道府県名 建売住宅 建売住宅の割合 注文住宅 注文住宅の割合
1 鳥取 0件 0% 7件 100%
2 青森 9件 10% 80件 90%
3 島根 1件 14% 6件 86%

注文住宅の建築件数の割合が高い都道府県

出典:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査(2019年度)」(2020)

建売住宅と注文住宅のメリット・デメリット

続いて、費用・立地・間取りから建売住宅と注文住宅それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。

費用はどちらが安い?

建売住宅と注文住宅の費用を比較すると、安いのはどちらでしょうか。

先ほど建売住宅とは、土地とセットで販売される新築一戸建てとご紹介しました。そこで同じ条件で比較するために、建売住宅と土地付き注文住宅との所要資金を比較してみましょう。所要資金とは、申込時点の予定建設費と土地取得費を合計したものです。

住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」によると、2019年の建売住宅の所要資金の全国平均は3,494万円、首都圏平均は3,915万円。一方、土地付き注文住宅の所要資金の全国平均は4,257万円、首都圏平均は4,993万円でした。 
全国平均で比較すると、建売住宅よりも土地付き注文住宅の方が763万円高い結果となりました。首都圏平均で比べると、建売住宅よりも土地付き注文住宅の方が1,078万円高く、差額がより広がります。

この結果から、全国・首都圏平均どちらも、建売住宅の方が注文住宅よりも安いとわかります。費用を抑えて住宅を購入したい人には建売住宅が向いていると言えます。

「注文住宅を建てたいけど、費用を抑えたい」という人に最近人気なのが、ローコスト住宅です。明確な定義はありませんが、ローコスト住宅とは一般的な住宅よりも費用を抑えて建てる新築一戸建てのこと。間取りや内装、設備などは決められたプランから選ぶため、注文住宅ほど自由度は高くありません。

ローコスト住宅のもともとのプランはとてもシンプル。オプションを追加すると、想定よりも費用が高くなるケースもあるため、注意が必要です。

出典:住宅金融支援機構「2019年度フラット35利用者調査」」(2020)

リノベーションで実現したプライベート空間

立地はどちらがいい?

住宅選びの大きなポイントとなる立地から、建売住宅と注文住宅を比較してみましょう。

先ほどご紹介した通り、建売住宅は土地と建物がセットで販売されます。建築・販売を行う会社は、売りやすい好条件の土地を手に入れるために独自の不動産ネットワークを持っています。そこから条件のいい土地の情報をいち早く得て、まとめて広大な土地を購入します。このことが、売りやすい土地に建売住宅を建てることを可能にしていると言われています。

一方、注文住宅は施主(建築工事を発注する人)が土地を持っていない場合、自分で土地探しをする必要があります。しかし、戸建て住宅を建てる土地の購入は建売を販売する会社と競合することが多いため、立地の良い土地を好条件で購入するのが難しいことがあります。立地を重視したい人は、注文住宅よりも建売住宅の方が希望に合うものを見つけやすいかもしれません。

リノベーションされたLDK

間取りの自由度が高いのは?

最後に間取りの自由度で建売住宅と注文住宅を比較してみましょう。

注文住宅は、建築基準法など法律の基準を満たしていれば自由に間取りを決められます。そのため、家族構成や将来のライフスタイルの変化を見据えた間取りにすることも可能です。

たとえば子供が2人いる場合、成長して個室が必要になる前提で間取りを計画しておくのも可能です。
一方、建売住宅の場合、間取りは決まっている場合が多いため、自由度は高くありません。間取りの自由度を重視する人は注文住宅の方が向いています。

中古物件+リノベーションは注文住宅と同じメリットを得られる?

間取りから考えると、注文住宅は一般的に自由度が高いというメリットがあります。しかしその反面、費用が高くなる傾向にあるのがデメリットです。

住宅購入において、費用は重要な要素のひとつ。たとえ立地や間取りでメリットがあったとしても、予算をオーバーする場合は注文住宅を選択できない場合もあるでしょう。

予算に限りがある場合におすすめなのが、中古物件を購入してリノベーションする方法です。好立地の場所にはすでに住宅が建てられ、新しく家を建てられない場合も多いのです。住宅を購入する際には中古物件+リノベーションも含めると、立地やエリアの選択肢が広がります。

中古物件+リノベーションの場合、間取りや内装はライフスタイルや好みにあわせて新しくつくり変えることが可能です。注文住宅と同じく、自由度が高い間取りを叶えて、費用も抑えられるのがメリットです。

詳しい内容はこちら>新築マンションでは得られない、中古マンションならではの4つの購入メリット

リノベーションされた快適な洗面室

まとめ

今回は建売住宅と注文住宅それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介しました。ほかに中古物件+リノベーションという選択肢もお伝えしました。

費用を抑えて住宅購入したい人には建売住宅の方が適しています。また、立地を重視したい人も建売住宅の方が自分の希望する条件のものを見つけやすいかもしれません。一方、間取りの自由度がほしい人には注文住宅が向いています。

住宅を購入する場合に建売住宅か注文住宅かに限ってしまうと、希望の予算や立地、間取りが叶わない場合もあります。中古物件+リノベーションを選択肢のひとつとして加えてみてください。

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