2017年の三社祭が開催されたのは、5月19日(金)・20日(土)・21日(日)の3日間。連日、まばゆいばかりの晴天に恵まれました。地元の人で賑わっていたのはもちろん、最寄りの都営浅草線「浅草」駅からはお祭りを見に来た観光客の行列がずらり。下町にはいろいろなお祭りがありますが、『三社祭』を語らずして下町の夏は語れません。今年も大勢の氏子が浅草寺界隈へ繰り出し、大変な熱気でした。今回は「東京下町で暮らしてみたい!」という方のために、三社祭の様子をご紹介します。
江戸っ子の心意気を感じる、熱い3日間
「そいや、そいや!」と神輿を担ぎ練り歩く
『三社祭』の一番の見どころは、なんといっても御神輿です。浅草寺の本社神輿が3基、氏子44ヶ町の町内神輿は約100基あり、これらが浅草寺を起点として連日各町内へ巡行します。
町内神輿の渡御(とぎょ)が行われたのは、5月20日の土曜日。たくさんの美しい御神輿が青空に輝き、見ているだけで心が躍ります。担ぎ手の皆さんの、紫色の法被と小粋な鉢巻きがかっこいい!
最終日には、朝6時に「宮出し」が行われ、浅草寺から本社神輿3基が町内を練り歩きました。担ぎ手は、全部合わせてなんと約1万人にもなるのだとか。一之宮、二之宮、三之宮と呼ばれる3つの御神輿は、重さがそれぞれ約1トンもあります。「そいや、そいや!」と神輿を担ぎきる江戸っ子の心意気には、ただ圧倒されるばかりです。見事な担ぎっぷりに、観客からは自然と拍手が沸き起こっていました。
仲見世通りも大賑わい
仲見世の賑わいもご覧の通り。本殿へ向かう流れは比較的スムーズでしたが、どの店も人・人・人。着物姿で嬉しそうに写真を撮る海外の方もいました。活気あふれる下町の様子に、誰もが興奮を隠しきれません。最終日は浅草寺前が「お祭り広場」という歩行者天国になり、終日各町の御神輿や山車が浅草寺近くを行き交い、夜の「宮入り」で祭りは終わりを告げます。
貴重な日本文化に触れる、またとない機会
歴史を知ると、もっと面白い
ここで、三社祭の歴史についておさらいしてみましょう。三社祭は1312年、三社の神話に基づいて始められた船祭が起源といわれています。江戸時代までは、浅草神社と浅草寺が一体となったお祭りだったのだとか。昔の祭礼は今より広範囲で、浅草寺界隈の町内が山車の絢爛さや、行列の勢いを競い合っていたのだそう。現在のように御神輿を威勢よく担いで町内を練り歩くようになったのは、昭和に入ってからのようです。
写真は、浅草寺宝蔵門の「小舟町」大提灯の下を、御神輿が通る様子です。普段は大きな提灯が縮んでいる姿も、なんだか新鮮に見えます。
三社祭では、無形文化財「びんざさら舞」の奉納や「白鷺の舞」、「巫女舞」などが行列をつくって街を練り歩く様子を見ることができます。「びんざさら舞」は田植行事を芸能化した珍しい神事舞踏で、全国でもめったに見られないのだそう。東京下町、歴史あるエリアに暮らすと、貴重な日本文化に触れる機会も多くなりそうですね。
仲見世では獅子舞が各店舗を回り、商売繁盛・厄よけの舞を披露していました。中には、カメラを向ける観光客にポーズを取る獅子舞も。下町の獅子は、気さくでフレンドリーな様子でした。
「熱いお祭り」がある街が好き。
東京下町、江戸っ子の魂を感じられる三社祭。氏子、御神輿、訪れた観客が一体となるこの感覚は、一度味わうと忘れられません。暑さを吹き飛ばすほど熱い祭りに、「今年も夏が来た!」と感じました。
「下町に暮らしてみたい」と考えている方は、住みたい地域のお祭りを訪れて、その土地が持つ雰囲気を感じてみてはいかがでしょうか。地域によっては、各町会から出る「御神輿の担ぎ手募集」のポスターやSNSから応募してお祭りに参加することもできるようです。毎年この時期になるのが待ち遠しい……そんな素敵なお祭りがある街、ぜひ探してみてくださいね。
浅草神社
【住所】東京都台東区浅草2-3-1
【公式サイト】http://www.asakusajinja.jp/sanjamatsuri/