吉祥寺駅から歩いて5分、緑あふれる井の頭公園のほとりにある、チャイと紅茶の専門店「チャイブレイク」。ロケーションもさることながら、新鮮な茶葉とミルクでていねいに淹れたチャイや、地元・武蔵野の素材を使ったマフィンやフレンチトーストなど、こだわりのメニューに人気が集まっています。その美味しさは、吉祥寺の近くに住んでいたら毎週通ってしまいそうなほど。チャイブレイクが多くの人に愛される理由について、オーナーの水野学さんにお話を伺いました。
「紅茶をカジュアルに楽しんでほしい」という思いを込めて
「チャイをきっかけに、敷居の高いイメージがある紅茶を、もっと気軽に楽しんでほしいと思いました」
2009年の創業以前から、茶葉の仕入業に携わっていたという水野さん。紅茶文化が根付いているインドやイギリスのように、日本でもカジュアルに紅茶を楽しんでほしいと思ったことが、お店をつくるきっかけとなったのだそう。学生時代から馴染みのあった吉祥寺に、インドの庶民的な飲み物である「チャイ」をメインメニューにした紅茶専門店をオープンしたと言います。
老舗珈琲店の面影を残した、レトロな店内
初めて訪れるのにどこか懐かしい
チャイブレイクがオープンする以前、老舗の珈琲店が営まれていたというこの場所。水野さんは落ち着きのある珈琲店の内装に魅了され、できるだけ当時の面影を残そうと思ったといいます。
店内には木製の棚や梁など、趣のあるインテリアが随所に見受けられます。ここ、吉祥寺で長年愛されてきたお店ならではの、あたたかい雰囲気。初めて訪れる人も、なぜか懐かしい気持ちにさせてくれます。
インドのチャイ文化を伝えてくれる、素焼きのカップ
カウンターの奥の壁には、かわいらしい素焼きのカップが、インテリアとして飾られています。
インドでは素焼きのカップでチャイが出され、飲み終わったカップは、再利用せずに地面に叩きつけて割るのだそう。素焼きカップに秘められた紅茶文化の話は、知れば知るほど興味がわいてきます。
おひとりさまも、友達同士も。過ごしやすい2タイプの席
チャイを淹れる様子が眺められるカウンター席
店内に入ってすぐのところには、木製で落ち着いた雰囲気のカウンター席が。ペンダントライトのやさしい灯りに照らされながら、チャイを淹れる様子が見られる特等席です。
女性にファンが多いイメージの紅茶ですが、こちらの席は男性おひとりのお客様にもよく利用されているのだそう。まるでおしゃれなバーにいるような、ゆったりとした気持ちにさせてくれます。
女性に人気のテーブル席
店内奥に用意されているのは、二人掛けのテーブル席。
ティータイムには、よく女性同士のお客様が会話に花を咲かせているのだとか。美味しいチャイとお菓子をいただきながらのトーク、いつも以上に盛り上がりそうですね。
素材にこだわった絶品メニュー
手鍋で煮出したチャイ
チャイブレイクに行ったら一度は必ずオーダーしたいのが、丁寧に手鍋で煮出した「チャイ」。茶葉、スパイス、ミルク、三温糖が織りなす絶妙なハーモニーを堪能できます。
紅茶6杯分の茶葉を贅沢に使用した、リッチな味わい
水野さん自らが仕入れたという新鮮な茶葉を、ふんだんに使ってじっくり煮出されるチャイ。
「チャイの濃さは、ミルクの量ではなく紅茶の濃さで決まります。コスト的に、自分で茶葉を輸入しない限り、この量を使うことはできませんね」
通常3杯程とれるティーポットで使用する茶葉は4〜5gといわれていますが、チャイブレイクのチャイ1杯分に使われる茶葉は、およそ8g。紅茶6杯分の茶葉を贅沢に使用したチャイは、一口飲むだけでなんともリッチな気分にさせてくれます。
茶葉を濾した後、このように高い位置から流して空気を含ませることで、より口当たりがまろやかになるのだそう。喫茶店とは思えないダイナミックな動きに、思わず目を奪われます。
ミルクのうまみと、紅茶の深み。ほのかな甘みが絶妙なチャイ
こちらが淹れたての「チャイ」。とても濃厚で、優しい甘さがふんわりと口の中に広がります。体も心もあたたまり、幸せな気分になりました。
このほかにも、さらに茶葉を増やしてミルクとともに生クリームや黒糖を加えた「特濃チャイ」や、スパイスを使った「スパイスチャイ」など、さまざまな種類のチャイを楽しむことができます。
氷と泡の食感を楽しむアイスチャイ
体を温める効果のあるチャイは「夏には暑いかな」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「アイスチャイ」なら、これからの季節にぴったり。細かく砕かれた氷とふわふわの泡の口当たりを楽しむために、ストローは使わずに飲むのがおすすめだそうです。
「冷たい飲みものは、最後に氷が溶けて薄まってしまうことがありますよね。ここではゆっくり過ごされる方も多いので、時間をかけて飲んでも最後の一口まで美味しくなるように、氷を細かく砕いてお作りしています」
最後の一口まで美味しさを追求した、チャイブレイクオリジナルのアイスチャイ。氷と泡の口どけは初めて味わう感覚で、新鮮な美味しさに包まれました。
チャイによく合う、焼きたてマフィン
既製品は使わずに、素材にこだわって手作りしたフードやスイーツを味わえるのも、チャイブレイクの魅力のひとつ。こちらは、ふんわりとした生地が人気の焼きたてマフィンです。旬の具材を使用するため、季節によって内容が変わるのだとか。
この日は、バナナとスパイスのマフィン、オレンジショコラのマフィン、カルダモン風味のキャロットマフィン、パイナップルとココナッツのマフィン、朝摘みいちごとホワイトチョコのマフィンの5種が店頭に並んでいました。どれも具だくさんで、食べごたえがありそうです。
こちらは人気のフレンチトースト。なんと、ブリオッシュから手作りしているそうです。
「緑豊かなこの土地は食材も豊富なので、地元で採れる旬の食材を使いたいと思っています」
使用しているのは、三鷹産の卵や小金井産のはちみつ。美味しさへのこだわりが辿り着いた先は、「武蔵野の恵み」だったようです。
美味しい紅茶を、自宅で、外で、気軽に楽しむために
茶葉・スパイスの販売コーナー
店内の一角には、茶葉やスパイスが販売されているコーナーが。
「おいしい紅茶を淹れるのは、決して難しいことではありません。おうちでも充分楽しんでいただけますよ」
紅茶に親しんでほしいという水野さんの想いが、ここにも感じられました。
土日はテイクアウト販売も
週末には、店頭でドリンクのテイクアウト販売も行われています。晴れた週末、美味しいチャイをテイクアウトして、井の頭公園をのんびりお散歩するのも良さそうですね。
「知識なんてなくていい。ふらっと遊びにきてください」
「吉祥寺は紅茶を楽しめるお店がたくさんある街です。紅茶の知識なんてなくてもいい。井の頭公園に遊びに来る途中、ふらっと入ったお店のチャイがものすごく美味しかった。そんな気持ちになっていただけるように、新鮮な茶葉を用意してお待ちしております」
吉祥寺のカジュアルな雰囲気に溶け込んだチャイブレイク。旬の茶葉で淹れた濃厚なチャイの味わいは「もっと気軽に紅茶を楽しんでごらん」と語り掛けてくれるようです。最近は、一日の始まりを美味しい紅茶でスタートできるモーニングセットも人気があるのだそう。おいしい紅茶をいつも身近に、カジュアルに楽しむ。そんな暮らし方が「吉祥寺らしさ」のひとつなのだと、水野さんが教えてくれた気がします。
chai break (チャイブレイク)
【住所】東京都武蔵野市御殿山1-3-2
【営業時間】9:00(土日祝 8:00)〜19:00
【定休日】火曜日(祝祭日の場合は翌営業日に振替)
【公式サイト】http://www.chai-break.com/