複雑な不動産売却の流れを解説!売却をスムーズに進めるためのポイントとは?

複雑な不動産売却の流れを解説!売却をスムーズに進めるためのポイントとは?
中古マンション

不動産売却は手続きが複雑で多くの手順(ステップ)を踏む必要があります。さらにステップごとに重要なポイントや注意点があるため、手順の把握や事前の準備が不可欠です。

本記事では、不動産売却の全体の流れを説明し、各ステップで注意すべき点や具体的な手続きをわかりやすく解説します。

目次

不動産売却の流れ

不動産売却を決めてから引き渡しまで、8つのステップにまとめました。それぞれについてくわしく見ていきましょう。

ステップ1:売却する不動産の現状や相場を把握する

不動産を売却する前に、まずは現状を正しく把握することが重要です。物件の築年数や劣化状況、土地の権利関係などを確認し、売却の際に問題が生じないように準備しましょう。また、住宅ローンの残債がある場合は、残高や完済条件を確認することも大切です。加えて、周辺の不動産市場をチェックし、売却に適したタイミングを見極めることで、より有利な条件での売却が可能になります。

ステップ2:査定で売却価格を知る

不動産を適正な価格で売るためには、査定を受けて市場価値を把握する必要があります。不動産会社による査定には「机上査定」と「訪問査定」があり、正確な価格を知りたい場合は訪問査定を依頼するとよいでしょう。また、近隣の類似物件の売却価格も参考にすることで、査定価格の妥当性を判断しやすくなります。複数の会社に査定を依頼し、価格や対応の違いを比較することが成功の鍵となります。

ステップ3:複数の不動産会社へ相談する

不動産会社によって得意とするエリアや売却方法が異なるため、複数の会社に相談するのが賢明です。売却プランや手数料、販売戦略などを比較し、自分の希望に合う会社を選びましょう。また、対応の速さや親身なアドバイスをしてくれるかどうかも重要なポイントです。信頼できる不動産会社を見つけることで、スムーズに売却が進みやすくなります。

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ステップ4:不動産会社を選定し、媒介契約を結ぶ

査定結果や対応を踏まえ、もっとも信頼できる不動産会社を選びます。仲介手数料の有無、販売戦略、実績などを総合的に判断し、自分にとって最適な会社を見極めます。売却の成功には、不動産会社との信頼関係も大きく関わるため、慎重に選定しましょう。

また、媒介契約の種類には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」があります。それぞれの特徴を理解して選択することが重要です。メリット・デメリットも交えて解説します。

専属専任媒介契約

一社に専任して売却の依頼をする形式で、特定の不動産会社のみによる販売活動が行われます。この契約の魅力は、取引先が一社に限定されているため、その不動産会社が積極的に販売活動を行うことが多い点です。同時に、専属専任媒介契約では売主が自ら買い手を見つけた場合でも、その取引を不動産会社を通じて手続きを進める必要があります。

専任媒介契約

専属専任媒介契約と同様に一社に専任して売却の依頼をする形式ですが、売主が自ら買い手を見つけた場合には、不動産会社を通さずに取引を進めることができます。この契約は、専属専任媒介契約と同じく特定の不動産会社が積極的に販売活動を行ってくれる一方で、売主自身も売却を進めたい場合に柔軟性を持たせることができるのが特徴です。

一般媒介契約

複数の不動産会社に売却の依頼をする形式で、売主自身も買い手を見つけて取引を進めることが可能です。この契約では、不動産会社のネットワークを最大限に活用できますが、その分、特定の会社が競合することで、販売活動に一貫性が欠ける可能性があります。また、不動産会社が積極的に販売活動を行う動機付けが、専任契約に比べて弱くなることもあります。

ステップ5:売却に向けた書類の準備をする

売却手続きをスムーズに進めるために、必要な書類を事前に準備しておきましょう。登記簿謄本や権利証(登記識別情報)、固定資産税納税通知書、間取り図などが必要になります。また、住宅ローンが残っている場合は、金融機関との調整も必要です。売却活動を円滑に進めるために、不動産会社と相談しながら必要書類を整え、スムーズな取引を目指しましょう。

ステップ6:売却活動をする

ここでは、有効な宣伝と見学会を通じて物件の露出を高め、購入希望者を集めるための具体的な方法について解説します。売却活動では、まず広告や宣伝を行い、ターゲットとなる購入検討者に対して物件の魅力を訴求します。ほかにも見学会の開催によって興味を持った購入検討者に直接物件を見てもらい、より具体的なイメージを訴求するなどの手法があります。

広告・宣伝と見学会の開催

不動産の売却活動を成功させるためには、効果的な広告・宣伝や見学会の開催などが効果的です。

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広告や宣伝をすることで、多くの人の目に留まりやすくなり、より多くの物件購入検討層に不動産を見てもらうことができます。

インターネットの大手不動産ポータルサイトなどに広告を掲載することで、幅広く物件情報を届けることができます。さらに、SNSで物件情報をシェアすることで、リーチを拡大し、親しい人々のネットワークを通じて情報が広がる可能性があります。また、地域の新聞や雑誌に広告を掲載すれば物件に興味のある地元の方々にもアプローチすることができます。

また、物件の魅力を直接体感してもらう絶好の機会として、見学会やオープンハウスも有効です。実際に足を運んでもらい、間取りの雰囲気や使い勝手などを感じ取ってもらいやすくなります。

ステップ7:買主と売買契約を締結する

買主が確定したら、売買契約日を定めます。売買契約日には、売主・買主が不動産会社などに集まり、契約を結びます。

売買契約日当日は、宅地建物取引士が同席し重要事項説明の読み合わせをおこない、売買契約書を締結します。契約では、契約書に署名の押印をおこない、用意した書類をもとに本人確認をおこないます。本人確認ができたら手付金の授受を同時におこないます。

内容に合意したら、売主・買主双方が契約書への署名・押印を行います。契約後、印紙が適切に貼られた契約書を売主・買主が一部ずつ持ち帰ります。

売買契約自体は、以上の流れで完了します。

ステップ8:買主に物件の引き渡しを行う

物件の引き渡しと売買代金の受領の段階では、すべての支払いと手続きが終わったら、売主から買主へと所有権が移転されます。

引き渡しの流れは以下の通りです。

  1. 登記関連書類の確認
  2. 買主によるローンの実行
  3. 残金の受け取り
  4. 仲介手数料(残額)の支払い
  5. 抵当権抹消の手続き
  6. 鍵・書類の引き渡し

自身で準備する必要書類も多いため、不動産仲介会社や司法書士に事前に確認をし、準備を進めましょう。

 

売却後の手続きと注意点

不動産の売却が完了した後も、いくつかの重要な手続きや注意点が残っています。税金や売却後のトラブルの対処法などについて、くわしく見ていきましょう。

税金の申告と納税

不動産を売却すると、利益に対して税金が発生します。税金の申告と納税を正確に行うためには、まず売却益を計算し、それに基づいた必要な書類を準備することが重要です。次に、税務署に対して適切な手続きを行います。税理士に相談することで、複雑な計算や手続きもスムーズに進められることがあります。

売却にともなう税金の計算と申告

不動産売却では、譲渡所得税が発生するため、正確な計算と適切な申告が不可欠です。たとえば、売却益に対して課せられる譲渡所得税は、所有期間によって長期譲渡所得か短期譲渡所得に分類され、それぞれ異なる税率が適用されます。

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譲渡所得税の計算では、まず売却価格から取得費用と譲渡費用を差し引き、譲渡所得を求めます。この譲渡所得に対して、所有期間が5年以下の短期譲渡所得の場合は高い税率が、一方、5年を超える長期譲渡所得の場合は低い税率が適用されます。

これを考慮し、総合的な税負担がどれくらいになるかを正確に把握することが大切です。

税金の申告は、翌年の確定申告期間中に行います。納税期限を守り、申告漏れや計算ミスを避けるために、事前に必要な書類を準備し、専門家に相談することが賢明です。

住宅ローンの残債清算と名義変更

住宅ローンの残債がある場合、その不動産の売却による利益が実質的に減る可能性があります。そのため、売却額で残債を完全に清算する必要があるのです。また、名義変更を行わないと、新しい所有者に対して正確な権利を移転することができません。

たとえば、ある家を売却する際にその家のローン残債が1,000万円残っているとします。この状態で売却した場合、売却価格からこの残債を差し引いた額が最終的な利益となります。売却額が2,000万円であれば、1,000万円がローン返済に充てられ、残りの1,000万円が最終的な手取りとなります。

また、売却後には残債を完済した証明書を取得し、法務局で名義変更の手続きを行う必要があります。これを怠ると、新しい所有者が正式に権利を取得できず、トラブルの原因となる可能性があります。名義変更の手続きは、司法書士に依頼することで効率的かつ確実に進められます。

売却後のトラブルとその対処法

不動産売却後には、さまざまなトラブルが発生する可能性がありますが、これらに迅速かつ適切に対処することが極めて重要です。たとえば、売却後に新たな所有者から物件の隠れた瑕疵(欠陥)についてのクレームが寄せられることがあります。その対処を怠ると、法的な問題に発展し、さらには訴訟にまでつながるリスクがあります。

売買契約では、通常、隠れた瑕疵に関する条項が含まれており、売主としてはこの条項に基づき迅速に対応する義務があります。具体的な対処方法としては、まず新しい所有者からのクレーム内容を確認し、必要に応じて現地調査を行いましょう。その上で、隠れた瑕疵が実際に存在する場合は、修理費用の負担や、場合によっては一部代金の返還を検討する必要があります。

トラブルが解決しない場合や対応方法に不安がある場合は、弁護士や不動産に詳しい専門家に相談することで早期解決につながります。

まとめ

不動産売却は、多岐にわたり準備が必要であることがわかりました。不動産の現状把握から始まり、不動産会社の選定、査定、販売活動、価格交渉、そして売買契約の締結と代金受領まで、一連の手続きをしっかりと理解することが重要です。

この記事を参考にしながら、不動産売却成功に向けて最初の一歩を踏み出しましょう。不明点があれば、まずは複数の不動産会社に相談することをおすすめします。

【記事監修】
いえらぶ編集部

全国15,000社の不動産会社の業務支援をする中で得たノウハウを日々発信中。
おもに、不動産(賃貸・購入・売却)や税金・法令といった暮らしに関わる記事を執筆しています。
https://ielove-cloud.jp/

筆者
リノベる。JOURNAL編集部
物件探しからアフターサービスまで、リノベーションに関わることを一社完結のワンストップで手掛ける「リノベる。」
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