住宅ローンの金利計算!返済額・利息を簡単に計算する方法とは?
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住宅ローンについて調べると、ついて回るのが「金利」という言葉。金利計算や返済シミュレーターなどのサービスはよく見かけますが、それがどのような計算式で行われているのか、どこを見直せばお得になるのか、よくわかりませんよね。
「返済期間と返済額の関係性がよくわからない」
「できるだけ利息を払いたくないけど、どうしたらいいの…?」
「返済方法によって何がどう変化するのかわからない」
そんな疑問にお答えして、今回は、住宅ローンの肝となる「金利の計算」について、用語の解説から計算式、シミュレーションの仕方を解説していきます。
目次
- 住宅ローンの金利計算とは
- 住宅ローンの金利計算に必要な項目
- ローンの金利計算方法
- 利息を減らすには
- 負担をおさえる「中古住宅購入+リノベーション」で賢くローンを
- 金利計算のポイントを正しく理解してプランを立てよう
住宅ローンの金利計算とは
金利の種類は、借入期間が常に一定である「全期間固定金利型」、市場金利の変動によって変化する「変動金利型」、一定期間ごとに固定金利か変動金利か選択できる「固定金利選択型」の3タイプに分かれます。
住宅ローンの金利計算の仕組み
住宅ローンに限らず、ローンの金利計算が複雑に感じるところは、毎月利息額が変化する点にあると思います。これは固定金利の場合でも同様です。
金利が固定されているのに、なぜ利息額が変化するのでしょうか。実は単純な話で、返済を行うことで借入(元金)残高が減っているからです。利息は借入残高に対して発生するので、支払いで借入残高が減れば減るほど、そこにかかる利息も下がるわけです。
利息額=元金額×金利×借入金利
例えば、100万円借り入れした当初は100万円に対しての利息がかかりますが、支払いが進み借入残高が50万円になれば、利息も半分に減るという計算です。具体例を見てみましょう。
月々の利息例
毎月の利息はどのように変動するのでしょうか? 例として、住宅購入のために1.00%の固定金利で3,000万円を借入し、月の返済額を10万円とした場合でみていきます。
【条件項目】
月の返済額:10万円
借入額:3000万円
金利:1.00%(固定)
上記の場合の「利息の変動」は下記の通りです。
経過月 |
利息 |
1か月 |
24,658円 |
5か月 |
24,329円 |
10か月 |
23,918円 |
15か月 |
23,507円 |
20か月 |
23,096円 |
25か月 |
22,685円 |
初月は元金3,000万円(満額)に対して、24,658円の利息が発生します。5か月後、すでに40万円支払っているので借入残高は2,960万円。これに対して利息は24,329円となります。このように段々と利息は減っていき、25か月後には返済額が240万円、借入残高が2760万円。利息も22,685円と、当初に比べると1,973円下がっていることになるのです。
住宅ローンの金利計算に必要な項目
利息変動の仕組みがわかったところで、次は実際に住宅ローンの金利計算をする際、必要になる項目を見ていきましょう。金利計算には以下の4つの項目が必要になってきます。「借入金額」は実際に借り入れをした金額で、住宅購入時の頭金は含まれません。
[必要項目]
・借入金額
・返済期間
・金利タイプ
・返済方法
「返済期間」はローンを返していく期間。何歳までに返したいか、完済時の年齢から逆算するのがよいでしょう。一般的には30~35年という長い期間をかけて返済する人が多いようです。
「金利タイプ」は全期間固定金利型、変動金利型、固定金利選択型の3タイプあります。
「返済方法」は月々の支払額の決め方を指します。次項で返済方法について詳しく見ていきましょう。
返済方法は2種類
「返済方法」には元金均等返済と元利均等返済の2種類があります。月々の返済について、「元金を固定する」か「返済額を固定する」かを決定するもので、この違いは「月々の返済額が変動するか、否か」です。
元金均等返済
元金均等返済は、元金を返済期間で均等に割り、月に返済する元金を固定する方法です。月々の支払いは「固定した元金+利息」となります。
支払い月 |
元金(固定) |
利息 |
月々の返済金額 |
1か月目 |
100,000円 |
24,658円 |
124,658円 |
10か月目 |
100,000円 |
23,918円 |
123,918円 |
25か月目 |
100,000円 |
22,685円 |
122,685円 |
前項の利息発生例でいうと、月々の返済元金を10万円とした場合初月は24,658円の利息が発生するので、返済額は124,658円。25か月後の返済額は122,685円となります。
毎月の返済額が変動するため家計の管理が面倒という点はデメリットですが、元金の減りが確実で返済期間が確定すること、返済が進むにつれ利息が減り、返済額が減っていくことがメリットとして挙げられます。
元利均等返済
元利均等返済は、元金と利息の合計額が一定になるよう設定された返済方法です。つまり、月々の返済金額が固定されます。
支払い月 |
元金 |
利息 |
月々の返済金額(固定) |
1か月目 |
75,342円 |
24,658円 |
100,000円 |
10か月目 |
75,902円 |
24,098円 |
100,000円 |
25か月目 |
76,843円 |
23,157円 |
100,000円 |
前項の利息発生例を例にすれば、月々の返済額を10万円とした場合、初月の内訳は元金75,342円、利息24,658円となります。返済が進むにつれ利息が減り、その分元金の割合が増えていきます。
毎月決まった金額を返済していけるので、返済計画が立てやすく、変動金利の場合は金利上昇による負担を回避できるメリットがあります。ただし、返済当初は利息の割合が多く、元金の返済ペースが遅くなるため、返済総額が増えてしまうというデメリットがあります。
ローンの金利計算方法
では、実際に住宅ローンの金利計算シミュレーションをしてみましょう。数値が複雑になってくるので、実際に計算するときは電卓かExcelなどを用意してください。
支払利息の計算方法
1回目 |
借入金額(元金)× 実質年率(%)÷ 365日 × 30日 |
2回目以降
支払い分の利息 |
借入残高 × 実質年率(%)÷ 365日 × 30日 |
まず、月々に支払うべき利息を算出します。利息の計算方法は、元金残高に対するものなので、元金均等返済でも元利均等返済でも算出方法に違いはありません。借入残高に対し、実質年率を掛け、年日数で割り、1か月の日数として30を掛けます。実質年率とは、借入金額に保証料といった諸費用を上乗せして計算した実質上の金利を指します。
1回目(1か月目)の支払時は元金残高は満額(借入金)、2回目(2か月目)以降は返済済みの元金を借入額から引いた元金残高で計算していきます。元金均等返済の場合は、元金残高は「返済月数×月極元金返済額」を借入額から引いた額です。
ただし、元利均等返済の場合、元金残高は「借入額から返済額」を引いた金額ではないので注意してください。元利均等返済では、毎月の返済額から当月の利息を引いた額がその月の元金返済額となるので、残高の計算が少し複雑になります。
毎月の返済金額の計算方法
何十年ものローンの毎月の返済額を一つひとつ計算するのは骨が折れます。各金融機関のサイトでは「返済計画シミュレーター」などのサービスがあるので利用してみましょう。これらの計算はExcelの「PMT」関数(※)を利用することで簡単に計算・比較することができます。
※PMT関数とは|利率が一定であると仮定した「元利均等」の支払額を計算するための関数です。
利息を減らすには
実際にシミュレートしてみると、元金はともかく、利息の額に驚いた方も多いのでは?ここからはいかに利息を減らすか、その方法を見ていきましょう。利息を減らす方法として、大きくは「借入額を減らす」「返済額を短くする」「繰り上げ返済する」の3つが挙げられます。いずれも「利息がかかる金額」と「期間」を減らすことが要点となります。
期間に関しては、返済期間が10年以上になる場合は「住宅ローン減税制度」が利用できるので、こちらも視野に入れておくとよいでしょう。これは申請することで、10年間の住宅ローン残高の1%が所得税から控除される制度です。借入金の返済期間が10年以上、床面積が50㎡以上の住宅ローンに適応され、10年間控除が受けられます。
方法① 頭金を増やし借入額を減らす
まず「借入額を減らす」方法ですが、購入費自体を減らすことはもちろんなのですが、借入時の頭金を増やすことで下げることができます。たとえば、元利均等返済で金利1.00%、返済期間35年(420か月)、3,000万円を借り入れたとします。
条件 |
|
借入額 |
3,000万円 |
金利 |
1.00% |
返済期間 |
35年 |
頭金がゼロの場合、借入額は満額の3,000万円、利息は約557万円、毎月の返済額は約8.5万円です。対して、頭金として借入金の1割にあたる300万円を支払ったとしましょう。初月の時点で借入金は2,700万円になるので、300万円分の利息(約2,500円)が浮いた計算になります。最終的な利息は約202万円、毎月の返済額は約7.7万円となりました。
頭金として300万円支払ったことで、結果的に利息の差額約55万円が節減できたことになります。
頭金 |
借入額 |
毎月返済額 |
総支払額 |
|
頭金ゼロ |
0 |
3,000万円 |
約8.5 万円 |
約3,557 万円 |
頭金1割 |
300万円 |
2,700万円 |
約7.7 万円 |
約3,202 万円 |
参考:【フラット35】
方法② 返済期間を短くする
次に返済期間で見てみましょう。先ほどと同じ条件で、返済期間を30年にした場合どのように変化するでしょうか。毎月の返済額は約9.7万円と1.2万円上昇しますが、総支払額は約3,474万円と83万円ほど減額しています。年の返済額負担は約14.4万円増えますが、5年短縮したことで約83万円の節減になる計算です。
条件 |
|
借入額 |
3,000万円 |
金利 |
1.00% |
返済期間 |
毎月返済額 |
総支払額 |
35年 |
約8.5 万円 |
3,557 万円 |
30年 |
約9.7 万円 |
約3,474 万円 |
方法③ 繰り上げ返済する
金銭面でのライフステージがある程度見通せている場合は、「繰り上げ返済」で返済期間を短縮して支払額を減らすという方法があります。これはカードローンなどの「ボーナス払い」に似た制度で、余分に返済をおこなうことで元金残高を減らし、利息を減らすことができます。繰り上げ返済後は、返済期間はそのままで毎月の返済額を減らす「返済額軽減」タイプと、返済額はそのままに期間を縮める「返済期間短縮」タイプがあります。
繰り上げ返済はどんな人におすすめ?
繰り上げ返済がおすすめのケース |
繰り上げ返済をおすすめしないケース |
・子育てが終わっている ・教育費の貯金がある ・現役時代の方が家計に余裕がある (退職金・年金が少ない) |
・今後教育費がかかる ・貯金がほとんどない ・老後の方が家計に余裕がある (退職金・年金が多い) |
繰り上げ返済については、少なからず向き・不向きが存在します。たとえば、「子育てなどの長期にわたる金銭的負担が終了した」、「今後退職などで収入の激減がある」方は、余裕のある今のうちに繰り上げ返済を検討することをおすすめします。
逆に、「今後長期的な出費がある」、「貯金がほとんどない」という方にとってはリスクが高くなります。また、退職金や年金など老後の収入が一定以上ある方にもあまりおすすめはできません。
負担をおさえる「中古住宅購入+リノベーション」で賢くローンを
金利の計算についていろいろ学んできましたが、結局のところ「少ない負担で理想の住まいを手に入れる」ことが理想です。そもそもの借入額が少なければ、長期的な負担や今後上がるといわれている金利に頭を悩ませる必要はありません。
とはいえ、新築住宅の購入はある程度の大きな負担がかかります。住んでいるうちに不具合も出てくるでしょう。新築住宅購入のローンに付け加え、その後発生するだろうリフォームローンも増え、ローンを支払い終えたころには住宅価値も下がっているのが世の習いです。ならばいっそのこと、お得な中古住宅を購入してリノベーションのもひとつの手かもしれません。
「一体型住宅ローン」で、お得にリノベーション
中古住宅でも、マンションなら築25年以内、戸建ての木造住宅なら築20年以内という条件のもと、中古住宅購入にも「住宅ローン減税制度」が適用されます。さらに、近年のリノベーションブームに後押しされ、中古住宅の購入費用とリノベーション工事費を一本化した「一体型住宅ローン」を扱う金融機関が増えてきています。
従来のリフォームローンは無担保で審査が通りやすい反面、借入限度額や金利の面でのデメリットがありました。しかし、この一体型住宅ローンでは、一般的な住宅ローンと同様の金利で購入費と工事費をまとめて借入することができます。「リノベる。」では、リノベーションのご相談だけでなく、こうした一体型ローン商品を扱う金融機関のご紹介もサポートしています。
金利計算のポイントを正しく理解してプランを立てよう
小数点を含む細かい数字でありながら、最終的には何十万、何百万という差を生み出す金利。何十年という長い期間でローンを組み返済をおこなうからこそ、慎重に決めなければなりません。まずはさまざまな金融商品を見比べて、無理の出ない借入額、毎月無理なく返せる金額を念頭において、返済期間や金利タイプを検討しましょう。
【おさらい】
1. 「利息(金利)額」は「元金残高」によって変動する
2. 返済方法によって総返済額は変わる
3. 総返済額を減らすには、「借入額を減らす」か「期間を短くする」
ただし、金額ばかりに囚われては本末転倒です。理想を叶えるマイホームの購入が一番の目的であることは忘れず、それを叶えるためにはどうすればいいのか、どんな選択肢があるのか、何が自分に合っているのかを探ってみてください。
特に、中古住宅をリノベーションする場合、新築などと違い、費用の掛かり方に個人差があります。家計に合わせた予算の立て方やローンの組み方があるため、最近では、購入するしないにかかわらず気軽に個別相談する人も増えています。ご自身に合った家の買い方はもちろん、自分でも検討できるのか? という可否を知っておくことで将来の計画も見えてくるのでおすすめです。
《今さら聞けない「基本」編》
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《やっぱり気になる「お金」編》
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