マンションの住み替えは失敗しやすい?後悔しないために考えること
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結婚や出産など、ライフステージの変化にともない、マンションの売却、そして住み替えを考える人も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、マンションの住み替えを行う際によく起こる失敗例と対策をご紹介します。事前に対策を知っておくことで、マンションの住み替えを成功に導きましょう。
売却するタイミングで失敗しないための対策
住み替え時によくある失敗例
マンションの住み替えには、「現在の家の売却」と「新居の購入」の2つのステップがあります。判断することが2倍あるため、手間がかかります。住み替えに失敗すると余計な費用や時間がかかることもあるため、注意が必要です。
1.不動産仲介会社選びを間違えてしまった
- 売却物件の広告活動をあまりしてもらえず、マンションの売却に時間がかかってしまった
- メールの返信が遅いなど、安心して任せられなかった
- 担当者の経験が浅く、適切にアドバイスしてもらえなかった
不動産仲介会社選びを失敗しないための対策
マンションの価格相場を自分でも調べたうえで、複数の不動産仲介会社へ査定依頼するのがおすすめです。査定結果を比較することで相場が把握でき、信頼できる業者を見つけやすくなります。
査定価格だけで選ぶのではなく、同じような条件の物件の「販売実績数」を確認して判断することも大切です。また、大手ポータルサイトへの物件情報の掲載など、売却のためにどんな広告活動を行っているのかも事前に確認しましょう。インターネット上の口コミも情報源になります。
2.売却価格の設定に失敗してしまった
- 売却価格を高く設定しすぎたため、なかなか売れなかった。売却に1年以上かかり、結局は相場よりも安い価格で売却することになってしまった
- すでに新居を購入していたため、早く売る必要があり安くしすぎてしまった
少しでも高くマンションを売却したいと価格を高めに設定にしてしまうことがあるかもしれません。しかし、スムーズに売却できず、時間が経過すると資産価値が低下することも考えられます。逆に、売れないリスクをおそれるあまり、安くしすぎるというケースも。
売却価格の設定で失敗しないための対策
同じような条件の物件の相場を調べ、事前に把握しておきましょう。売却してから新居を契約するという順番にすれば、焦らずに売却価格の設定ができます。なかなか納得のいく価格でマンションが売れない場合は無理に売らず、賃貸に出すといった別の活用方法を考えてみるのもおすすめです。
3.売却するタイミングを間違えてしまった
- 経年により価格が大きく下がり、「もっと早く売っていれば」と後悔が残った
- 内装や設備が古くなっていて、売却のためにリノベーションが必要になった
公益財団法人東日本不動産流通機構によると、マンションの平米単価は新築から20年で40~50%程度価値が下落するという調査結果も。売却時期が遅くなればなるほど価格は下がる傾向にあります。高い価格で売却するためには、売却のタイミングも考慮するようにしましょう。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」(2019)
売るタイミングで失敗しないための対策
国土交通省の「マンション大規模修繕工事に関する実態調査(2018)」によると、初回の大規模修繕はおおむね築13年から16年ごろに行われることが多いとされています。大規模な修繕後は修繕積立金が高くなる可能性があるため、修繕前を売るタイミングの目安にするといいかもしれません。
4.売却と購入が計画どおりに進まなかった
- 新居を先に購入して入居したものの、旧居が売れないために二重ローンになってしまった
- 旧居の売却をしたが引き渡しまでに新居の購入ができなかった。そのため、賃貸に仮住まいすることになり、引っ越しが2回必要になった
- 売却金を購入資金に組み込む予定だったが、マンションの売却が進まないうちに希望していた物件が売れてしまった
売却・引き渡しが計画どおりに進まないと、余計な費用や時間がかかってしまうことも。特に、新居を購入したのに売却が進まないケースでは、費用の負担が大きくなります。
売却と購入のタイミングで失敗しないための対策
マンション住み替えは、旧居を売却してから新居を購入するという手順が一番スムーズです。そのためには、希望の条件や予算を明確にしてこまめに物件をチェックするなどのアクションが大切になってきます。すべての条件を満たす物件を見つけようとするより、優先順位を明確にしたうえで迅速に判断できる準備をしておきましょう。
5.手数料や引っ越し費用をきちんと把握していなかった
- 新築ではなく中古のマンションを購入したため仲介手数料がかかった
- 仲介手数料に消費税がかかることを見落としていた
- 3月に引っ越しをしたため、引っ越し業者の繁忙期で転居費用が高くなった
住み替えにかかる費用は新居の購入費用だけではありません。一般的に不動産業者に支払う仲介手数料は物件の価格が上がるほど高くなります。
諸費用で失敗しないための対策
仲介手数料は法律で上限が定められていますが、実際の請求額は業者によって異なります。最近では手数料の値引きを売りにする業者も存在するため、事前に確認しましょう。また、進学や就職による転居が多い3~4月は引っ越し業者の繁忙期となり、料金が上がります。引っ越し日の調整が可能であれば、3〜4月を避けることで費用を抑えられます。
6.買い手にキャンセルされてしまった
- 売却金を新居の購入資金に組み込む予定だったが、買い手がキャンセル。資金が足りず、手付金を支払っていたのに新居の購入を断念する羽目になった
マンションの住み替えの場合、買い手から旧居購入の意思表示を受けた段階で、新居の購入手続きが具体化していることがあります。購入手付金支払い後の契約キャンセルは手付金が戻ってこないため、経済的なダメージが大きくなります。
キャンセルで失敗しないための対策
売買は相手があることなので、買い手のキャンセルを完全に防ぐことは難しいかもしれません。リスク軽減策として、「売却する物件の手付金を高く設定する」、「仲介業者の買取保証サービスを利用する」などの方法があります。
「買取保証」とは、物件が売れなかった場合に不動産仲介会社が物件を買い取ることを保証するサービスです。買取保証を利用すると、相場の60~70%程度の価格で売ることになってしまうのがデメリットです。しかし価格の折り合いさえつけば、スピーディーにマンションを売却でき、仲介手数料もかかりません。
住み替え後によくある失敗例
マンション購入全般に言えることですが、新居で暮らし始めてから「失敗だった」と気づくケースもあります。住み替え後に判明する可能性のある失敗例と、その対策をご紹介します。
1.新居の現地確認が足りず、住んでから不便さや不満を感じた
- 家の周りの街灯や夜間の人通りが少ない
- 休日の交通量が多く、マンションの前の道路に路上駐車が多い
- 戸数が多い割にエレベーターが1基しかないため、朝は待ち時間が長い
現地での確認で失敗しないための対策
現地や周辺環境は、時間や曜日を変えながら何回か訪問して確認しましょう。朝と夜、平日と休日で人通りや街の雰囲気が違うことはよくあります。中古マンションの場合は、隣や上下階にどんな人たちが住んでいるかもチェックしましょう。
実際の生活を具体的にイメージしながら確認することで、暮らし始めてからの不便さや不満を回避しやすくなります。
2.家具や家電のサイズが合わなかった
- 廊下の幅が狭くて大型家電がギリギリ通らず、買い替える羽目になった
- 窓が多い間取りのため家具を置ける場所が限定されてしまった
家電や家具で失敗しないための対策
ファミリータイプのマンションからコンパクトタイプのマンションに住み替えるときは、特に注意が必要です。玄関や廊下、部屋のドアのサイズはもちろん、共有エレベーターの間口、高さ、奥行きもチェックしておきましょう。家電を増やす予定がある場合、コンセントの位置も合わせて確認しておくと安心です。
3.住宅ローンに関する失敗
- 売却額で住宅ローン残債の返済をするつもりだったが、住宅ローン残債額が売却額より多く、持ち出しの現金が必要になった
- 住宅ローン控除10年を見越して購入していたが、購入後3年で売却したため、予定していた期間の控除が受けられなかった
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、住宅ローンを利用して住宅を新築または購入した場合に、一定の条件を満たしていれば最大13年間所得税の控除を受けられる制度です。控除上限は状況によって異なりますが、毎年「40万円」や「年末残高の1%」などがあります。適用されるには10年以上の住宅ローンを組んでいる、合計所得金額が3,000万円以下などの条件があります。
また、新築または取得した住宅の床面積が50平米以上であるなども含まれます。全期間合わせると、大きな節税につながる制度のため、活用することで住宅ローン返済の負担が軽減されます。
住宅ローンで失敗しないための対策
繰り上げ返済を行うと、ローン期間を短縮し金利負担を軽減できます。短縮して軽減される金利と住宅ローン控除で節税できる金額を比較し、どちらが有利か判断しましょう。
住宅ローンが残っている住宅を売却する場合、引き渡し時に住宅ローンの残債を一括返済する必要があります。を予備知識を持っておくことで、想定外の失敗を防ぐことができます。住み替えでは、売却額でまかなえなかった旧居のローン残債額と新居の購入費用を合わせてローンを組むケースもあります。ただしその場合、借入額が大きくなります。失業・休職、転職による収入減といったリスクも考え、しっかりとした資金計画を立てましょう。
住み替えで失敗しないための進め方:マンション売却と購入どちらを優先するべきか
マンションの住み替えで失敗しないためにはタイミングが重要です。住み替えの手順は「売り先行」と「買い先行」の2種類があります。売却と購入のどちらを優先するべきかは、状況により見極めが必要です。売り先行と買い先行の特徴やメリット・デメリットをご紹介します。
売り先行のメリット・デメリット
売り先行とは、マンションの売却が決まってから新居を購入するケースです。売却を焦る必要がないため、じっくり売却活動が行え、希望価格で売れる可能性が高まることがメリットです。売却価格によって新居の購入予算を見直す、売却金を購入時の頭金にするなど、資金計画しやすい点もメリットと言えます。住み替えのための現金資金が少ない人、売れるか不安がある人にとってはリスクが少なく、おすすめの方法です。
一方、マンション売却後、引き渡しまでの間に新居の購入ができないと、賃貸などの仮住まいが必要になります。引っ越しや家賃で余計な費用がかかってしまうというデメリットがあります。売却に苦戦している間に、購入を希望していた物件が売れてしまう可能性もあります。
買い先行のメリット・デメリット
買い先行とは、新居を購入したあとに売却を進めるケースです。「自宅の引き渡しまでに引っ越し先を探さなくてはいけない」といった購入の期限がないため、希望条件に合う新居が見つかるまでじっくりと時間をかけられる点がメリットです。売却を待つ間に希望の物件が売れてしまう心配もありません。旧居の売却時にはすでに新居を購入しているため仮住まいは不要。引っ越しは一度で済み、仮住まいの費用も必要ありません。
買い先行の注意点は、新居購入時点では旧居の売却価格と売却時期が確定していないということ。売却金を新居の購入資金に充てることができません。売却価格が想定より安くなると、資金計画が狂ってしまうことがデメリットと言えます。
また、新居を購入したのに古いマンションがスムーズに売却できないと、一時的にダブルローンになってしまう可能性も。売却が遅れるのをおそれて、結局予定よりも安い価格で売ってしまっうケースも少なくありません。住み替えのタイミングは慎重に計画しましょう。
マンションを住み替えなくてもリノベーションで解決できるケースも
子供が成長したので子供部屋がもうひと部屋必要になったなど、住み替えの検討理由によってはリノベーションで解決する場合もあります。キッチンが独立していて料理中に家族と会話できない、など間取りの不満はリノベーションで解消しやすい部分です。
住み替えをせず今の住まいをリノベーションする場合、慣れ親しんだ環境で生活し続けることができます。工事内容にもよりますが、住みながらリノベーションができれば、引っ越しや仮住まいの費用がかからないというメリットもあります。
また、リノベーション費用は首都圏の場合、1平米あたり10~20万円程度が相場といわれ、仮に80平米のマンションをフルリノベーションするとその費用は800~1,600万円。前出の「住宅市場動向調査報告書」によると、分譲マンションの購入費用は新築が平均4,457万円、中古が平均2,746万円。リノベーションする方がマンションを購入して住み替えるよりもコストを抑えることができます。
まとめ
マンションの住み替えは大きな費用と手間、時間がかかります。事前に進め方や流れのリサーチ、資金計画、スケジュール設定をしっかり行いましょう。
住み替え検討の理由によっては、リノベーションで解決できるケースもあります。リノベーションであれば環境はそのままに、住み替えより低コストで快適な住まいを手に入れることができます。選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
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