蔵前エリアを語るにははずせない「隅田川」。広い空を感じながら歩けるテラスは水と緑に恵まれ、多く人に愛されています。今回は蔵前から浅草にかけての景色をご紹介。のんびり過ごしたい休日は水辺を歩いて、ゆったりとした川の流れを楽しんでみませんか。
隅田川テラスを歩こう。
東京の北東部を流れ、下町を両岸にのぞみながら東京湾にそそぐ隅田川。江戸時代から生活用水や運河、憩いの場として人々の暮らしに深くかかわってきたといわれています。
川沿いには「隅田川テラス」という親水テラスが整備され、ジョギングや散歩に人気のスポットになっています。水上バスや屋形船が川を上り下りする姿や、隅田川にかかる個性的な橋をながめながら【蔵前~浅草】エリアを散策してみました。
蔵前~浅草の隅田川散歩コース
厩橋(うまやばし)
都営大江戸線の蔵前駅A7出入り口を出て、隅田川の方向へ向かうと出会う「厩橋(うまやばし)」。この界隈には江戸時代に幕府の米蔵があり、その米を運搬する馬が飼われていた「馬屋(厩=うまや)」にちなんで厩橋という名前になったといわれています。美しい2つのアーチと、グリーンが特徴的な橋です。
橋のふもとにある公衆トイレは芸術的で、個性ゆたかな蔵前の街を連想させてくれます。
橋の両端の上部には、美しい馬のステンドグラスがほどこされています。夜は灯りがともった様子を見られるそうです。
隅田川に降りる部分の欄干には、躍動感のある馬のレリーフがほどこされています。「厩橋」という名前がもつ歴史を感じさせてくれる、素敵な装飾です。
橋の横から川沿いを歩けるテラスに降りると、隅田川がいちだんと近く感じられます。風情ある屋形船がとまっているのも見どころ。「東京で一番美しく隅田川・スカイツリー・屋形船がみえる処」という看板がありました。
厩橋はむかし「うまやの渡し跡」だったそうです。江戸時代は幕府の政策により橋の数が少なく、かわりに各所に渡し舟があって人々を渡していたといいます。特に春のお花見の時期は「墨堤の桜」を見に行く多くの人々が利用したのだとか。昔の人も、隅田川の美しい桜を楽しんでいたのですね。
川沿いにはジョギングをする人や、のんびり読書をたのしむ人が見受けられました。空が広く目の前にはゆったりとした川の流れが広がるので、開放的な気分になります。
川沿いを歩いていくと、次の橋が見えてきました。
駒形橋(こまがたばし)
淡いブルーがさわやかな「駒形橋(こまがたばし)」です。橋の名前は、浅草寺諸堂のひとつである「駒形堂」に由来しているといわれています。「駒形」という地名は多くの文芸に登場しており、橋のたもとには有名な2つの歌が書かれた石碑があります。
『君はいま 駒形のあたり ほととぎす』
『浅草の林もわかず 暮れそめて 三日月低し 駒形の上に』
という歌です。このあたりの情景が伝わってくるような、素敵な歌ですね。
ずっしりとした石造りの橋脚が印象的です。スカイツリーも近づいてきました。
駒形堂
川沿いから少し浅草のほうへ歩くと、駒形橋の名前の由来である「駒形堂」があります。ここは浅草寺諸堂のひとつで、ご本尊の観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)が初めて示現(菩薩様が救済のためにさまざまな姿で現れること)された場所といわれています。天慶5年(942)に建立されたものの、たびたび焼失の憂き目にあい、現在のお堂は平成15年(2003)に建立されたものだそうです。
昔、船で浅草寺の参拝に来た人はこの駒形堂でお参りしてから浅草寺を訪れたともいわれています。浅草寺に行く予定の方は、参拝する前に駒形堂を訪れてみてはいかがでしょうか。
吾妻橋(あづまばし)
川沿いに戻り、次の橋を目指します。鮮やかな赤が印象的な「吾妻橋(あづまばし)」です。橋を渡ったすぐ先は浅草水上バス乗り場となっており、多くの観光客でにぎわいます。対岸にはアサヒビールタワーと炎のオブジェが見え、ゴールドと赤の組み合わせがなんとも華やかです。
橋の下はトンネルになっていて、6~21時の時間帯は通り抜けることができます。
対岸に並ぶ、スカイツリーとアサヒビールタワー、炎のオブジェは迫力満点。絶好のフォトスポットです。
この日は隅田川テラスでRIVERSIDE&TOKYOの「風のテラス」というイベントが開催されていました(現在は終了しています)。風鈴の音色が水辺の涼やかさと、江戸の下町情緒を感じさせてくれます。
隅田公園
階段をのぼり、水上バス乗り場の横から「隅田公園」へ。ここは桜の名所として有名です。ほかにも初夏のアジサイ、秋のヒガンバナ、冬の梅など四季折々の花を楽しめます。
緑ゆたかな公園には、約640本の桜が植えられているそうです。自然を感じながらゆったりとくつろげる、絶好のリラックススポットになっています。フリーマーケットや手づくり市などイベントが開催されることも多いので、参加してみるのもおすすめです。
公園からは、東武スカイツリーラインも間近に見えます。乗り物好きなお子さんがいる方は、公園から一緒に電車を眺めても楽しいかもしれません。
東京の水辺で癒しのひとときを
日本の歴史と街を身近に感じられる「隅田川さんぽ」。浅草など主要な駅からのアクセスもよいので、街歩きの休憩としてもおすすめです。今回ご紹介したほかにも、川床のあるお店やオープンカフェ、ギャラリーなど寄り道したくなるスポットがたくさん。ぜひ訪れてみてくださいね。