梅雨の季節にひときわ輝く、色とりどりのあじさい。杉並区堀之内にある『妙法寺』は、厄除けで有名なのはもちろん、あじさいが美しいことで知られる人気スポットです。東京メトロ丸の内線・新高円寺駅から歩いて約15分。都心にあるとは思えない、緑あふれる妙法寺の魅力をお伝えします。
妙法寺とは
江戸時代から続く、歴史ある厄除けのお寺
江戸庶民のあいだで「やくよけのおそっさま」と呼ばれ親しまれてきた妙法寺。広い境内には複数のお堂があり、中でも一番大きな祖師堂には「厄除け祖師」御尊像が奉安されています。
その評判は「妙法寺の境内に入るだけで除厄けになる」と言い伝えられるほど。霊験あらたかなお祖師様のパワーを授かろうと、現在も全国各地から多くの参拝者が訪れています。
全国から僧侶が集まる「千部会」が開催される
筆者が訪れた5月上旬には、3日間に渡り壱千部の経典を読誦する法会「千部会(せんぶえ)」が開かれていました。奈良時代にはじまったという「法華千部会」ですが、実際に法華経二十八品すべてを声に出して読経するのは、今ではここ、妙法寺だけなのだとか。全国から集まった、大勢の僧侶が読経する様子は圧巻。とてつもないパワーを感じます。
祖師堂の手前にある角塔婆(かくとうば)には、お祖師様と繋がっているという赤い綱が。お祖師様とのご縁をより堅く結ぶよう、手に取るとよいとされています。筆者も実際に手に取ってみました。
由緒ある数々の指定文化財
学問と眼病の守護で有名な『日朝堂(にっちょうどう)』
本堂の裏手に、ひっそり佇んでいる『日朝堂』。眼病平癒、学業増進、合格祈願をお願いするお堂です。ここには室町時代、学匠として高名であった日朝上人のご尊像が祀られています。
この時期は落ち着いた雰囲気の中でお参りすることができますが、受験シーズンになると多くの祈願者が訪れ、賑わいを見せるのだそう。
2体の金剛力士像が守る『仁王門』
多くの文化財を見ることができるのも妙法寺の魅力のひとつ。境内の正面には、東京都指定有形文化財である『仁王門』が建っています。
入り口を守っているのは、2体の金剛力士像。力強い表情に、背筋が伸びる思いです。二層造りの門の上層には、獅子・龍・華などの彫刻が施されており、見応えを感じられます。
極彩色の鳳凰を抱く『鉄門』
祖師堂に向かって右手には、極彩色の鳳凰が守る『鉄門』。イギリスのコンドル博士の設計により、和洋折衷様式で建立された貴重な文化財です。境内の中でも、ここ一帯は華やかな異国の雰囲気を放っています。
仁王門を入って左手には、いくつもの巨大絵馬が飾られている『額堂』があります。どれも力強く、エネルギーに満ち溢れた作品ばかり。オープンスペースになっているので、ゆったりと鑑賞を楽しんでみてはいかがでしょうか。
作家・有吉佐和子の碑
境内の奥にある御墓所には、ベストセラー作家、有吉佐和子さんの碑があります。妙法寺の近くにお住まいだった有吉さんは、キリスト教でありながらも妙法寺をこよなく愛し、頻繁に足を運ばれていたそうです。
碑の前にはたくさんの花が飾られており、今でも多くの方々に愛されている様子がうかがえます。
子育観音(こそだてかんのん)
境内をさらに進むと、豊かな緑の中に大きな子育観音様がいらっしゃいます。「南無観世音菩薩 念彼観音力」と唱えると、子供がすくすく育つといわれているそう。二人の子供を愛おしむ姿は、とても美しく見えました。
森林浴をしながら、心休まるひとときを
環状七号線からすぐ近くの場所にあるとは思えないほど、豊かな緑に溢れている妙法寺。多くのお堂や文化財もあり、とても見応えを感じました。
6月には、境内に植えられたあじさいと菖蒲が同時に見頃を迎えます。雨露をまとった紫・青・ピンクの花々が咲き乱れる境内は、まるで幻想の世界のよう。雨続きで重たくなりがちな心を、ふわっと軽くしてくれることでしょう。
梅雨の時期にこそお出かけしてみたい『妙法寺』。ぜひ一度、訪れてみてはいかがでしょうか。
日蓮宗 本山 除厄け祖師 堀之内 妙法寺
【住所】東京都杉並区堀ノ内3-48-8
【公式サイト】http://www.yakuyoke.or.jp