窓から東京タワーが見えるHさんのお部屋は、築48年の中古マンションの12階。「ひとり暮らしなんですけど、友達が集まる前提でリノベーションしました」というだけあって、おもてなしの工夫がいっぱいです。
機能と演出でもてなす玄関
玄関ドアを開けると、壁付けブラケット照明の柔らかな光が出迎えてくれます。天井付けの照明は全体を照らしていないのがポイントで、部分照明ならではのほっこり感があります。
玄関から部屋に上がる廊下には、花などちょっとした飾りが置けるスツールのような造作家具が。ゲストを華やかに迎えてくれるとともに、靴を履くときにちょっと腰掛けたり、買い物帰りの荷物をちょっと置いたりすることもできます。
造作家具の上の天井にはハンガー用のアイアンバーを設置。複数人のゲスト数人のコートが余裕でかけられます。「雨の時にも濡れたものを室内に持ち込まなくて良いので便利です」とHさん。
玄関土間を広くとった理由は、お友達が赤ちゃん連れで遊びに来た時にベビーカーを置くことも想定してのこと。ご自身のお気に入りの自転車を置いても余裕のある広さです。
ベッドルームはつくらず可変的な縁側を
42㎡のお部屋の中心には縁側のようなデザインの小上がりが。
ご友人が集まるときはリビングの一部としてくつろげるスペースになり、夜は格子に取り付けられたバーチカルブラインドを閉じて寝室に。天井部分に下がり格子を取り付けたことで、おこもり感がアップ。このスペースでくつろぐことが一番多いそう。
実は、床下の一部が収納になっているという隠れた機能も。床材は畳のように見えますが、テキスタイルフロアという素材が使われています。
のんびりと娯楽が同居するLDK
ベランダと室内の床には高低差があり、掃出し窓手前のフローリングに座ると縁側のような風情。窓際のみフローリングの向きを変えて貼り分けたことで、さらに縁側っぽく。遠くまで見渡せる12階からの眺望を眺めてのんびりと過ごせます。
「遊びに来た友達や家族と映画鑑賞やゲームをしたい」と、ダイニングの壁際の本棚にホームプロジェクターを設置。壁いっぱいの大画面を大勢で楽しめるよう、プロジェクター対面のリビング壁一面には、映像がきれいに映る特殊な壁紙が貼られています。
テーマカラーを決めて色を楽しむ
キッチンの背面壁、キッチンカウンターの腰壁、洗面スペースの壁には、グリーン系の壁紙を使用。同じグリーンでもLDKは少し青みのあるもの、洗面は黄色みのあるものと色合いを変えて楽しんでいます。
洗面室には調湿機能のある珪藻土クロスを使用。壁の色に合わせて電気のスイッチやコンセントも他の部屋とは異なる色をセレクトし、空間全体がコーディネートされています。
迷った末の中古購入＋リノベーション
リノベーション前は、川崎の賃貸マンションに住んでいたというHさん。2年前に賃貸契約の更新をしてから少しずつ家の購入を検討を開始。お友達に相談して反対されたこともあったそう。
時間をかけて考えた末「やっぱり自分らしい暮らしをしたい」と今回中古マンション購入を決意。リノベーションされました。
20代の女性がひとりで、物件の売買契約では「買い主」になり、リノベーション工事の請負契約では「施主」になる経験を乗り越えられました。
人生初の決断を繰り返さなければならないことも多く、ひとりで対処するにはハードなこともあったはずですが、「メールのやりとりが多くて大変だったくらいかな…」と、当時をさらりと振り返ります。たくさんの人たちと関わりながら、家づくりを思い切り楽しんだHさんだからこその言葉。住まいを持つことは、私たちが思っている以上にもっと身近で今の自分のままで乗り越えられるものなのかもしれません。
「みんなが遊びに来た時に、居心地よく感じてほしいと思っていました。でも、ゲストを呼ぶための部屋をつくったわけではないんです。私も、みんなも、居心地のいいおうちにしたいと思ってつくりました」。
その言葉にすべてが詰まっています。
「20代の女性が挑戦！デザイナーと叶えるホームプロジェクターのある暮らし」
| 面積 | 42.66m² |
|---|---|
| 間取り | 2DK→1LDK＋小上がり＋WIC |
| 建物 | 中古マンション |
| 構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
| リノベーション完工年月 | 2018年5月 |
| 完工時築年数 | 築48年 |
| 場所 | 東京都世田谷区 |
| 家族構成 | ひとり暮らし |
