中古マンション建て替えの費用は?金額の決まり方・調達方法も解説!
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築年数が経過した中古マンションは「建て替え」が必要になることがあります。中古マンションの建て替えが決まった場合、住民の費用負担や必要な手続きはどうなるのでしょうか。本記事では、マンションの建て替えに必要な費用の内訳や準備の手順、資金調達の方法まで、分かりやすく解説します。
目次
マンション建て替えの基本
中古マンションの建て替えは、多くの住民(区分所有者)にとって大きな決断となります。
建て替えを進める際には、まず現状の問題点を明確にし、その解決方法として建て替えが最善であるかどうかを検討することが重要です。まずは、マンション建て替えの基本的な事項について解説していきます。
マンション建て替えの流れと手続き
マンションの建て替えの流れは数段階に分かれます。最初に建て替えの必要性を認識し、次に住民の同意を得るための会議を開催します。その後、建て替え計画の策定、業者選定、そして建設工事の実施に移行します。
マンション建て替えに必要な法的手続き
マンションの建て替えに関する法的手続きは、まず建物の解体許可申請を関連する自治体に提出し、承認を得る必要があります。続いて、建築確認申請を行い、新しいマンションの設計や設備内容を確定します。さらに、土地や建物の所有権、各区分所有者の権利関係などを定めた権利変換計画を作成し、行政機関の認可を得なければなりません。
また、建て替え工事に入る前には、トラブルを未然に防ぐために近隣住民への説明会を実施し、工事中の騒音や交通規制について事前に説明します。
最後に、施工会社との契約や金融機関からの融資などを確定し、実際の建て替え工事がスタートします。工事期間中は、定期的な進捗確認や調整が必要であり、対応の柔軟性が求められます。建物の完成後は、新居への引っ越しや住環境の確認なども必要です。
マンションの建て替えに関係する法律と規制
マンションの建て替えに関係する法律には「区分所有法」や「建築基準法」があります。これらの法律は住民の権利を保護し、不正行為を防ぐために設けられています。区分所有法では、所有者の5分の4以上の同意が必要であり、建築基準法では建物の構造や安全性に関する基準が定められています。
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マンションの建て替えを決める前の基礎知識
マンションの建て替えを決めるには、住民の合意が不可欠です。ここでは、マンションの建て替えを決断する前に知っておくべき重要な基礎知識を解説します。
メリットとデメリット
マンションの建て替えには、多くのメリットがあります。建物が古くなると、耐震性や設備の劣化が問題になります。新しい建物にすることで、安全性と便利さが向上します。たとえば、エレベーターが古くなると故障が頻発することがありますが、建て替えにより最新の設備に更新され、使い勝手がよくなります。
一方、デメリットも存在します。建て替えには多額の費用と長期間の工事が必要で、仮住まいや生活の一時的な不便さがともないます。建て替え期間中、住民は一時的に別の場所に住む必要があり、引っ越し費用や新たな住居探しの手間が発生します。
住民同意の取得方法
マンションの建て替えで住民の意見を的確に把握し、同意を得ることが建て替えの成功させるうえで欠かせません。住民説明会やアンケート調査を通じて、住民一人ひとりの意見を伺い、適切なコミュニケーションを図ることが求められます。
実際、住民説明会を開催して透明性のある情報提供を行うことは効果的です。住民説明会では、建て替えの概要やメリット、費用の内訳、工事期間中の住民の生活への影響などについてくわしく説明します。住民が抱えている疑問や不安に対しても丁寧に回答し、信頼関係を築くことが大切です。また、情報共有のために定期的にニュースレターを発行したり、専用のWebサイトを設けたりすることで、住民がいつでも建て替えに関する最新情報にアクセスできる環境を整えることも重要です。
マンションの建て替え費用について
マンションの建て替えにはどんな費用が必要なのでしょうか。ここではマンションの建て替えに関する費用について解説します。
解体費用
マンションの建て替えにおいて、大きなコストを占めるのが解体費用です。たとえば、10階建てのマンションを解体する場合、解体工事の費用は数百万円から数千万円に上ることがあります。また、古いマンションには建材にアスベストのような有害物質が含まれていることもあり、その除去にはさらに高額な追加費用が発生します。まずは、解体業者に細かい見積もりを取りましょう。また、複数の業者からの見積もりを比較することでコスト削減が可能になります。
建設費用
建設費用は、設計、材料、労働力などのコストを含んでおり、これらは全体的な予算を大きく左右します。たとえば、高級マンションの建設では高品質な材料や特別な設計が必要になるため、通常のマンションに比べて費用が高額になります。
間接費とその他の費用
マンションの建て替えには解体費用や建設費用だけでなく、間接費とそのほかの費用も発生します。これらの費用には管理費、法務費用、登記費用、設計費用などが含まれ、総費用に大きく影響します。たとえば、設計費用は建設費用の約10%〜15%を占めることがあります。
また、法務費用や登記費用も高額になることが多く、数百万円に及ぶことがあります。これらの費用を無視すると、予算をオーバーしてしまう可能性があるため、間接費とその他の費用も事前にしっかりと見積もり、計画に組み込むことが重要です。
費用を左右する主な要因
ここでは、費用に影響を与える要因として「立地条件と地価」「建設規模と仕様」の2点を解説します。
立地条件と地価
マンション建て替え費用には、さまざまな要素が影響を与えますが、そのなかでも立地条件と地価は重要な要因となります。マンションがどの場所にあるかによって、その土地の価値や地価は大きく変わり、それが建設費用にも直接影響を与えます。
都市部や商業地域に立地するマンションの場合、郊外や都市周辺部に立地するマンションと比較すると、地価が非常に高く、固定資産税も高額になることが一般的です。地価が高い地域では建築規制や開発計画も厳しいことが多く、その分、時間や手間がかかることが予想されます。
建設規模と仕様
建設規模が大きくなり、高級仕様のマンションになるほど、使用する資材の量や工事の複雑さが増すため、総費用が上昇します。たとえば、一般的なマンションと比べて、高層マンションや高級マンションは建設にかかる費用が大幅に高くなります。大規模なマンションは、その規模に応じて建築資材の購入量が増加し、一度に多くの資材を手配する必要があります。また、建設工程も複雑化し、多くの専門家や技術者が関わることとなり、その分の人件費もかさむことが予想されます。
マンションの建て替えが決まった場合の費用負担について
もし住んでいるマンションが建て替えになった場合、マンションの建て替えにかかる1戸あたりの費用は、物件の資産価値により異なりますが、一般的にはおよそ数百万円から数千万円程度といわれています。その他にも、建て替え時と完成時の合計2回の引越し費用にくわえ、仮住まいの家賃などもかかります。それらすべてをカバーすると総額数千万円以上はかかる場合があります。
建て替え費用を自己負担して、新しくなったマンションに入居する場合、預貯金のみで賄うのが難しい場合も考えられます。その場合の資金調達方法について紹介します。
資金調達方法
資金調達の方法には、金融機関からの融資、公的支援制度を利用するなどがあります。
金融機関からの融資
金融機関からの融資を受ける場合、建築費用や仮住まいの費用をカバーすることができます。たとえば、住宅金融支援機構や地方銀行からのローンを利用することで、必要な資金を調達することができます。金利や返済期間などの条件が柔軟に設定されていることが多いため、計画的な返済が実現しやすいのもメリットです。
公的支援制度の利用
公的支援制度を利用することも有効です。国や地方自治体は、老朽化したマンションの建て替えを促進するためにさまざまな補助金や助成金などの支援制度を設けています。補助内容や条件は各自治体や機関によって異なりますが、申請することで費用の一部を補てんできます。ただし、助成内容・要件は自治体ごとに異なり、実施されていない自治体もあるため、各問い合わせ先で確認をしましょう。
マンション建て替えに関するよくある質問
ここでは、建て替えに関する一般的な疑問への回答を紹介します。
Q.マンションの建て替えにかかる平均的な費用は?
マンションの建て替えにかかる平均的な費用は、マンションの規模や立地、仕様によって大きく異なりますが、一般的に1戸あたりの費用は数百万円から数千万円におよぶことが多いです。建て替え費用を正確に見積もるためには、専門家からアドバイスを受けることがおすすめです。
Q.マンションの建て替え時に住民はどうなる?
マンション建て替え期間中は、住民は一時的に仮住まいへ引っ越す必要があります。たとえば、建て替えプロジェクトに参加する住民には、近隣の賃貸住宅やホテルに仮住まいの手配がされる場合があります。さらに、引っ越しの費用や賃料の補助が提供されることもあります。
Q.マンションの建て替えを決定するにはどれくらいかかる?
マンションの建て替えを決定するには、通常、数年かかることが一般的です。これは、建て替えプロジェクトにはさまざまなステップがあり、それぞれが十分な期間を要するためです。この記事でも紹介したように、最初に、建て替えが必要かどうかを判断するための事前調査が行われます。この段階では、マンションの老朽化状況や安全性を評価し、建築物の現状を鑑定します。次に、住民の合意形成が不可欠です。住民が建て替えに前向きであることが確認される必要がある重要なステップですが、住民の合意形成は一筋縄ではいかず、多くの時間と努力を要します。法的には、区分所有法に基づいて、総会で5分の4以上の賛成を得る必要があります。さらに、法的手続きや建て替えに関する詳細な計画の策定に進むと、ここでも再び数ヵ月から数年かかることが考えられます。
まとめ
今回は、マンションの建て替えに関する費用やスケジュールなど、基礎知識から具体的な内訳や資金調達方法など解説しました。
建て替えを検討しているマンションの管理組合や住民(区分所有者)のみなさんは、この記事を参考にしてみてください。また、専門家と相談しながら、最適な方法を見つけて実行していくことをおすすめします。
いえらぶ編集部
全国15,000社の不動産会社の業務支援をする中で得たノウハウを日々発信中。
おもに、不動産(賃貸・購入・売却)や税金・法令といった暮らしに関わる記事を執筆しています。
https://ielove-cloud.jp/
筆者
リノベる。JOURNAL編集部
物件探しからアフターサービスまで、リノベーションに関わることを一社完結のワンストップで手掛ける「リノベる。」
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