物件情報の間取り図などで頻繁に目にする「ウォーク・イン・クローゼット」や「シューズ・イン・クローゼット」という言葉。W.I.C / S.I.Cと略して表記されていることもありますね。今回はそんな「W.I.C」と「S.I.C」の特徴や魅力をご紹介します。
靴を履いたまま入れる。玄関から独立した「シューズ・イン・クローゼット(S.I.C)!メリット・デメリットは?
シューズ・イン・クローゼットは「靴を履いたまま歩ける」ことがポイント。大きいシューズラックが設置されているのはもちろん、モルタルやタイルの土間が広く取られていて「土足ウェルカム」のスペースです。
シューズ・イン・クローゼット
S.I.Cのメリット1 抜群の収納力で、玄関がいつもすっきり
小さい下駄箱だけの玄関だと、ヘビーローテーションする靴がいつも出たままになってしまいがち。一方、フォーマルなどいつも履かない靴や季節はずれの靴は奥のほうにしまってあり、探すのがひと苦労だったりします。収納力抜群のS.I.Cなら、ご家族のお手持ちのシューズをきれいにしまえるから、玄関はいつもすっきり。履きたい靴もすぐに見つけられます。
S.I.Cのメリット2 靴の着脱スペースが広々
シューズ・イン・クローゼットの魅力は、靴を着脱するスペースがゆったりとしていること。ベンチを置いたり、姿見を置いて、おでかけ前のチェックも万全。狭い玄関先でよろけながら靴を脱いだり履いたりするストレスから解放されます。
S.I.Cのメリット3 アウトドアアイテムやベビーカーも置ける
S.I.Cは土間なので頻繁に使うアウトドアアイテムを置けるのもメリット。自転車や三輪車、スキーやサーフボード、泥のついたバットやボールなど。また子育てファミリーにはベビーカーを置けることでも重宝するスペースです。
S.I.Cのメリット4 グリーンやタイルでインテリアの演出も
玄関の印象を左右する場所でもあるS.I.C。シューズラックや床のタイルの素材やデザイン、ベンチやグリーンなどのセレクトによって個性的な空間をつくることができます。自分らしいコーディネートを施して、玄関のドアをあけた瞬間の、ほっとする心地よさを演出したいですね。
内部を歩ける収納スペース「ウォーク・イン・クローゼット(W.I.C)!通常のクローゼットとの違いとメリット・デメリット
ウォーク・イン・クローゼットは、その名の通り内部を歩けるクローゼット。目安として3帖以上の広い収納スペースを言います。衣類はもちろん、暖房器具などの季節物やアウトドアグッズなど趣味のアイテムもたっぷりと収納できる優れものです。
ウォーク・イン・クローゼット
W.I.Cのメリット1 気軽にものを出し入れできる
ものがぎっしりと詰まった押入れやクローゼットでは、しまった物を探すのもひと苦労。一旦出したらしまうのも大変です。ところが中を歩けるW.I.Cなら、お目当てのものを探しやすく出し入れも簡単。使いやすい造作棚を設けることで、より整理しやすくなり、出し入れのストレスを軽減できます。
W.I.Cのメリット2 ものを1ヶ所にまとめられる
小さい収納スペースにあちこち分けると、お目当てのものがどこにあったか忘れてしまい、全ての収納スペースをくまなく探さなければならなくなることも…。その点大きいW.I.Cなら、ものはすべて1ヶ所に収納。出し入れがしやすいのも魅力です。
W.I.Cのメリット3 レイアウト次第で身支度がスピーディに
リノベーションで間取りから一新する時には、最初からライフスタイルに合わせてW.I.Cを配置するのがおすすめ。寝室や洗面・トイレなどのサニタリースペースと隣接させれば、朝の身支度がとてもスムーズです。また洗濯スペースの近くなら、家事がしやすく大助かり。玄関の近くの場合は、外出から戻ってそのままコートや上着をかけられるというメリットも。大きさや収納のしやすさも大切ですが、W.I.Cは配置も決め手です。
W.I.Cのメリット4 急な来客時もさっと片づけられる
急なお客様が多いご家庭にうれしいW.I.Cのメリットは、とりあえずさっとものをしまえること。生活感のあるアイテムもW.I.Cに入れるだけならわずか数分。片付けがスピーディなのもうれしいポイントです。特に「見せる収納」よりも「隠す収納」が向く子育てファミリーには、おすすめしたい収納スタイルです。
シューズ・イン・クローゼットのサイズ目安
シューズ・イン・クローゼットのサイズの決め方は?
ごく一般的な玄関の広さは、玄関ホール、玄関土間、収納スペースそれぞれに1畳、計3畳が目安といわれています。対してシューズインクローゼットは、一般的な玄関に2畳以上のスペースを追加する必要があります。
シューズインクローゼットのサイズを検討する際は、以下要素についてあらかじめチェックしておきましょう。
・靴の量
・家族構成
・靴以外に収納したいもの(自転車、ベビーカー、生活用品など)
シューズ・イン・クローゼットのタイプは
シューズインクローゼットには大まかにウォークインとウォークスルーの2つのタイプがあります。
ウォークインとは
ウォークインとは、玄関土間の隣に収納スペースを作るタイプです。
ウォークインに適しているのは
・靴の量が多い
・家族の人数が多い
・自転車やキャンプグッズ、子どもの外遊び道具など収納物がたくさんある
など
収納するものが多い世帯です。
ウォークインタイプの収納は、玄関土間を延長してつくることもよくあります。玄関ドア近くに、日常的に使用する靴を置くなど、使いやすい動線の工夫が必要です。ウォークインタイプのクローゼットとは別に、靴用の棚を取り付ける場合もあります。
ウォークスルーとは
ウォークスルーとは、玄関からシューズクロークを通って、さらにそこから室内へ入ることができるタイプです。
ウォークスルーに適しているのは、
・共働きなどで忙しく、効率よく動きたい
・来客が多く、玄関まわりをスッキリ保ちたい
・自転車等大きなものを収納しない
など
効率を重視しつつ、すっきりとした状態を保ちたい世帯です。
ウォークスルーの場合、居室からつながった動線にすることもあります。居室からウォークスルークローゼットに入って身支度をし、そのまま玄関に出るなど、朝の忙しい準備を効率化することができます。
収納するものの種類はウォークインと同じですが、人が通り抜けるスペースをつくるため、一般的にウォークインタイプよりも収納量が少なくなります。
ウォーク・イン・クローゼットのサイズの目安
ウォーク・イン・クローゼットの間取りの決め方は?
クローゼットの間口の大きさは一般的に180㎝が多く、ウォークインクローゼットも間口の大きさは180㎝程度を目安に、家族構成や持ち物の量を考慮して検討してみてください。
ウォークインクローゼットの間取りを決める要素は、以下が挙げられます。
・家族構成
・衣類や収納物の多さ
・室内の動線
など
ウォークインクローゼット内のレイアウトも、収納する物の種類や量によって適したスタイルは変わります。服が多い場合、ハンガーパイプを設置しておくと効率よく収納できます。大型のものをざっくりと置きたい場合や、物が増減する場合は収納棚を備え付けない方が、収納方法を変更できて便利です。
ウォークインクローゼットのサイズの決め方について、一例をご紹介します。
・ふたり暮らし:2畳程度
・ふたり~4人暮らし:3畳程度
・衣類以外にもさまざまなものを収納した:4畳以上
ウォーク・イン・クローゼットを設置する場所は?
ウォークインクローゼットの設置場所としては
・寝室の横
・洗面スペースの横
・玄関の横
・ベランダやバルコニーの横
・廊下
などがあります。
寝室、洗面所、玄関など、身支度の一連の動作が効率的になる動線を考えて配置すると便利に使えます。
湿気がこもりやすい場所に設置する場合は、換気窓を設置するなどの対策をとりましょう。また、収納しているものが色あせたり、傷んだりしないよう直射日光への対策も必要です。
シューズインクローゼット・ウォークインクローゼットのリノベーション実例
シューズインクローゼットやウォークインクローゼットを上手に取り入れリノベーション事例をご紹介します。
ショーケースのようなウォークインクローゼット
2LDKの中古マンションを1LDK+ウィークインクローゼットにリノベーションしたお住まい。ウォークインクローゼットが中央の廊下を兼ねている点が特徴です。
ただ収納するだけでなく、長年収集した大好きな古着と雑貨を飾るショーケースのような特別な空間となっています。ウォークインクローゼットの新たな可能性を感じさせてくれるお住まいです。
▼このおうちの詳しい写真や間取りを見る
『ショーケースのような収納を挟んだ3層レイアウト』
https://www.renoveru.jp/renovation/330
水まわり隣のウォークインクローゼットで生活動線がシンプルに
2DKの中古マンションをワンルームにリノベーションされたひとり暮らしのお住まい。浴室、洗面スペースなど、水まわりの隣にウォークインクローゼットが配置されています。乾かした洗濯物をすぐ隣のウォークインクローゼットに収納できるなど、シンプルで便利な生活動線になっています。玄関の続きに自転車とDIYのための空間を設けるなど、ひとり暮らしが満喫できる素敵な空間です。
▼このおうちの詳しい写真や間取りを見る
『脳内のイメージをそのまま再現した38㎡ひとり暮らしリノベ』
https://www.renoveru.jp/renovation/311
ショップのディスプレイのようなクローゼット
大好きな「ヴィンテージアイテム」に囲まれた暮らしを実現されたご夫婦のお住まい。OSBボードが貼られたリビングの壁の前にショールームを設置。フィギュアなど、旦那様の大切なコレクションが飾られています。
玄関横に設置されたウォークインクローゼットとシューズインクローゼットは、空間の高さを活用して大容量の収納を実現。壁にはリビングと同じOSBボードが貼られ、まるで古着屋さんのディスプレイのような収納になっています。
▼このおうちの詳しい写真や間取りを見る
『ヴィンテージコレクションと暮らす家』
https://www.renoveru.jp/renovation/291
|
【記事監修】リノベる。設計担当安江浩(やすえひろし) 大学卒業後、設計事務所で戸建住宅の設計等を担当。様々な建築家とコラボレーションを経験後、オフィス什器メーカーにてオフィス設計に従事。 2012年リノベる入社後は設計担当として案件を担当し、現在は設計施工部門の管理職として現在に至る。 |
リノベる。は、無料で学べるリノベーション講座開催中 ☞参加申込はこちら