屋根リフォームには、塗り替え・カバー工法・葺き替えの3つのパターンがあります。自宅の屋根の劣化が気になるときには、状態にあわせて適切な方法を選ぶことが大切です。
本記事では、屋根の修繕やメンテナンスを検討中の方に向けて、それぞれのリフォーム方法の違いや費用、工期などを解説します。既存の屋根材の種類別に、リフォームのタイミングも紹介しますので、参考にしてみてください。
※最下部にある「費用情報に関するご注意事項」をお読みください。
塗り替えとカバー工法、葺き替えは、目的は、メリット・デメリットや費用が異なります。それぞれどのような内容なのか、順番に紹介していきます。 なお費用目安は、検討するエリア(地域)や工事の範囲・規模、リフォーム前の状態、施工業者などにより異なります。記載されている費用はあくまで目安としてください。
屋根材に施された塗料が劣化したときに必要になるリフォームです。 劣化を放置していると、屋根材の腐食や雨漏りを誘発するリスクがあるため、おおよそ10年ごとの塗り替えが推奨されています。 防水性や美観の向上が期待できる一方で、屋根材や下地の劣化状況によっては塗り替えでは対応できない場合があります。そのため屋根の状態を慎重に見極めることが重要です。
屋根の塗り替えにかかる一般的な費用を工期とあわせて紹介します。
<費用の目安>
屋根を塗り替えるのにかかる費用は、使用する塗料の種類や塗装面積などにより異なります。シリコン塗料とフッ素塗料それぞれの費用相場は以下のとおりです。
シリコン塗料
フッ素塗料
費用は屋根の形状によっても変動します。
<工期の目安>
屋根の塗り替えには、10日〜14日かかるのが一般的です。ひび割れや欠けが多く補修に時間がかかったり、雨が降ったりしたときには長くなる傾向があります。
塗料は種類によって耐用年数が異なるため、選び方が重要です。一般的に、費用が安い塗料ほど耐用年数が短くなります。 安い塗料を選ぶと、1回あたりの塗装コストは抑えられますが、塗り替えの周期は短くなるでしょう。長期的にはメンテナンスコストが高くなる可能性があります。外壁の塗装と同じタイミングで塗り直すと足場代を節約できるので、費用を抑えたい場合は屋根と外壁をセットで塗り替えることを検討しましょう。 スレート屋根の場合は、屋根材が重なりあう部分に隙間をつくる「縁切り」をおこなわないと、雨漏りにつながる恐れがあります。
既存の屋根材の上に、新しく防水シートと屋根材を重ねる工法を指します。既存の屋根にスレートや金属屋根、アスファルトシングルといった、平らな屋根材が使用されている場合に施工できる工法です。 既存の屋根材の撤去・廃材処分の費用がかからないため、工期が短くなります。一方で、屋根が二重になるので重くなり、耐震性に影響が出る恐れがあります。施工に際しては、耐震性をチェックすることが重要です。
既存の屋根材の撤去・処分が不要になるカバー工法は、基本的に葺き替えよりも安価に施工できます。以下では、費用と工期の目安を紹介していきます。
<費用の目安>
カバー工法の費用は、使用する屋根材の種類や屋根の面積によって異なります。100㎡の屋根にガルバリウム鋼板を採用した場合の費用目安は、88万円〜162万円程度です。 上記の金額には足場代も含まれています。屋根工事では足場が必要になるため、見積もりを取るときには足場の有無も確認しましょう。 <工期の目安> カバー工法の工期は、4日〜1週間程度が目安です。
カバー工法は、新しい屋根材を重ねて釘で固定するので、既存の屋根の下地や内部が劣化している場合には適していません。太陽光発電が搭載された屋根も、そのままではカバー工法によるリフォームができません。葺き替えてソーラーパネルを載せかえる必要があります。 重量のある屋根材は耐震性への影響から適しておらず、基本的には金属屋根が採用されます。好みの屋根材を選べない場合があることは留意しておきましょう。
既存の屋根材をすべて撤去し、新しい屋根材に刷新する工事を指します。屋根材や下地の腐食が進み、塗り替えやカバー工法をおこなえない屋根にも対応できます。 下地を含め屋根全体が新しくなるので、屋根の寿命がリセットされる工法です。ただし、既存屋根の撤去費用や下地の材料代がかかるため、塗り替えやカバー工法よりも高額になる傾向があります。
葺き替えにかかる費用の目安は、使用する屋根材により異なるでしょう。費用相場と工期の目安を紹介します。
<費用の目安>
瓦・スレート・金属屋根(ガルバリウム鋼板)で葺き替えた場合の費用の目安は以下のとおりです。
屋根の葺き替え工事にかかる費用は、屋根の形状や業者にも左右されます。
<工期の目安>
葺き替え工事には、1週間〜10日程度かかるのが一般的です。
屋根を葺き替えるときは、建物の強度を考慮して新しい屋根材を選ぶ必要があります。家を建てたときに屋根材の重量で構造計算されているため、以前と同等、もしくは軽量な屋根材にしか葺き替えられません。 屋根材は種類によって吸水率が異なるほか、屋根の勾配によって使用できるかどうかが分かれる点にも注意しましょう。なお、葺き替えは屋根の下地を露出させるため雨が大敵です。天気のよい時期を選んで実施しましょう。
屋根リフォームのタイミングは、屋根材の種類によって異なります。以下では「瓦(粘土瓦)」「スレート屋根」「金属屋根」の屋根材について、リフォームのタイミングを紹介します。
粘土を成型して高温で焼成した屋根材です。釉薬(うわぐすり)を塗った「陶器瓦」、素焼きした「いぶし瓦」、「素焼き瓦」などがあります。熱や水に強く、耐用年数は50年以上と長いことが特徴です。
<リフォームのタイミング>
瓦屋根では基本的に塗装・カバー工法によるリフォームはおこないません。以下のような状態がみられた場合に、葺き替え工事を実施します。
上記のような状態は、経年劣化のほかに地震によって起こることもあります。
セメントを主原料とし、薄い板状に成型した屋根材です。種類が豊富で施工しやすく、屋根材としてはもっとも多くの住宅に使用されています。耐用年数は20年〜30年です。 <リフォームのタイミング> 表面に施された塗装の経年劣化にあわせ、定期的な塗装メンテナンスが必要です。10年ごとにおこなうのが一般的ですが、以下のような状態がみられる場合は塗り直しを検討します。
築25〜30年ほど経っている場合は、耐用年数を考慮し、カバー工法か葺き替えをおこないましょう。劣化状態やメンテナンスコストを考慮して工法を決めます。下地が劣化しているのであれば葺き替えが必要です。
金属屋根で主流であるガルバリウム鋼板は、薄い鋼板の表面に塗装が施された屋根材です。昔はトタンが使用されていましたが、耐食性が高く軽量で建物への負担が少ないため、ガルバリウム鋼板に取って代わられました。金属屋根の耐用年数は20〜30年とされており、定期的な塗装も必要です。 <リフォームのタイミング> 以下のような状態がみられたら、リフォームのタイミングです。
金属屋根の塗装の周期は10年とされていますが、沿岸部や酸性雨が降るエリアでは、間隔が短くなります。 築25〜30年経っている場合は、金属屋根が寿命を迎えています。カバー工法は下地の交換ができないため、下地の状態が悪い場合は葺き替えを実施しましょう。
屋根リフォームは高額になる傾向があります。少しでもコストを抑えたい場合は、補助金の活用を検討しましょう。本章では屋根リフォームで活用できる補助金制度を紹介します。 なお、記載の内容は2022年7月時点のものです。検討する際は、自治体のホームページや事業の公式サイトをご確認ください。
既存住宅の長寿命化や省エネ化など、住宅性能を向上させるリフォームを対象とした国の補助金事業です。耐震性を向上させる屋根の軽量化も対象とされているため、工事内容によっては費用の節約が可能です。
<補助限度額>
リフォーム工事の施工事業者(補助事業者)が申し込む必要があるため、この補助金を受けるには認定を受けた事業者に工事を依頼しなければいけません。ほかにも、事前にインスペクション(専門家による住宅診断)が必要、リフォーム履歴を作成するなどの条件があるため、事前に必要事項を確認しておきましょう。
屋根リフォームでは、自治体が独自の助成をおこなっているケースがあります。 以下では一例を紹介します。
<東京都大田区の例>
お住まいの自治体で、類似したの助成制度がないかを確認してみるとよいでしょう。
屋根リフォームには塗り替え、カバー工法、葺き替えがあります。既存の屋根材の状況に応じて、適切なタイミング・方法を選ぶことが大切です。
高額になりがちな屋根リフォームは、補助金制度を活用すると費用を抑えられる可能性があるため、施工前に調べておくようにしましょう。
費用情報に関するご注意事項
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