中古マンションのリフォーム・リノベーションに使えるローンは?利用例も紹介
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中古マンションのリフォームやリノベーションを検討中で、どのようなローンが利用できるか知りたい方もいらっしゃるでしょう。無理なく返済できるよう計画的にローンを組まないと「返済ができない」「こんなはずではなかった」と後悔する可能性もあります。本記事では、中古マンションのリフォームやリノベーションに利用できるローンについてご紹介します。
リフォーム・リノベーションで利用できるローンとは?
リフォームやリノベーションを行う際に利用できるローンとして、「リフォームローン」や「リフォーム(リノベーション)一体型ローン」が挙げられます。 「リフォームローン」は、住宅のリフォームに利用できるローンです。金額が小さい場合には担保不要であるなど、住宅ローンよりも比較的借り入れしやすいといえるでしょう。「リフォーム(リノベーション)一体型ローン」は、中古住宅取得と同時にリノベーション工事を行う際に利用できる住宅ローンです。
基本的には、購入する住宅の土地・建物が担保となります。一般的な住宅ローンと同等の金利、借入期間で利用できます。これらのローンはそれぞれに特徴があるため、ご自身の状況に適したものを選ぶことが大切です。
「住宅ローン」と「リフォームローン」の違いを知ろう
住宅ローンとリフォームローンの大きな違いは、担保があるかどうかという点です。住宅ローンは家を担保にしてお金を借りることができるローンで、リフォームローンと比べると審査は厳しめのようです。借り入れに時間を要することも多いです。しかし、借りられる額は多く、低い金利で長期的に返済していくことが可能です。
一方、リフォームローンは担保を必要とせず、審査も住宅ローンと比べると比較的やさしめです。スピーディーに借り入れることができますが、その額は少なめ。金利は住宅ローンよりも高いことが多く、返済期間も短いのが特徴です。
住宅ローンの金利と返済方法
金利は3つのタイプがある
多額のお金を借りるとなると、金利についても知っておく必要があるでしょう。金利には、「変動型」「全期間固定型」「固定期間選択型」の3つのタイプがあります。
変動型の場合、年2回のペースで市場の動向に合わせた金利へと見直されます。ただし、急激な負担増加を避けるために、返済額の上限が決められており、月々の返済額が5年間は変わらないケースが一般的です。市場が低金利のときはメリットの多いタイプと言えます。
全期間固定型の場合、期間中の金利はずっと変わりません。返済額が変わらないという安心感や、計画的に将来設計がしやすいという点がメリットです。しかし、変動型よりも金利が高く設定されるケースが多いです。 固定期間選択型の場合、3年・5年・10年など数年間は金利を固定して返済し、その後は変動型か固定型かを改めて選択できます。
固定期間中は優遇金利によって負担が控えめになることもありますが、固定期間が終わったあとは金利が大きく増える可能性もあります。
返済方法はふたつのタイプがある
住宅ローンの返済方法には、「元利均等方式」と「元金均等方式」というふたつの種類があります。
元利均等方式は、毎月の返済額が一定になる返済方法のことです。毎月の返済額が変わらないため、計画が立てやすいことが大きなメリットと言えるでしょう。しかし、もう1つの元金均等方式に比べると、同じ期間で借り入れた場合の総返済額は多くなります。
元金均等方式は、利息の額に関わらず元金の返済額を一定にする返済方法です。一番初めの返済額がもっとも高く、終わりに近づくにつれ返済額が少なくなっていくのが特徴です。同じ期間で借り入れた場合、元利均等方式に比べると総返済額が少なくなりますが、取り扱っている金融機関がさほど多くありません。
リフォームローンのメリット
リフォームローンのメリットをご紹介します。
タイプによっては担保が不要
住宅ローンは担保が必要になりますが、リフォームローンは無担保型が主流です。住宅ローンと比較して必要書類が少なく、借入までの時間も短いメリットがあります。たとえば、土地や建物の名義が本人と配偶者で1/2ずつの場合も、担保に入れる必要がなければローン契約時の手間も少なくて済みます。
審査基準が比較的厳しくない
住宅ローンの場合、返済期間が35年などの長期間に及ぶことが多く、年収や雇用形態・年齢などを総合的に判断して審査が行われます。中古物件の場合、担保評価額が借入希望額に満たず、希望額の借り入れができない場合もあります。対してリフォームローンの場合は、住宅ローンに比べ審査基準が厳しくなく、ローン審査も比較的通りやすいといえます。
初期費用が少ない
住宅ローンの場合、土地・建物は担保として抵当権が設定されます。抵当権設定には登記費用(借入金額の0.4%)や司法書士報酬費用(5万円~7万円)がかかります。無担保型リフォームローンの場合、抵当権設定費用が不要なため、初期費用が少なくて済むメリットがあります。なおリフォームローンでも担保型の場合は、抵当権設定費用がかかります。
リフォームローンのデメリット
ここからは、リフォームローンのデメリットをご紹介します。
借入上限額が500万円~1,000万円程度
無担保型のリフォームローンは、借入上限額が500万円~1,000万円程度と住宅ローンと比較して低めに設定されています。そのため大規模リフォームを行う場合は、有担保型リフォームローンを利用しなくてはいけない場合があります。
返済期間が短い
住宅ローンは返済期間が最長35年程度が多く、長期間ローンを組むことが可能です。そのため、毎月の返済額も少なくできます。一方、リフォームローンは、返済期間が最長でも15年程度と短めに設定されている場合が多いです。返済期間が短い分、毎月の返済額が多く負担が増えてしまいます。有担保型の場合、返済期間は住宅ローン同様35年程度になります。
住宅ローンと比較して金利が高い
無担保型リフォームローンは、住宅ローンと比べて金利が高い点がデメリットといえます。無担保型のリフォームローンの金利相場は約2%〜約5%と、住宅ローンより高めに設定されています。また、金利に保証料が含まれていない場合、保証料として借入金額の1~2%程度を別途負担することもあります。
リフォーム(リノベーション)一体型ローンのメリット
リフォーム(リノベーション)一体型ローンは、以下のようなメリットが挙げられます。
借入額の上限が大きい
リフォーム(リノベーション)一体型ローンの場合、借入上限額が大きく設定されているため大きな金額の借り入れが可能です。金融機関にもよりますが多くの場合、上限額は1億円程度まで設定されています。一般的に、無担保型リフォームローンの借入限度は500万円〜1000万円程度のため、リフォームローンに比べ借り入れできる額が大きい点はメリットといえます。
返済期間が長い
リフォーム(リノベーション)一体型ローンの場合、金融機関の多くが最長35年程度の返済期間を設定しています。返済期間中も、子どもの誕生や進学などライフステージの変化に応じて、様々なお金が必要になります。借入期間が長いと月々の返済額を少なくでき、ゆとりのある暮らしができます。
1%程度の低金利で借り入れできる
リフォーム(リノベーション)一体型ローンのメリットとして、1%程度の低金利で借り入れできる点が挙げられるでしょう。現在、日銀のマイナス金利政策などによって低金利状態が続いており、住宅ローンも1%程度の金利で借入が可能です。リフォーム(リノベーション)一体型ローンを組むことで、金利負担を軽減できるでしょう。住宅ローンとリフォームローンの2本立てで返済するよりも、毎月の返済額を抑えられます。
住宅ローン控除が利用できる
リフォーム(リノベーション)一体型ローンを利用して住宅取得とリフォーム(リノベーション)をおこなった場合も、要件を満たせば住宅ローン控除の対象となります。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を購入した方に適用される「税制優遇制度」のことです。10年間(特例期間の場合13年間)年末の住宅ローン残高の1%が、所得税から控除される仕組みです。最大控除額は10年間で400万円で、特例期間を活用すると最大480万円まで控除されます。なお所得税で控除しきれない分に関しては、住民税からも一部控除されます。
「床面積50㎡以上」、「ローン返済期間が10年以上」、「耐震性能を満たした中古住宅」などの要件を満たしていれば、住宅ローン控除が利用可能です。中古マンションを購入する際に、リノベーション費用が100万円以上であれば、リノベーション費用も住宅ローン控除の対象となります。
リフォーム(リノベーション)一体型ローンのデメリット
ここからは、住宅ローンのデメリットをご紹介します。
審査基準が厳しい
リフォーム(リノベーション)一体型ローンは、リフォームローンと比較して審査基準が厳しくなっています。
金融機関としては長期間にわたって貸し付けることになるため、最後まで問題なく返済できるかどうかを見極める必要があります。申込者の年齢や年収・雇用形態・勤務先・購入物件の担保評価・現在の借り入れ状況・返済状況などから、総合的に判断されます。
通常のローンと比べても審査基準が厳しく、申込みをしてもローンが通らない場合や借入希望額での承認にならない場合もあります。
総返済額が大きい
リフォーム(リノベーション)一体型ローンは返済期間が最長35年と長く、月々の返済額が少ないのが特長です。しかし返済期間が長い分、総返済額が高くなるのがデメリットといえます。
例えば
- 借入金額3,000万円
- 変動金利1%
- 借入期間35年
の場合、総返済額は3,560万円程度になります。総返済額を抑えたい場合は、返済期間を短くしたり繰り上げ返済をしたりするとよいでしょう。
初期費用が大きい
リフォーム(リノベーション)一体型ローンは、リフォームローンと比べると初期費用が大きくなります。土地や建物を担保にするための登記費用や、融資手数料・火災保険料などの諸費用が掛かることが主な理由です。リフォームローンの場合は、登記が不要なケースもあるため登記費用を抑えられます。
ケース別!ローンの利用例
ケース別のローン利用例について見てみましょう。以下のケースについてご紹介します。
中古マンション購入と同時にリフォームする場合
中古マンション購入と同時にリフォームする場合、住宅購入資金とリフォーム資金をまとめてリフォーム(リノベーション)一体型ローンで組む方法がおすすめです。住宅ローンでまとめて借り入れた場合、別々にローンを組むよりも金利負担や月々の返済負担を抑えられる可能性が高くなります。また、ローンを組む際の諸費用も住宅ローンのみで済み、住宅ローン控除も全額が対象になります。
中古マンション購入後にリフォームをする場合
中古マンション購入後にリフォームする場合は、住宅ローンの残高があるかないかでローンを組む方法が変わってくるでしょう。住宅ローンが残っている場合は、リフォーム費用とまとめて住宅ローンを借り換えるケースがよくあります。多くの場合、返済総額も抑えられることが期待できます。しかし、住宅ローンの残高がわずかであり、リフォーム金額も大きくない場合には別々で組んだほうがよいケースも考えられます。
住宅ローンの借り換えを行う際には、現在設定されている担保を抹消したうえで、新たに登記が必要です。余計な費用が発生してしまうことでメリットが得られない可能性もあるため注意が必要です。一方で、住宅ローンを完済している場合は、リフォームローンを組むことになります。中古マンション購入後にリフォームを行う場合には、住宅ローン残高が残っているかどうかがポイントになります。
中古マンションのローンに関するQ&A
住宅ローンはどのタイミングで契約するの?
住宅ローンを組むまでには、事前審査と本審査のふたつの審査を通過する必要があります。事前審査は、物件の購入申し込みの前、つまり現地見学の段階で行います。物件の申し込み時には、住宅ローンの利用の有無や支払い方法など、お金に関する調整が行われるため、ローンを組むことが前提であれば必要不可欠なものとなります。本審査の申し込みは、売買契約を行った直後です。もし、本審査に落ちてしまった場合のことを考えて、住宅ローン特約が契約に明記されているかどうか必ず確認しておきましょう。
物件探しとローン契約を上手にすすめるコツは?
中古物件を購入してリノベーションする場合、住宅ローンとリフォームローンを別々に借りるのか、それとも一体型ローンとして物件の購入費用とリノベーション費用をまとめて借りるのかを早い段階で決めておきましょう。別々に借りるのであれば、物件価格だけで住宅ローンを申し込むことができますが、一体型ローンの場合はリノベーションにかかる費用を含めた額で審査を受けることとなります。そのため、あらかじめリノベーションにかかる見積もりを準備しておく必要があります。もし、見積もりに時間がかかった場合、ほかの購入希望者がいれば先を越されるリスクがあります。一体型ローンの利用を考えている方は、物件探しとリノベーションプランを同時に考えて資金計画を立ててくれる会社に依頼するのがおすすめです。
まとめ
リフォームローンとリフォーム(リノベーション)一体型ローンの、メリット・デメリットや利用例についてご紹介しました。中古マンションをリフォームする場合には、ご自身の状況に合ったローンを選ぶことが大切です。それぞれの特徴を押さえたうえで、リフォームローンを利用すべきかリフォーム(リノベーション)一体型ローンを利用すべきかを判断しましょう。
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