床材に利用されている「リノリウム」をご存じですか?近年のエコロジーブームに乗り、その安全性と機能性から見直されている素材です。今回の記事では、リノリウムの魅力やメリット・デメリットをわかりやすく解説。自然素材を使ったおしゃれなリノベーションの事例や、床をリノリウムにする際の注意点をご紹介していきます。
リノリウムとは?
リノリウムとは、主原料となる亜麻仁油に石灰岩、木粉、松脂、コルク粉、天然色素などを混ぜた、天然成分の建材です。主に床材として使われますが、家具の仕上げ材にも活用されています。
リノリウムのメリットとデメリット
環境問題や健康問題の観点から、人気が高まっている天然素材のリノリウム。学校や病院といった公共施設では、以前から床材として使われています。ここからは、リノリウムが持つ天然素材ならではのメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット1:有害物質が発生しない
天然成分で作られたリノリウムは、有害物質が発生しない素材です。そのため、シックハウス症候群の対策として用いられることも多くあります。また、廃棄するときも土にかえすため、環境を汚染することはありません。
メリット2:抗菌作用がある
リノリウムの主原料である亜麻仁油には、抗菌作用があります。黄色ぶどう球菌や大腸菌O157、A形インフルエンザやノロウイルスに対する抗菌、抗ウィルスが期待できることもメリットです。
メリット3:耐久性が高く燃えにくい
耐久性の高いリノリウムは、傷や凹みがつきにくい特徴を持っています。家具の移動や重量に耐えられることから、床材、テーブルの天板、椅子の座面などに適しています。また、発火する温度が非常に高いため、燃えにくい特性もメリットに挙げられます。
デメリット1:価格が高い
天然成分が使われたリノリウムは、外観が似ているビニール製品の建材と比べた場合、価格が割高になってしまいます。扱える施工業者が少ない点もデメリットのひとつです。
デメリット2:ニオイが気になる
主原料の亜麻仁油が持つ、独特のニオイが気になることもあります。少しクセのあるニオイに、不快感を示す人もいるようです。ただし、そのニオイは健康上の問題や影響はなく、時間とともに消えていきます。
デメリット3:アルカリ性や紫外線に弱い
木粉やコルクなどの天然素材で作られているため、アルカリ性に弱いデメリットがあります。床材にリノリウムを選ぶ場合、アルカリ性の洗剤やワックスなどの使用はおすすめできません。また、紫外線の影響を受けやすく退色することがあるため、日当たりのいい場所での使用には注意が必要です。
天然素材を利用したリノベーション実例5選
ここからは、建材に天然素材を利用したリノベーション事例をご紹介します。コルクを床材に使ったおうちや、リビング・ダイニングが無垢フローリングで統一されたおうちなど、リノベーションで理想を叶えた真似したくなる実例を5つ集めました。
天然素材のコルクタイルのアウトドアなおうち
アウトドア仕様の玄関、ソファーを置かない床座のリビング、コンクリート躯体現しの天井や梁など、随所にこだわりの空間づくりが感じられます。ダイニングの床には、天然素材のコルクを使ったコルクタイルをチョイス。リビングのナラの無垢フローリングともマッチし、ナチュラルな雰囲気をつくっています。
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「マンションで楽しむアウトドア気分」
https://www.renoveru.jp/renovation/339
素足に気持ちいいサイザル麻と自然素材
木のナチュラルな色を基調に、素材感やシックな塗装・色使いで全体がまとめられています。LDK、子ども部屋、廊下部分はオークの無垢フローリング。寝室と洗面所の床には、サイザル麻と自然素材を使用。ロープなどの主原料となるサイザル麻は、その強靭性や柔軟性、調湿性や防臭性の高さが特徴です。素足で過ごすのが心地いい素材としても人気を集めています。
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「LDK一面の間仕切り本棚と、男たちの秘密基地」
https://www.renoveru.jp/renovation/275
ナラの無垢材のナチュラル&シンプルなおうち
家具を含めた内装は、ナラの木材、モルタル、白でシンプルに。そこに黒の照明、ドアノブやフック、ビビッドな青い扉がアクセントとなっています。天然素材のフローリング以外にも、ワークスペースの床材にはタイルカーペットを使用。椅子のキャスター音が階下に響かないための配慮です。
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「職住融合。ホームオフィス7年目の最適解」
https://www.renoveru.jp/renovation/323
木材の産地にこだわった、森林保全を意識したおうち
森林保全を意識して木材の産地にこだわり、東北から取り寄せた木材を使用しています。リビングは、色むらや毛羽立ちが少なく、硬さや耐久性にも優れた栗の無垢フローリング。個室は、踏み心地がよく疲れにくい、無垢フローリングになっています。
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「変幻自在のからくり空間」
https://www.renoveru.jp/renovation/308
セルフメンテナンスができる無垢材フローリング
お部屋の雰囲気がナチュラルで明るい印象になっているのは、白塗装と木目の無垢材フローリングが使われているから。無垢材フローリングは、シミや傷が付いてもヤスリで削って目立たないように、セルフメンテできるのも嬉しいポイントです。来客が多く、どうしても床が汚れやすいおうちにもピッタリです。
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「ワンルーム化で全面窓の部屋に大改造」
https://www.renoveru.jp/renovation/279
床をリノリウムにするときの注意点
人にも環境にもやさしいリノリウムは、近年再評価されている天然素材です。そんなリノリウムを床材に採用する際、気を付けなければいけないポイントがあります。
注意点1:掃除用洗剤に注意
掃除用洗剤を使用する場合は中性タイプの洗剤を薄めて、すぐ拭き取るようにお手入れをしてください。お手入れの方法は、雑巾で乾拭きするだけで大丈夫です。
注意点2:ワックスは中性タイプを
リノリウムは、表面が摩耗すると吸水しやすくなります。表面がすり減ってきた場合は、ワックスをかけることで耐水性を補うことができます。ワックスは必ず中性タイプを使うようにしてください。
注意点3:紫外線対策は万全に
直射日光の当たる場所にリノリウムを施工する場合、紫外線対策が必要となります。リノリウムの性質上、紫外線を浴びると変色を起こす可能性があるからです。床材の張り分けやUVカット効果のある窓ガラス、フィルムを設置するなど、紫外線の影響を軽減させる対策をおこないましょう。
まとめ
リノリウムは天然素材です。外観が似ているビニール製品と比較した場合コストは高くなりますが、安全性や機能性の点で納得感もあります。リノリウムが持つ特徴やメリット・デメリットを知ることが、リノリウムを賢く取り入れるポイントです。基本的に簡単なお手入れで大丈夫ですが、洗剤やワックスを使うときは、アルカリ性の製品は使用出来ないことを覚えておきましょう。