リフォーム請負業から、不動産仲介+リノベーションへの挑戦。
住宅リフォームの元請けから、2014年に「リノべる。」に加盟し、リノベーション施工をスタートしたディー・エス・アイ社。順調に規模を拡大し、2017年には新たに不動産領域に参入。早速、リノベーション工事を前提とした中古マンションの売買仲介で実績をあげている。次なる展開も見えてきたと語る、代表の今さんにお話を伺った。
今勝紀 Katsunori Kon
有限会社ディー・エス・アイ 代表取締役。飲食関係の仕事を経て、16年前に同社を起業。オフィスや店舗のリフォームを中心に実績を重ねた後、住宅領域に事業を拡大。現在も自ら現場を担当しつつ、新たに立ち上げた不動産仲介事業をリードしている。
内装リフォームの請負業から、リノベーションへ。
当社はもともと店舗や住宅の内装リフォームを中心に、主に現場の管理監督を専門としてやってきました。特に住宅に関しては元請けでやってきたのですが、ホームページからの集客だけでは厳しい面も正直ありまして。たまたま手にとった「リノベる。」のパートナー募集のFAXをきっかけに、お問い合わせしたのが始まりです。
当然、「リノベーション」の盛り上がりについては認識していました。ただ、リフォームとの隔たりは大きいだろうと、ちょっと引いてしまっていたんですよね。ご要望にどこまで対応できるのか。仕上がりにどこまで満足いただけるのか。造作が多かったり、リフォーム工事ではやったことのないような施工内容もあったりして不安な部分も正直ありましたが、そこは「リノべる。」のほうでフォローしていただけるということで、まず一件やってみましょうと。
最初の現場の時点で、手応えはありました。IKEAの収納だったり、小上がりの和室があったりと、リフォームとは勝手の違うものもありましたが、私自身、連日のように現場に足を運んで、“これならいけるな”と。
戸惑いがあったとすると、予算管理の部分ですね。もともと元請けでやっていましたので、どう利益確保するかという部分で少々苦労しましたが、それも数件ほど手がけるなかで感覚が掴めたと思います。
技術も士気も上がり、売上の6割が「リノベる。」案件に。
スタッフは現在4名です。「リノべる。」の案件は、一人当たり年10件ほどでしょうか。今では売り上げの6割近くを、「リノべる。」の仕事が占めるようになっています。
いろんな技術を学ばせてもらっているなという感覚は強いですね。例えば、造作物の作り方や見せ方。建具に関して言えば、従来の私たちの感覚ですと、強度や納まりを優先して考えていくのが当たり前です。しかし、「リノべる。」の場合は、見た目の印象という意味でのデザイン性にも同様に強くこだわる必要があります。その間のギャップを、どう埋めていくか。見た目を優先しても強度をないがしろにはできませんし、どう折り合いをつけていくかというのは、今でも現場でやり取りを重ねるところです。「他ではこれでうまくやれていますよ」と言われると、我々も何とかしなきゃならんなと(笑)。
そういう意味では、現場が楽しいですよね。こんなことするんだ、できるんだという発見があるのは、うちのスタッフもみんな感じていることだと思います。住宅の施工だと、似たデザインのものが求められる案件も少なくないと思うのですが、そこでいくと「リノベる。」の案件は、本当に職人さんと一緒に意見を出し合いながら作っているので、モノづくりの純粋な楽しさがあるなと思います。
受注が安定したことで、「人」への投資を加速。
加盟後の変化という点では、何よりまず、人が増えました。今までは最低限の人数でやっていたんですが、現場を管理するスタッフを増員したり、新たに職人さんも雇うようにしたり。
いわゆる「拡大」を考えられるようになったのも、「リノべる。」とのお付き合いが始まってからです。元請けの仕事だけですと、受注率もなかなか読めませんし、そもそも人を増やす想定すらしていなかったのが正直なところです。今のままでいいかなとずっと思っていたんですけど、考え方が変わってきたというか。「リノべる。」の仕事が安定して入ってくるようになり、ある程度計算できるようになって、不安が払拭されてきたのは実感しています。人に投資することも、積極的に考えられるようになりました。
満を持して、「不動産事業」への挑戦がスタート。
実は「リノべる。」からのご提案をきっかけに、この春から新たに不動産仲介にもチャレンジしています。継続的にいただいているリノベーション工事案件で経営の土台が安定してきたこともあり、ここで改めて自社集客に挑戦してみようと。しかも工事ではなく、「リノベる。」の仕組みを活用した不動産事業というところに可能性を感じました。自社で売買仲介できるようになれば、工事請負だけでなく、さらに川上から手がけることができるようになる。その期待感からスタートした取り組みです。
とはいえ、そもそも宅地建物取引士の有資格者もいませんでしたので、まずは採用から。どうなるのかなという不安はありましたが、私たちの場合は、元請けの仕事でお客様と直にお話させていただくこと自体はやっていましたので、なんとかなるかなという自信もありました。
実は今ちょうど、1組目のお客様の契約を控えているタイミングなんです。こちらは、初めて開催したリノベーションセミナーにお越しいただいたご夫婦のお客様。正直、こんなに順調に進むとは予想すらしていませんでした。そもそも私自身、セミナーの集客なんて最初からうまくいくものじゃないと思っていました。チラシを1万枚配布したのですが、それでも反応はないだろうと。それが、蓋を開けてみたら3組の方にお越しいただくことができて。本当に驚きました。
実際に物件探しの段階からご一緒させていただくと、私たちはそもそもモノづくりの人間ですから、物件内覧にお連れした際に、この壁はどうしようとか、キッチンはどうだとか、その場でいろいろご提案できるんですね。それは一つ、強みになるのかなという実感はあります。
今後は、すぐにというわけではないですが、なるべく都心部に店舗を増やしたいと考えています。経営者として、これまではどうしても不安のほうが先に来ていたんですが、むしろ今はどこまでいけるかな、と。そんな期待のほうが、強くなってきていますね。
有限会社ディー・エス・アイ
代表取締役 今 勝紀