【Vol.88】ワンストップを強みに、3年で200%成長を実現!都市創造事業急成長の秘密

2024.03.28
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リノベるには法人向けリノベーション事業を行う都市創造事業部があります。そこでは「まちの新しい価値になる」という事業ビジョンのもと、建物や土地の価値向上や再生事業のプロジェクトを、事業企画から運営までワンストップでマネジメントしています。その都市創造事業部は、この3年で実に成長率200%を達成しました。

加速度的な成長の理由はどこにあるのか、本部長を務める西郷俊彦(画像中央)、企画と営業の責任者である事業開発部部長の松本周(画像左)、設計と施工のプロジェクトマネージャーを束ねる宮﨑浩充(画像右)の3人にインタビューしました。

大手企業からの大型案件・リピーターが増えている

もともとは設計・施工だけに関わることが多かったのですが、2020年頃から事業企画や収支を含めた事業提案まで行うようになりました。建物の持続のための事業の収益性にもコミットするため、その街の歴史や既にあるコミュニティを踏まえ、地域に愛され、長く使われる建物になるには何が必要かを考えて事業提案しています。

西郷:事業化検証の段階から企画、デザイン、リーシング支援や運営マネジメントまで、ワンストップで行う体制を整えたことが成長理由の一つだと思います。収支や企画を担当する松本のチームと、設計を中心にプロジェクトマネジメントを行う宮﨑のチームの連携が非常に増えてきました。それにより、リピートで継続的に発注していただいたり、実績が積みあがることで規模が大型化し、複雑なプロジェクトを任せていただけるようになってきました。引き合いをいただくエリアも、リノベるの拠点がある東京・大阪圏内はもちろん、北海道や東北、四国、中国、九州まで全国に広がっています。

 この「ワンストップマネジメント」が、リノベるの都市創造事業の大きな強みです。


都市創造本部 本部長 西郷俊彦

 

松本:事業開発部では企画開発営業を担当しています。お客様からご相談いただいた案件に対して、エリア分析、マーケット調査、コンセプト立案とターゲット設定をし、どのような事業の可能性があるのかを検討します。そしてその事業で得られる想定収益とリノベーションの概算費用を算出し、収支の立案まで行います。ときには完工後の運営にも携わり事業全体をワンストップでサポートすることもあります。


都市創造本部 事業開発部 部長 松本周

 

宮﨑:リノベーションによって得られる事業性がより合理的に伝えられるようになったので、もともと持っていた設計と施工の強みもダイレクトに伝わるようになりました。その結果、早期の事業化につながることが増えてきています。


都市創造本部 都市創造1部 部長 宮﨑浩充

 

西郷:体制と専門性の強化により、NTTや東京電力、朝日新聞といった誰もが知る企業や不動産ファンド運営企業の実績が積み上がっていき、リノベるの信頼度が増したことも成長の要因の一つです。

 では、実際にどんなプロジェクトを行っているのか、都市創造本部が手がけた中から最近の取り組みを5つ紹介してもらいました。

1.大型案件増のきっかけとなった、地域参加型複合施設「BOIL」

 NTT東日本が所有する通信施設内にある空きビルを、地域参加型複合施設として一棟リノベーションしたプロジェクトが「BOIL(ボイル)」です。「grow」と「culture」を合わせた造語「gro-cul(グローカル)」をコンセプトに、地域に開かれ、地域住民とともに文化を育てる施設を目指して出来上がりました。

松本:当時、NTT内でCRE戦略の検討がされている最中に本件のご相談をいただき、NTTグループと連携して事業化に至った案件です。最大の特徴は設計、施工に留まらず、リノベるが運営まで携わっている点です。

ダンススタジオやコワーキングスペース、シェアキッチンにサテライトオフィスなど地域住民のニーズをコンテンツとして組み入れています。“面白そうだが本当にビジネスになるのか”、と事業主様にはそんな疑問があったのも事実です。そこで私たちは、企画者として事業コミットをするため、施工後に運営までを担うことにしました。20年間のマスターリースをすることで収支確定すること、また、企画内容の維持を自ら行う宣言をし、事業主様のリスクと不安を取り除き、事業化へとつなげました。

宮﨑:この建物はもともと、地域住民が電話料金を支払いに訪れる施設でした。住民からの認知も高い建物だったため、あえて外観には大きく手を入れず、美装することで街の記憶の継承へとつながるよう工夫しました。一方で中身は完全に刷新し、街にしっかりと根差すためローカルのプレイヤーやテナントに入っていただき、まちの今とこれからに結びついているのが特徴だと思います。

西郷:地元のプレイヤーと協業して成り立っている「BOIL」は、運営も地元で建築不動産業を手がける企業と共同で行っています。どんな案件でも、私たちは地元の方々にどれだけ愛着をもっていただけるかを重要視して提案を行っています。

ワンストップマネジメントの利点を生かしたこの「BOIL」での取り組みに対する評価が大型案件増加の契機となりました。

運営を担うリノベるでは、地域住民に「BOIL」をさらに認知してもらう取り組みとして、定期的にイベントを開催しており、2024年1月には海洋プラスチックを使ってオリジナルランプを作るワークショップを開きました。

▼BOIL
https://citycreate.renoveru.co.jp/works/posts/K40LabGY

2.元企業社宅を環境配慮型レジデンスへ。「コンフォリア高島平」

 東急不動産が取得した築27年の企業社宅を、賃貸レジデンスへと一棟リノベーションしたプロジェクトが「コンフォリア高島平」です。全76戸の専用住戸には内壁の断熱補強やインナーサッシの取り付けなどを行い、居住環境を向上。共用部には国産間伐材や建設廃材などを再利用し、環境配慮型マンションを目指しました。投資物件としての運用を見据え、建築物省エネルギー性能表示制度「BELS(ベルス)」の認定も取得。リノベるは企画・設計・監理・施工をワンストップで担当しました。

松本:当初は設計コンペでしたが、私たちから企画・デザイン・設計・施工までをワンストップで対応させていただきたいと提案した事例で、一棟リノベーション事業におけるワンストップの重要性をご理解いただき、設計コンペの前提を崩してプロジェクト全体をリノベるに任せていただくことになりました。具体的には、改修工事中に予想外の事象が発生した場合に、設計と施工が一つの会社であるとタイムリーに対策ができること、また窓口を一本化することで、事業主の対応と指示系統をシンプルにして、プロジェクト推進をしやすい状態をつくれること、そんなワンストップの強みをご理解いただき、事業化できた事例です。

宮﨑:この建物では「単なる「リサイクル」ではなく「アップサイクル」というコンセプトで間伐材や建設廃材を活用する新たな価値付けを提案しました。街並みへの修景や、断熱改修など、複合的な取り組みが評価され、「2023年度グッドデザイン賞」も受賞しています。また、国士舘大学と産学共同研究を実施、建替え新築した場合と比べたCO₂排出量や廃棄物排出量の削減効果を算出、リノベーションの環境貢献効果を見える化し、発表しました。こうした点からも、サスティナブルな未来に対する付加価値づけができたプロジェクトだといえます。
更に、専用住戸の空間計画では、エンドユーザー向けのリノベーションのワンストップサービス「リノベる。」が独自に開発した内装イメージやテイストを自動提案するオンラインサービス「sugata」を提案に一部活用し、エンドユーザーのニーズを反映した商品企画を実現。事業主様にも好評でエンドユーザーに響くプラン作りに繋がりました。別事業のナレッジがCREリノベーションでも生かされています。

▼COMFORIA 高島平
https://citycreate.renoveru.co.jp/works/posts/suov3zAr

3.建替え検討から伴走し、シェアハウスにリノベーション。「ネイバーズ東中野」

朝日新聞社保有の築54年の元企業研修所を1棟リノベーションし、ソーシャルアパートメント「ネイバーズ東中野」として再生しました。リノベるは事業企画の立案から設計・監理・施工・運営アレンジメント・プロジェクトマネジメントを担当しました。

松本:当初、朝日新聞様は建て替えを検討されていましたが、現在の法規で新築すると高さや容積の関係で床面積が減ってしまうため、既存建物を活かした企画提案を行うことになりました。研修所として1階には食堂・研修所・浴場などが備えられ、上階が専有部となっていた建物特性から、シェアハウス事業が最適だと判断しました。そこで企画提案の段階からシェアハウスオペレーターをマッチングし、3社共同で進めたプロジェクトです。

宮﨑:最寄りのどの駅からもやや離れた立地だったため、単にシェアハウスとして改修するだけでなく、さらなる工夫が必要でした。そこで、シェアハウスの進化版として高い集客力を持つグローバルエージェンツに運営を任せることにしました。オペレーターとのマッチングにも価値を感じて頂けた重要なプロジェクトでした。

「ネイバーズ東中野」は2021年12月のオープン前にほぼ満室となり、現在まで常に満室状態が続く人気の賃貸物件となっています。

▼NEIGHBORS 東中野
https://citycreate.renoveru.co.jp/works/posts/KD5HH0fX

4.JR東日本所有の宿泊施設を新たなコンセプトで再生。
「MANGA ART HOTEL, BAKUROCHO」

オペレーターと事業主様のマッチングがカギとなり事業化した例としては、2024年4月1日開業予定の「MANGA ART HOTEL, BAKUROCHO」も挙げられます。もともとはJR東日本が所有する宿泊施設でしたが、コロナ禍で需要が落ち込み、再生の相談を受けました。
アフターコロナで宿泊ニーズが変わってきた市場感やトレンドを踏まえ、マンガや本をテーマにしたコンテンツ特化型ホテルを運営するdotをマッチングし、新しい形でのホテル再生を提案しました。

宮﨑:このホテルでは個室が並ぶこれまでのホテルの在り方を変え、同じ趣味を持つファミリーや友達同士がグループで使えるようワンフロア貸しを前提に、キッチンを併設し2段ベッドを組み合わせるなど、ゲストハウスのような空間設計を行いました。設計・施工を通して「モノ」づくりをしている私たちですが、それぞれの企画には「コト」の体験価値を盛り込んでいくことを追求すべきだと思っています。

松本:観光で日本を訪れる欧米人は滞在スタイルもゆったりしていて、1~2日は自分で食事を用意してホテルでくつろぐことも多いといいます。それに着目し、ゆっくり日本の漫画文化を楽しめるようにしたのがこのホテルです。再生前と同様の宿泊施設とすることに疑問も提示されましたが、マーケット分析やオペレーターの実績を伝えることで事業性にご理解をいただきました。

▼MANGA ART HOTEL, BAKUROCHO(プレスリリース)
https://renoveru.co.jp/news/7717/

5.築古中小規模ビルのオフィス1フロアをバリューアップ「麻布セットアップオフィス」

 不動産の価値向上を目指したリノベーション案件も増えてきています。麻布・虎ノ門エリアにある築51年のオフィスビル区画を、セットアップ(家具付き)オフィスとして再生したプロジェクトもその一つです。

再開発によりあらためて注目を集めるエリアに建つことから、成長スピードの著しい企業やグローバルな企業をターゲットに設定。プロジェクトマネジメント・企画・デザイン・設計・施工を担当しました。

宮﨑:セットアップオフィスは、デザインテイストや空間構成をこちらで決めることになり、テナント企業が自由に作れる要素がないためリスクもあります。そこで、周辺エリアのマーケットリサーチやターゲット分析が大切になってきます。ターゲットとするテナント企業に響く空間構成はどんなものか、分析に基づいて練り上げて進めていくことが欠かせません。

松本:セットアップオフィスという言葉が一般的になる前から、私たちはインテリアや家具も含めたオフィス設計をご提案してきました。今回は、オフィスをレイアウトしたり家具を揃える時間もなく、規模拡大で移転を余儀なくされるベンチャー企業が短期的に使うオフィス需要を見込み、個性的で存在価値のある空間づくりを目指しました。このリノベーションにより、賃料を以前の50%アップで設定されてますが、引き合いも多いと聞いています。今回のセットアップオフィスは築古物件のリーシングに対する新しいソリューションになったと思います。

▼麻布セットアップオフィス
https://citycreate.renoveru.co.jp/works/posts/O5ni7oTV

 このほか、全国各地で地方創生に関わる案件にも取り組んでいます。
長野県では、都市公園の利活用「公募設置管理制度(Park-PFI)」を活用し、小諸市飯縄山公園にワイナリー・ショップ棟とレストラン棟を兼ね備える複合施設「STARRACE KOMORO(スタラス小諸)」が2023年3月に竣工しました。リノベるは基本計画支援・基本設計支援・実施設計・内装設計・各種申請業務・施工・インテリア・Park-PFI公募支援を担当しました。

▼STARRACE 小諸
https://citycreate.renoveru.co.jp/works/posts/0Ht3jFLg

 また、静岡県三島市の築97年の看板建築物件である旧・懐古堂ムラカミ屋をウイスキー蒸留所にリノベーションするなど、地方都市においても「まちの新しい価値になる」を実践し続けています。

▼ウイスキー蒸留所 Distillery Water Dragon
https://citycreate.renoveru.co.jp/works/posts/np9dV1Xt

都市創造事業の今後の展望は?

 複合施設に宿泊施設、オフィスや集合住宅、商業店舗など、さまざまな案件に取り組む都市創造事業ですが、今後の展望を3人に聞きました。

松本:今まで以上に自身らの領域を広げながら事業を拡大していけたらと思っています。事業拡大をしていってもプロジェクト1件1件に対する考えや想いは変えず、目の前の課題をどう価値に変えていくか、常にお客様に寄り添いコミットしていきます。これからも確かな裏づけをもとに、明確な答えを導き出していきます。

宮﨑:「まちの新しい価値になる」を事業ビジョンとして掲げる私たちとしては、環境配慮型の一棟リノベーション「コンフォリア高島平」のように、社会課題や環境課題に対するプレゼンス(存在感)を一層上げる事業に取り組んでいきたいと考えています。
そのためには事業主様の顕在的なニーズや条件に加えて、緻密なヒアリングや分析をもとに潜在的なニーズを掘り起こしていくことが重要になります。事業主様も気づいていなかった“気づき”を感じていただけるような提案をしっかり行っていきたいと思います。

西郷:事業主様からの相談に応えていくことにこれまでは注力してきましたが、これからはリノベるが事業主となってプロジェクトを立ち上げていくことにも挑戦したいと考えていて、実際に動き始めたところです。やがてはワンストップマネジメントの進化という点では物件紹介から提案ができるようにもしていきたいですね。より視野を広げて課題を価値に変えていく。「まちの新しい価値」を生み出すことに貢献できたらと思っています。

▼リノベる都市創造事業部 HP
https://citycreate.renoveru.co.jp/

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