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【Vol.86】住まいづくりからまちづくりまで。旧知の2社がパートナーシップで目指す、かしこく素敵な未来(宮城エリアパートナーエコラ×リノベる対談)
リノべると東北宮城を中心にリノベーション事業を展開するエコラ(株式会社エコラ)は、2022年12月にリノベーション事業に関する業務提携を締結しました。今回の対談の舞台となった『リノベる。宮城 仙台青葉区ショールーム』はその提携の先駆けとして誕生した、リノベーションやスマートホームの魅力を体感できる空間です。
リノべる代表山下智弘と共に、エコラ代表取締役・百田好徳氏に業務提携の背景とこれからについて伺いました。
■創業の原点は、新築の現場で感じた疑問。
ー早速ですが、簡単にエコラについて教えてください。
百田:エコラは2004年に設立し、今年で創業20周年を迎えました。本社は宮城県仙台市青葉区の春日町、弊社が一棟丸ごとリノベーションしたシェアオフィス『THE6』に構えています。事業内容はリノベーション事業や建築施工事業がメインですが、近頃は古いビルやレジデンスを対象とした、一棟丸ごとリノベーション事業に特に力を入れています。
ーエコラは宮城全域にリノベーション事業を展開中、一棟リノベーションでも実績を重ねていらっしゃいますが、創業当初のお話をお伺いできますか?
百田:高校生の時に『成功の法則 松下幸之助はなぜ成功したのか』という本に感銘を受け、当時から将来は独立して事業を始めたいと考えていました。とはいえまずは経験を、ということで卒業後はゼネコンへ就職し、新築の建物を扱っていましたね。
ーなぜ、リノベーション業界へ挑戦したのでしょうか?
百田:ゼネコン時代に分譲マンションを手がけていた際に、内装や間取りがどの部屋も似通っていて、すべて一緒に感じてしまったんです。「これで5,000万円も6,000万円もする価値って、本当にあるのかな?」と正直思いました。新築の建物もいずれ古くなり、価値が下がってしまう。それなら安く購入した中古の建物に新たな付加価値を与え、住まい手が理想のライフスタイルを叶えられる環境を提供したい、と考えたのがエコラ創業のきっかけですね。
山下:「住まい手が理想のライフスタイルを叶えられる環境を提供したい」というのは、まさに僕たちも目指していることです。日本の中古流通の少なさは先進国と比較して珍しく、「古い建物を活かして自身の生活に合わせてアップデートしていく海外の暮らし方」と「部屋の壁に画鋲すら刺せない、窮屈な日本の暮らし」のギャップは大きいと感じています。中古を「かしこく」使って、住まい手が自分らしく「素敵」に暮らす。リノベるはミッションとして「日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に。」を掲げていますが、それは一社では実現が難しい壮大なこと。日本中のエリアパートナーの皆様とともに成長していく先に、ミッションの実現があると強く感じています。
■出会いから10年超、両社のリノベーションは一棟、街というフィールドへ
ー創業から数年後、お二人は一般社団法人リノベーション協議会で初めて出会ったとお伺いしました。当時のお互いの印象を教えていただけますか?
山下:僕は協議会には発足1年目から参加していて、初めは業界の大御所たちに緊張しっぱなしでした。でも3年目くらいから百田さんが参加されて、すごくほっとしたのが一番の印象ですね。同じ施工の畑出身で同世代ということもあってか、「百田さんならわかってくれるだろう」と思っていました。
百田:山下さんは当時からトッププレイヤー。雰囲気も周りの人と全然違いましたね。自分のスタイルを持っていて、言いたいこともはっきり言うタイプでした。すごくたくさんのことを勉強させてもらいましたよ。
ー現在のお互いの印象に変化はありますか?
百田:基本的な印象は変わっていないです。特に、とにかく貪欲に追求し続ける姿勢は、ずっとこのままです。業界の最前線で有言実行でやり続けている人って、僕の知る限り山下さんしかいませんね。
山下:僕も大きな印象は変わっていないですね。特に誠実なところ。自分がいいと思うものを、一つひとつ実直に積み上げていく芯の強さみたいなのは今もまったく変わってないです。まあちょっと白髪が増えたくらいかな(笑)。
ーエコラ、リノベる、二社の転換期となった出来事を教えていただけないでしょうか?
百田:2016年にシェアオフィス『THE6』をオープンしたことですね。実は当時の社員に相当反対されたのですが(笑)。何かに囚われたかのように、このプロジェクトは絶対にやらないとだめだと直感で思ったんです。結局それがエコラの一棟事業の始まりとなりましたね。
山下:『THE6』の誕生によって、業界の中でエコラさんの見え方が変わったように感じました。
百田:まさにその通りで、以降は「仙台の一棟リノベーションといえばエコラ」と思っていただけるようになったんじゃないかと。建築と不動産、両方にとっての一棟事業の可能性を形として示すことができたのは大きかったですね。
山下:リノベるの転換期は2014年、初めて外部からの資本を受け入れたときでしょうか。プロの投資家から見てもリノベーションという事業に可能性を感じていただけたということなので、シンプルに嬉しかったです。
さらに外部からの資本が入るようになると、高頻度で目標に対する経過報告を提出する必要があるんです。そのため、結果的に自分自身のレビューの速度が上がるようになり、経営者として成長できたきっかけにもなりましたね。
それ以降は積極的に資本業務提携を行うようになったのですが、これが一棟リノベーション事業の飛躍のきっかけになりました。東急電鉄との資本業務提携で一棟リノベーション事業をスタート、続いてNTT都市開発との資本業務提携で、NTTグループ保有資産の利活用の実績を積み重ねることができました。株主との協業をきっかけに、一棟リノベーション事業を3年で200%成長と大きくスケールアップさせることができましたね。
最近は、積水化学工業との協業により、マンションの省エネリノベーションもスタートしました。ZEH水準リノベーションをパッケージ化して発表したことにより、個人法人問わずお問い合わせをいただいています。
■業務提携でリノベーション事業の可能性を広げる
2022年12月、エコラとリノベるは業務提携に至りました。
この事業提携は、地域に眠る築年数を重ねたビルやマンション・企業社宅、倉庫等を、まちの新しい価値につながるバリューアップにより、賃料や稼働率を上げ、賃貸事業の収益性を改善しながら、まちづくりを推進するものです。
ーそもそものきっかけは何だったのでしょうか?
百田:エコラが一棟リノベーション事業に力を入れていたころ、リノベるさんでも同じく一棟事業に力を入れていました。お互い積み上げてきたノウハウを掛け合わせながら、よりリノベーション事業の可能性を拡大していくために提携に至りましたね。
山下:百田さんは、「ロマンと算盤」を持っている方、いいと思うこと・面白いことにトライしながら、事業をつくって拡げていける方だと思っています。だから、仙台で一緒にやるなら、百田さんがいいなと感じていました。自然となるべくしてなったというか、必然だったと思います。
ーそんな二社だからこそ創造できるシナジー(相乗効果)とは何でしょうか?
山下:やはりお互いの強みと弱みを補填しあえる関係、という点でしょうか。リノベるだけの力で宮城に進出しようとしても、多分うまくいかない。その土地で命をかけて事業に取り組んでいる人には敵わない部分があるんです。でも、僕たちには、地域のプレーヤーさんにはない知見やアイディア、つながりがある。その土地で命をかけて事業に取り組んでいるプレーヤーとは、互いに切磋琢磨しがなら、成長していけると考えています。
百田:正直、うちとしてはまだまだ欠けているところが多くある。でも、そこは素直にご教示いただいて、吸収しながら事業に取り組んでいきたいですね。
ー双方の一棟リノベーション事業の強みは何でしょうか?
百田:一棟リノベーション事業を0から構築するノウハウがある点です。建物一棟を丸ごと設計施工することはできても、収益化をはじめとする事業の組み立て、いわゆるソフト面でのノウハウまで身につけている企業は、全国でもそこまで多くないと思います。
山下:僕たちも同じで、事業企画、事業収支の組み立てから設計・施工、運営・サブリースまで提案できる点を評価して頂いています。加えて「まちの新しい価値になる」という事業コンセプト。まちに新しい価値をつくるということは、地域に愛される場所をつくるということです。それは、結果的に事業のサスティナビリティにもつながります。
■リノベーションを点から面へ。その先にあるかしこく素敵な未来
2社の取り組みは、新築至上主義の日本の住宅文化を変える挑戦であるともいえます。しかし二人は、口をそろえて言います。「文化はすぐには変えられない。でも、点を面にしていくように広げられたら、少しづつ変えられる。」
「リノベーションしたところを点と捉えると、点に人が集まり、経済効果が出て、やがて街という面になっていく。その中で住宅文化も少しずつ変わっていく。今あるものを活用するリノベーションを住まいにも街にも広げていくことで、地球環境にも経済的にも無理がなく、自分らしい暮らしを楽しめる、かしこく素敵な未来をつくっていきたいです。」
いかがだったでしょうか。なお今回の対談の様子はエコラのnoteでも公開されています。こちらもぜひチェックしてみてくださいね。
写真:はまだ あつみ(Rim-Rim)
※記事は2024年2月時点の情報です。記載の内容が現在と異なる場合がございます。