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【vol.74】NTT通信ビルをリノベーションした施設[BOIL]の今/オープンから約1年半の施設内をレポート
2021年7月、神奈川県川崎市溝口に複合施設[BOIL](ボイル)がオープンしました。
[BOIL]はNTT東日本が所有する通信ビルを、一棟リノベーションした施設です。
リノベるが総合企画・設計・施工・サブリース、運営マネジメントを担当し、地元で建築不動産業を手掛けるNENGOに運営を委託しています。
2021年12月には1年を代表するリノベーション事例を決める「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2021」の無差別級部門にて最優秀賞を受賞。
2022年10月には「2022年度グッドデザイン賞」を受賞し、社外からの嬉しい評価をいただいています。
[BOIL]はリノベるの法人向けリノベーション事業(都市創造事業)の代表事例となりつつありますが、今回はオープンから約1年半ほど経った[BOIL]の現在についてご紹介します。
2022年10月、会社宛てにグッドデザイン賞からメールが届きました。[BOIL]が「2022年度グッドデザイン賞」を受賞したというのです。「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2021」に続いて2つ目の受賞となりました。
これを機に、2つの賞で評価いただいたポイントを整理してみました。それは「今ある価値を引き継ぎ、新たな価値を生み出した点」にあると考えています。
NTT溝ノ口ビルは1974年の竣工時より、通信基地局として電話回線への加入や料金の支払い窓口などとして利用され、地域の人たちの情報インフラ等、大切なつながりを支えていました。
しかし、近年の通信技術の進化や業務効率化等によりビルに余白が生まれていました。そして事業主様には、この余白を活かして地域を支え続けたいという想いがありました。
一方、この建物が立地する溝の口は世界チャンピオンも輩出したほどの「ブレイクダンスの聖地」といわれており、他にも2本のロープを使って縄跳びするスポーツ競技「ダブルダッチ」や自転車競技「BMX」など、数多くのストリートカルチャーが親しまれています。
ダブルダッチ
この文化の発展を後押しすべく、川崎市では「若者文化の発信によるまちづくりに向けた環境整備等に関する基本計画」が策定されています。ブレイクダンス等の若者文化の発信により市の魅力を高め「若い世代が集い賑わうまち」をめざしていました。
そこで、「grow」と「culture」を合せた造語「gro-cul」をコンセプトに計画はスタートしました。これまでの建物や街の歴史を尊重しつつ、地域にある文化・求められている機能を付与することで、これまでの「通信」発信基地局の機能に、地域参加型の「文化」発信基地局という機能を付加しバリューアップしました。地域の「文化」が育まれ、新たな「文化」が生まれる場所をめざそう!ということで出来上がったのが[BOIL]です。
歴史を紡ぎながらさらなる価値を創造するリノベーション複合施設を目指して生まれ変わりました。
「料理の腕を活かして出店をしたい」「ダンスの世界チャンピオンになりたい」「地元の仲間と新しい仕事を始めたい」…
街には既に熱い想いを持つ人たちが点在していました。
築47年のこの歴史ある通信ビルを中心に自発的な想いが集まり、人々と街の歴史や文化が交わり刺激が生まれることで、さらに沸々と湧き上がる拠点となるよう、「BOIL(沸騰)」と名づけられました。
▼ビフォー
▼アフター
オープンして約1年半、どんな人が集まり、どんな活動が行われているのか、[BOIL]の今をご紹介します。
当初はシェアキッチンとしてオープンしたエリアですが、今年5月にエリア初のマイクロブルワリー「みぞのくち醸造所」がオープンしたことをきっかけに、現在はローカルダイニングが運営するカフェ&バースペースとして使用されています。
ブルワリーにはたくさんのタップが並んでいます。ビール好きには夢の空間です。
醸造風景を眺めながら、フィンガーフードと、タップからつくりたての新鮮なビールをお楽しみいただけます。
飲み比べセットは丸いフォルムがかわいらしいグラスで提供されます。フィッシュアンドチップスとの組み合わせがたまりません。
営業時間は11:00〜23:00。コワーキングスペースで働いたあと、ランチにピザやホットドッグを食べることもできます。
ほかにもたくさんのメニューがありますので、ぜひチェックしてみてください。
ブレイクダンスの聖地、溝の口。新しいカルチャーの発展を後押しすべく、防音仕様のスタジオがオープンしました。
その日はダンス教室が行われており、小学生の子供たちが楽しそうに踊る様子が伺えました。ノリノリの音楽が流れる中での練習でしたが、防音仕様のため入口前の休憩スペースでも音は気になりませんでした。
最近ではより地域の方との距離が近くなり、主婦から年配の方まで参加できる和太鼓や社交ダンス、ヨガなど、様々な用途の教室利用が増えています。ダブルダッチができるよう、天井高が高いのもポイントです。
写真はオープニングイベント時、世界的ダブルダッチチーム「REGSTYLE」がパフォーマンスしてくださったときのものです。見えづらいですが、2本の縄で飛んでいるのがわかります。「REGSTYLE」のパフォーマーさんは現在も[BOIL]で練習や教室開催を行っています。
もう一つの注目ポイントは、ダンススタジオ側面のワークスペース前にある壁。レンガのようなオレンジが印象的な壁面は、オープン前に地域の子どもたちと塗りました。
ポーターズペイントというオーストラリアの伝統的な塗料を使用しており、[BOIL]のテーマカラーになっています。塗っている姿が想像できるような温かみのある空間です。
2Fにあるのは、地域の方がご自宅・職場以外のワークスペースとしてお使いいただけるコワーキングスペースです。この場所の特徴は、勉強以外にも、読書やミーティング、お子様(10歳以上)と一緒でのご利用も可能なところ。
ブルワリーには仕事終わりに立ち寄られる方も何名かいらっしゃいました。コワーキングスペース帰りに、一杯飲んで帰宅する、そういった楽しみ方ができるのも[BOIL]の魅力です。
また、「集う人と共に地域のカルチャーを育む場所になること」を目的に作られたこの施設では、定期的に地域の方々が参加できるイベントを開催しています。
2022年11月には自分の絵がTシャツになるワークショップ「想いをのせて、スキをカタチに ~ラクガキで世界に1枚だけのTシャツクリエイターになろう~」を開催しました。
絵具を使って思いっきり描いたラクガキをその場でTシャツにプリントできるというイベントです。
それぞれ自由な発想で筆を走らせており、子供たちの笑顔溢れるハートフルなイベントとなりました。
最近はみぞのくち醸造所でのワールドカップ観戦イベントのほか、地域での認知度も高くなったのか、コワーキングスペースを貸し切って市や自治体が地域活性化のために企画したイベントやフォーラム開催なども増えています。
初めてBOILを訪れる方も参加しやすいよう、前回好評だった「BOILマルシェ」の第2回も計画しています!
イベント情報は[BOIL]公式SNSで随時告知しておりますので、ぜひチェックしてみてください。
いかがでしたか。
地域の人が自然と集まり、溝の口の新しい拠点となっている様子がうかがえました。
ダンスを楽しむ子供たちやコワーキングスペースでテレワークをする方がいたり、カフェ利用するママや仕事終わりにタップを楽しむビジネスマンがいたりと、地域の方々が思い思いに過ごしている様子を見て、地域の方に愛される施設に育っていることを大変嬉しく思いました。
溝の口の歴史と文化で集う人の想いが沸騰するリノベーション施設[BOIL]。これからの発展にご期待ください。
お近くにお立ち寄りの際は、ぜひのぞいてみてください。
- BOIL公式HP
- BOIL公式Instagram
- BOIL公式Facebook
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